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第24話 Cランク冒険者
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空から降り注ぐ太陽の光は心地良く、木々の隙間を吹き抜ける風は少しだけ肌寒い。
「もう、季節が変わる頃なのね」
数ヶ月ぶりに地上に出たクロエは、太陽の光を浴びて、目を細めた。
夏が終わりを告げ、秋の到来を予感させるかの様に木々の葉が色付き、鮮やかな赤や黄色に染まり始めていた。
「ユナは・・・いるわけないか」
洞窟の周りを見渡してみるが、当然、ユナの姿は見当たらない。
ゴブリンに捕まってから数ヶ月が経過しており、見捨てられた事はわかっていた。
裏切られた・・・いや、最初から助けるつもりなんて無かったのだろう。
「待っていなさい・・・見つけたら泣くまでボコボコにして、跪かせてやるんだから!」
ゴブリンとの戦闘で自信を付けたクロエは、闘志を燃やす様に闇のオーラを身に纏った。
「とは言っても・・・先ずは冒険者ギルドに行くのが先ね!」
ゴブリン討伐を達成したクロエは、討伐証明として、狩ったゴブリンの左耳を回収していた。
「これだけあれば、それなりのお金になるわよね?」
100体以上のゴブリンの耳を集めるのは少し気持ち悪かったが、コレらが全て金になると思えば苦では無い。
生きていく上でお金は必要だ。
貴族から平民に堕とされた事で、お金の大切さを実感したクロエは、稼ぐ為なら汚れ仕事だろうと余り気にしなくなった。
また、幸運な事に、ゴブリンの耳を集める過程で宝物庫を見つける事が出来た。
ゴブリンが近隣の村や旅人から奪ったであろうお金や宝石などが保管されており、魔力が込められたピアスや呪術関連の魔導書も手に入れる事が出来た。
それらを全て暗黒物質で創り出した鞄に入れたクロエは、ニヤリと笑みを浮かべる。
「アハハッ・・・これで貧乏生活ともおさらばね!」
クロエは、これまでの苦労や屈辱に満ちた生活を思い出して、下唇を強く噛み締めた。
漸く、自由を手に入れられる。
希望を胸に抱いたクロエは、港町カナンへと歩き始めた。
「随分と・・・寂れたわね」
カナンに辿り着いたクロエの口から溢れ出た感想はそれだった。
海辺のリゾート地として発展したカナンは、避暑地として人気があり、夏には王都や大都市から貴族が集まり、観光業で賑わっているが、冬が近付くにつれて気温が下がると、寂れた港町へと戻ってしまう。
貴族令嬢や令息達で賑わっていた大通りも、シーズンが終わると閉じてしまう店が多く、今は数える程度の人しか歩いていない。
閑散とした通りを過ぎて、冒険者ギルドに着いたクロエは、相変わらず酒と汗臭いギルド内を眺めて、ため息を吐いた。
「ここにも・・・ユナはいないか」
ゴブリンの洞窟に慣れてしまったせいか、不衛生な環境を見ても、以前の様な嫌悪感は湧いてこない。
「お前は・・・生きていたのか!?」
冒険者ギルドの受付には、相変わらず目付きの鋭い老人が立っており、クロエを見た瞬間、幽霊でも見たかの様に目を見開いて驚きを隠せずにいた。
どうやら、私は死んだと思われていたみたいね。
冒険者は常に死と隣り合わせの仕事だ。
新人冒険者がゴブリン討伐依頼を受けて、数カ月も音信不通になれば、死んだと思うのは当然だろう。
それに、流浪の身である冒険者が依頼から帰って来ない事は日常茶飯事であり、新人が1人いなくなったからと言って、一々捜索隊を出す様な事はしない。
「ゴブリンの討伐報酬を受け取りに来たわ」
クロエは、ため息混じりに深く息を吐くと、カウンターに大量のゴブリンの耳を置いた。
「これを・・・お前1人でやったのか?」
受付の老人は、驚いた様にクロエを見る。
しかし、クロエの面構えを見て、何かを察したかの様に短く息を吐くと、黙ってゴブリンの耳を数え始めた。
「報酬だ」
受付の老人が差し出したのは、127万イエンの大金だった。
クロエが討伐したゴブリンの数は全部で127体であり、1体に付き1万イエンの討伐報酬が支払われた事になる。
今までの貧乏生活からは想像も付かない大金を手にしたというのに、クロエの表情は浮かない。
このお金を稼ぐ為に、クロエは大きな代償を支払った。
それは、純潔であり、クロエの潔白を証明する唯一の手段でもあった。
貴族だった頃のプライド、人間としての尊厳、ゴブリンに奪われたモノの方が遥かに多く、2度と取り返す事は出来ない。
それでも・・・前を向いて歩き続けるしか無い。
現実はいつも残酷で無慈悲だ。
「そう言えば、コレも見てもらえるかしら?」
そう言うと、クロエは拳大の紫色に輝く石をカウンターに置いた。
「これは・・・魔石か!?」
魔石とは、魔力を持つ魔物の体内で生成される魔力コアであり、魔力が結晶化した鉱物の事だ。
「ゴブリンキングの魔石よ」
クロエは、ゴブリンキングを倒した時にこの魔石を手に入れていた。
「ゴブリンキングを倒したのか!?」
通常のゴブリン討伐は難易度がDランクに設定されており、見習いでも倒す事ができる水準だ。
しかし、10体以上の群れになれば、難易度はDランクの中でも最上位に上がり、ゴブリンシャーマンやゴブリンキングの様な上位種が統制している場合、難易度はCランクに上がる場合もある。
今回は100体以上の大規模な群れであり、更にはゴブリンキングが統制しているとなれば、とてもじゃないが、新人冒険者に倒せる様な相手では無い。
「ゴブリンキングの討伐報酬は50万イエン、魔石を売るなら合わせて100万イエン出すが、どうする?」
魔石は様々な魔導具や儀式の材料として使う事ができるだけじゃなく、魔導具のエネルギー源としても需要があり、高値で取引されていた。
「討伐報酬の50万で良いわ」
しかし、クロエは魔石を売らずにポケットにしまった。
「そうか、なら冒険者カードを出せ」
クロエが冒険者カードを渡すと、魔導具に読み込ませた。
「・・・報酬だ」
そう言うと、受付の老人は50万イエンを渡してくれた。
宝物庫で手に入れたお金を合わせると手持ちは300万イエン以上有り、クロエはニヤリと笑みを浮かべた。
「それと・・・昇格だ」
老人は、クロエの冒険者カードを手渡す。
よく見ると、クロエの冒険者カードには、Cの文字が刻まれていた。
「もう、季節が変わる頃なのね」
数ヶ月ぶりに地上に出たクロエは、太陽の光を浴びて、目を細めた。
夏が終わりを告げ、秋の到来を予感させるかの様に木々の葉が色付き、鮮やかな赤や黄色に染まり始めていた。
「ユナは・・・いるわけないか」
洞窟の周りを見渡してみるが、当然、ユナの姿は見当たらない。
ゴブリンに捕まってから数ヶ月が経過しており、見捨てられた事はわかっていた。
裏切られた・・・いや、最初から助けるつもりなんて無かったのだろう。
「待っていなさい・・・見つけたら泣くまでボコボコにして、跪かせてやるんだから!」
ゴブリンとの戦闘で自信を付けたクロエは、闘志を燃やす様に闇のオーラを身に纏った。
「とは言っても・・・先ずは冒険者ギルドに行くのが先ね!」
ゴブリン討伐を達成したクロエは、討伐証明として、狩ったゴブリンの左耳を回収していた。
「これだけあれば、それなりのお金になるわよね?」
100体以上のゴブリンの耳を集めるのは少し気持ち悪かったが、コレらが全て金になると思えば苦では無い。
生きていく上でお金は必要だ。
貴族から平民に堕とされた事で、お金の大切さを実感したクロエは、稼ぐ為なら汚れ仕事だろうと余り気にしなくなった。
また、幸運な事に、ゴブリンの耳を集める過程で宝物庫を見つける事が出来た。
ゴブリンが近隣の村や旅人から奪ったであろうお金や宝石などが保管されており、魔力が込められたピアスや呪術関連の魔導書も手に入れる事が出来た。
それらを全て暗黒物質で創り出した鞄に入れたクロエは、ニヤリと笑みを浮かべる。
「アハハッ・・・これで貧乏生活ともおさらばね!」
クロエは、これまでの苦労や屈辱に満ちた生活を思い出して、下唇を強く噛み締めた。
漸く、自由を手に入れられる。
希望を胸に抱いたクロエは、港町カナンへと歩き始めた。
「随分と・・・寂れたわね」
カナンに辿り着いたクロエの口から溢れ出た感想はそれだった。
海辺のリゾート地として発展したカナンは、避暑地として人気があり、夏には王都や大都市から貴族が集まり、観光業で賑わっているが、冬が近付くにつれて気温が下がると、寂れた港町へと戻ってしまう。
貴族令嬢や令息達で賑わっていた大通りも、シーズンが終わると閉じてしまう店が多く、今は数える程度の人しか歩いていない。
閑散とした通りを過ぎて、冒険者ギルドに着いたクロエは、相変わらず酒と汗臭いギルド内を眺めて、ため息を吐いた。
「ここにも・・・ユナはいないか」
ゴブリンの洞窟に慣れてしまったせいか、不衛生な環境を見ても、以前の様な嫌悪感は湧いてこない。
「お前は・・・生きていたのか!?」
冒険者ギルドの受付には、相変わらず目付きの鋭い老人が立っており、クロエを見た瞬間、幽霊でも見たかの様に目を見開いて驚きを隠せずにいた。
どうやら、私は死んだと思われていたみたいね。
冒険者は常に死と隣り合わせの仕事だ。
新人冒険者がゴブリン討伐依頼を受けて、数カ月も音信不通になれば、死んだと思うのは当然だろう。
それに、流浪の身である冒険者が依頼から帰って来ない事は日常茶飯事であり、新人が1人いなくなったからと言って、一々捜索隊を出す様な事はしない。
「ゴブリンの討伐報酬を受け取りに来たわ」
クロエは、ため息混じりに深く息を吐くと、カウンターに大量のゴブリンの耳を置いた。
「これを・・・お前1人でやったのか?」
受付の老人は、驚いた様にクロエを見る。
しかし、クロエの面構えを見て、何かを察したかの様に短く息を吐くと、黙ってゴブリンの耳を数え始めた。
「報酬だ」
受付の老人が差し出したのは、127万イエンの大金だった。
クロエが討伐したゴブリンの数は全部で127体であり、1体に付き1万イエンの討伐報酬が支払われた事になる。
今までの貧乏生活からは想像も付かない大金を手にしたというのに、クロエの表情は浮かない。
このお金を稼ぐ為に、クロエは大きな代償を支払った。
それは、純潔であり、クロエの潔白を証明する唯一の手段でもあった。
貴族だった頃のプライド、人間としての尊厳、ゴブリンに奪われたモノの方が遥かに多く、2度と取り返す事は出来ない。
それでも・・・前を向いて歩き続けるしか無い。
現実はいつも残酷で無慈悲だ。
「そう言えば、コレも見てもらえるかしら?」
そう言うと、クロエは拳大の紫色に輝く石をカウンターに置いた。
「これは・・・魔石か!?」
魔石とは、魔力を持つ魔物の体内で生成される魔力コアであり、魔力が結晶化した鉱物の事だ。
「ゴブリンキングの魔石よ」
クロエは、ゴブリンキングを倒した時にこの魔石を手に入れていた。
「ゴブリンキングを倒したのか!?」
通常のゴブリン討伐は難易度がDランクに設定されており、見習いでも倒す事ができる水準だ。
しかし、10体以上の群れになれば、難易度はDランクの中でも最上位に上がり、ゴブリンシャーマンやゴブリンキングの様な上位種が統制している場合、難易度はCランクに上がる場合もある。
今回は100体以上の大規模な群れであり、更にはゴブリンキングが統制しているとなれば、とてもじゃないが、新人冒険者に倒せる様な相手では無い。
「ゴブリンキングの討伐報酬は50万イエン、魔石を売るなら合わせて100万イエン出すが、どうする?」
魔石は様々な魔導具や儀式の材料として使う事ができるだけじゃなく、魔導具のエネルギー源としても需要があり、高値で取引されていた。
「討伐報酬の50万で良いわ」
しかし、クロエは魔石を売らずにポケットにしまった。
「そうか、なら冒険者カードを出せ」
クロエが冒険者カードを渡すと、魔導具に読み込ませた。
「・・・報酬だ」
そう言うと、受付の老人は50万イエンを渡してくれた。
宝物庫で手に入れたお金を合わせると手持ちは300万イエン以上有り、クロエはニヤリと笑みを浮かべた。
「それと・・・昇格だ」
老人は、クロエの冒険者カードを手渡す。
よく見ると、クロエの冒険者カードには、Cの文字が刻まれていた。
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