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第23話 ゴブリン討伐
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クロエの眼前には、アンデットとなったゴブリンの群れが迫っていた。
鋭い牙を剥き出しにし、腹を空かせた野犬の様に涎を撒き散らす姿は狂気そのものだった。
死から産み出されたアンデットは、本能的に生者を憎む。
それは生者への憧れの裏返しであり、嫉妬から生まれる感情だ。
アンデットに流れる血は凍てついた氷の様に冷たく、干からびた肌は硬く岩の様に何も感じる事は出来ない。
偽りの魂は虚ろで、心が満たされる事も無い。
アンデットとなったゴブリンは、クロエの肉体に流れる温かい血を羨み、炎に群がる羽虫の様に引き寄せられる。
逃げなければならないと頭の中では理解しているが、麻痺毒に侵された肉体が思う様に動かない。
全身の細胞が破壊と再生を繰り返しており、膨大な生命エネルギーを消費した肉体は高熱を発しており、思考が上手く働かない。
せめて麻痺毒だけでも治癒出来れば・・・治癒?
何で今まで気付かなかったのだろうか?
「毒なら・・・浄化しちゃえば良いじゃん!?」
クロエの全身を聖なる白い光が包み込んだ瞬間、体内に巣食っていた無数の猛毒が一瞬にして消え去り、身体が軽くなっていく。
「グギャッ!?」
同時に、襲い掛かって来ていたアンデット達が苦悶の表情を浮かべて後退し始めた。
「浄化の光を嫌がってるの?」
よく見ると、クロエの全身から放たれる白い光に触れたアンデットの皮膚が焼け爛れており、炎に怯える猿の様に慌てていた。
不浄なモノを浄化する光は、不浄な存在であるアンデットにも効果がある様だ。
クロエは、ニヤリと笑みを浮かべた。
「アハハッ!なら、みんな浄化してあげる!」
クロエは、体内の膨大な魔力を練り込む様にして、右手に球体状の魔力を創り出した。
そして、それを一気に浄化の光に変換する。
その瞬間、眩い光の球が洞窟全体を照らした。
「グゥッ!?眩しい!?」
閃光弾の様な強烈な光に晒されたゴブリンキングは、目を開ける事が出来ずに、腕で顔を守る様に覆った。
魔力量が大幅に増加した今のクロエは、光属性の魔術も1ランク上がっていた。
強力な浄化の光に照らされたアンデット達は、踠き苦しみながら、徐々に肉体が崩壊を始めている。
クロエは、膨大な浄化の光を圧縮した球体を前に出すと、光に指向性を持たせた。
「聖なる光線!」
その瞬間、レーザービームの様な白い光線が放たれた。
光の速度で放たれた聖なる光線は、稲妻の様に屈折を繰り返し、一瞬にしてアンデット達を貫いて行く。
「グギャアアアアアア!?」
強烈な光線は、高熱を帯びており、一瞬にしてアンデットの胸を焼き尽くすと同時に、白い炎が包み込み、アンデットの体内から闇の力を浄化して行く。
歪められた偽りの魂は消え失せ、自然な状態に還ったアンデット達は、砂の様に消滅した。
「まだよ!」
クロエが狙いを定めると、聖なる光線がゴブリンキングの胸を貫いた。
ゴブリンキングはアンデットでは無いが、光線が帯びる熱量は凄まじく、光が当たった瞬間、皮膚を焼き、肉が焦げる嫌な臭いが充満する。
「グギャアアアアアア!?」
白い煙をたち登らせながら、ゴブリンキングの悲痛な叫び声が響き渡った。
「グゥッ!こんなモノ、我が闇の力で・・・」
ゴブリンキングは、闇の力を使おうと呪文を唱えるが、光と闇は対の関係であり、ゴブリンキングの闇の魔力をクロエの光の魔力が打ち消し合っており、ゴブリンキングは、闇の魔術を発動する事が出来ずにいた。
しかし、生まれ付き闇と光の魔力が共存するクロエだけは例外であり、世界で唯一、光と闇の力を同時に使う事が出来る存在だった。
クロエは、眩い光の中でも、黄金色に輝く瞳は、光の魔力で満たされており、全てを見透す事ができる様になっていた。
「あら・・・これで終わりかしら?」
クロエは、不敵な笑みを浮かべてゴブリンキングを見た。
「・・・小癪な」
まるで苦虫を噛んだ様な表情を浮かべたゴブリンキングは、大木の様な太い腕を伸ばしてクロエに掴み掛かる。
「遅いっての!」
膨大な生命力と闇の力で活性化したクロエの瞳は、ゴブリンキングの動きを完全に見切っており、軽く身を捻って巨大な手を躱した。
同時に暗黒物質で創り出した槍を手の甲に突き刺し地面に縫い付ける。
「グアアアアアア!?」
ゴブリンキングは苦痛に満ちた咆哮を上げる。
クロエは、その隙に暗黒物質で巨大な大鎌を創り出した。
まるで、死神が持つ死の象徴の様な巨大な鎌を構えたクロエは、一気にゴブリンキングの眼前まで跳躍し、大きく振りかぶる。
「終わりよ!」
横一文字に放たれた大鎌の一閃がゴブリンキングの首を両断した。
「に、人間・・如きに・・・」
ゴブリンキングの首が地面に転がると同時に、大量の血の雨が降り注ぐ。
「やっと・・・終わったのね?」
生暖かい血を全身に浴びながら、クロエはホッとため息を吐いた。
緊張の糸が切れたかの様に膝から力が抜けて崩れ落ちる様に座り込んでしまう。
「私・・生きて帰れるんだ」
安心したからか、今まで耐えて来た恐怖心が一気に込み上げて来て、身体の震えが止まらない。
何度も諦めかけたし、もうダメだと思った。
でも、生き残った。
「ユナの奴・・・絶対に仕返ししてやるんだから!」
クロエの瞳は復讐の炎で燃えていた。
鋭い牙を剥き出しにし、腹を空かせた野犬の様に涎を撒き散らす姿は狂気そのものだった。
死から産み出されたアンデットは、本能的に生者を憎む。
それは生者への憧れの裏返しであり、嫉妬から生まれる感情だ。
アンデットに流れる血は凍てついた氷の様に冷たく、干からびた肌は硬く岩の様に何も感じる事は出来ない。
偽りの魂は虚ろで、心が満たされる事も無い。
アンデットとなったゴブリンは、クロエの肉体に流れる温かい血を羨み、炎に群がる羽虫の様に引き寄せられる。
逃げなければならないと頭の中では理解しているが、麻痺毒に侵された肉体が思う様に動かない。
全身の細胞が破壊と再生を繰り返しており、膨大な生命エネルギーを消費した肉体は高熱を発しており、思考が上手く働かない。
せめて麻痺毒だけでも治癒出来れば・・・治癒?
何で今まで気付かなかったのだろうか?
「毒なら・・・浄化しちゃえば良いじゃん!?」
クロエの全身を聖なる白い光が包み込んだ瞬間、体内に巣食っていた無数の猛毒が一瞬にして消え去り、身体が軽くなっていく。
「グギャッ!?」
同時に、襲い掛かって来ていたアンデット達が苦悶の表情を浮かべて後退し始めた。
「浄化の光を嫌がってるの?」
よく見ると、クロエの全身から放たれる白い光に触れたアンデットの皮膚が焼け爛れており、炎に怯える猿の様に慌てていた。
不浄なモノを浄化する光は、不浄な存在であるアンデットにも効果がある様だ。
クロエは、ニヤリと笑みを浮かべた。
「アハハッ!なら、みんな浄化してあげる!」
クロエは、体内の膨大な魔力を練り込む様にして、右手に球体状の魔力を創り出した。
そして、それを一気に浄化の光に変換する。
その瞬間、眩い光の球が洞窟全体を照らした。
「グゥッ!?眩しい!?」
閃光弾の様な強烈な光に晒されたゴブリンキングは、目を開ける事が出来ずに、腕で顔を守る様に覆った。
魔力量が大幅に増加した今のクロエは、光属性の魔術も1ランク上がっていた。
強力な浄化の光に照らされたアンデット達は、踠き苦しみながら、徐々に肉体が崩壊を始めている。
クロエは、膨大な浄化の光を圧縮した球体を前に出すと、光に指向性を持たせた。
「聖なる光線!」
その瞬間、レーザービームの様な白い光線が放たれた。
光の速度で放たれた聖なる光線は、稲妻の様に屈折を繰り返し、一瞬にしてアンデット達を貫いて行く。
「グギャアアアアアア!?」
強烈な光線は、高熱を帯びており、一瞬にしてアンデットの胸を焼き尽くすと同時に、白い炎が包み込み、アンデットの体内から闇の力を浄化して行く。
歪められた偽りの魂は消え失せ、自然な状態に還ったアンデット達は、砂の様に消滅した。
「まだよ!」
クロエが狙いを定めると、聖なる光線がゴブリンキングの胸を貫いた。
ゴブリンキングはアンデットでは無いが、光線が帯びる熱量は凄まじく、光が当たった瞬間、皮膚を焼き、肉が焦げる嫌な臭いが充満する。
「グギャアアアアアア!?」
白い煙をたち登らせながら、ゴブリンキングの悲痛な叫び声が響き渡った。
「グゥッ!こんなモノ、我が闇の力で・・・」
ゴブリンキングは、闇の力を使おうと呪文を唱えるが、光と闇は対の関係であり、ゴブリンキングの闇の魔力をクロエの光の魔力が打ち消し合っており、ゴブリンキングは、闇の魔術を発動する事が出来ずにいた。
しかし、生まれ付き闇と光の魔力が共存するクロエだけは例外であり、世界で唯一、光と闇の力を同時に使う事が出来る存在だった。
クロエは、眩い光の中でも、黄金色に輝く瞳は、光の魔力で満たされており、全てを見透す事ができる様になっていた。
「あら・・・これで終わりかしら?」
クロエは、不敵な笑みを浮かべてゴブリンキングを見た。
「・・・小癪な」
まるで苦虫を噛んだ様な表情を浮かべたゴブリンキングは、大木の様な太い腕を伸ばしてクロエに掴み掛かる。
「遅いっての!」
膨大な生命力と闇の力で活性化したクロエの瞳は、ゴブリンキングの動きを完全に見切っており、軽く身を捻って巨大な手を躱した。
同時に暗黒物質で創り出した槍を手の甲に突き刺し地面に縫い付ける。
「グアアアアアア!?」
ゴブリンキングは苦痛に満ちた咆哮を上げる。
クロエは、その隙に暗黒物質で巨大な大鎌を創り出した。
まるで、死神が持つ死の象徴の様な巨大な鎌を構えたクロエは、一気にゴブリンキングの眼前まで跳躍し、大きく振りかぶる。
「終わりよ!」
横一文字に放たれた大鎌の一閃がゴブリンキングの首を両断した。
「に、人間・・如きに・・・」
ゴブリンキングの首が地面に転がると同時に、大量の血の雨が降り注ぐ。
「やっと・・・終わったのね?」
生暖かい血を全身に浴びながら、クロエはホッとため息を吐いた。
緊張の糸が切れたかの様に膝から力が抜けて崩れ落ちる様に座り込んでしまう。
「私・・生きて帰れるんだ」
安心したからか、今まで耐えて来た恐怖心が一気に込み上げて来て、身体の震えが止まらない。
何度も諦めかけたし、もうダメだと思った。
でも、生き残った。
「ユナの奴・・・絶対に仕返ししてやるんだから!」
クロエの瞳は復讐の炎で燃えていた。
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