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第2話 路地裏
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王国騎士は、宣言通り容赦無くクロエを別荘から追い出した。
身に纏っていたドレスや宝石も全て没収され、代わりに白いシャツと簡素なスカートに着替えさせられた。
追い出される姿を使用人達から嘲笑され、恥ずかしさと悔しさで怒りが込み上げる。
侍女のアンとは別れの挨拶すらさせて貰えず、最低限の荷物を渡されて屋敷から追い出されたクロエは、放心状態で路地裏を彷徨っていた。
未だに自分が全てを失って、平民になった事を受け入れられ無い。
「これから・・・どうやって生きて行けば良いんだろう?」
最低限のお金を受け取ったとは言え、20万イエン程度であり、平民の1ヶ月の平均収入程度の金額だ。
公爵家で着ていたドレス一着でも100万イエン以上するので、クロエからしたら端金だった。
そんな端金でこの先どうやって生きて行けと言うのか?
公爵令嬢として、この世の贅沢を享受してきたクロエには、平民の様に地道に働いて、質素な暮らしをするなんて、我慢ならなかった。
行く当ても無く、次第に空が暗くなる。
現実味の無いこの状況でも、お腹は空く。
「・・・お腹空いたなぁ」
空腹でお腹が鳴るなんて、幼少期以来だった。
そろそろ、今夜の寝泊まりする場所を探さないといけない。
とは言え、今まで泊まっていた様な高級宿には泊まれない。
平民が使う様な安宿を探さないといけない。
次第に自分の状況を受け入れ始めてる自分がいた。
「おいおい、こんな路地裏に別嬪の嬢ちゃんがいるじゃねーか」
暗闇から現れたのは、汚らしい姿をした男だった。
見るからに悪人面をしており、悪い笑みを浮かべてクロエを見つめていた。
「だ、誰!?」
慌てて警戒するクロエは、恐怖で脚が震えていた。
今まで、何をするにも護衛騎士が守ってくれていたので、無防備な状態で危険に晒される事には慣れていなかった。
「震えちゃって、可愛いなぁ!俺と気持ち良い遊びしようぜ?」
男は、獲物を見つめる獣の様な瞳で、舐め回す様にクロエを睨みつける。
に、逃げないと!
ここは路地裏であり、大通りからは少し離れている上に、今は暗くなっており、人通りは少ない。
頭では逃げるべきだと理解しているのに、恐怖で硬直した身体が動いてくれない。
「だ、誰か!助け・・ウグッ!?」
クロエは、勇気を振り絞って走り出し、助けを呼ぼうと叫んだ瞬間、背後から後頭部を殴りつけられた。
そのまま勢い良く地面に倒れたクロエは、服が泥まみれになり、痛みでうずくまる。
初めて受ける暴力の恐怖と痛みで涙が溢れ出る。
「逃げてんじゃねぇよ!クソアマが!」
男は、クロエに馬乗りになると、クロエの胸を鷲掴み、揉みしだく。
「や、やめろ!この変態!」
未だ誰にも触らせたことの無い胸を乱暴に触られて、怒りが込み上げたクロエは、必死に暴れて抵抗する。
「暴れてんじゃねぇよ!」
しかし、男は、容赦無くクロエの腹に拳を振り下ろした。
「はグゥッ!?」
めり込んだ拳が内臓を圧迫して、息が出来ない。
余りの痛みと苦しみで抵抗する気力すら奪われたクロエは、恐怖で男に逆らえなくなっていた。
「オラ、大人しくしていれば気持ち良くしてやるから、黙って股を開いてろ!」
男はクロエのシャツを破って、胸元をはだけさせる。
誰にも見せた事のないクロエの胸が露わになる。
「へっ!純情ぶってるけど、こんな場所で一人でいるなんて、俺みたいな奴を誘ってたんだろ?」
男は、いやらしい笑みを浮かべて、クロエの内股に手を入れて摩る。
嫌悪感と不快感と悔しさで、涙が止まらない。
婚約者だった第一王子との結婚の為に守ってきた処女をこんな見ず知らずの男に奪われるの?
浮気の噂を否定する唯一の手段でもある証拠すら奪われたら、きっと強姦されたと言っても信じてくれる人間は居ないだろう。
後ろ指を指して、クロエの不貞を糾弾する姿が目に浮かび、自分がどうしようも無く惨めに感じた。
こんな場所で、終わってしまうの?
「そんなの・・・嫌!」
クロエは、魔術学園で習った強化魔術を発動し、自身の肉体にかけた。
実戦で使った事は無かったが、知識としては習っており、下級程度なら使うことが出来た。
魔力が全身を纏い、外骨格の様に肌を守り身体機能を強化する。
「なっ!魔術師だと!?」
まさか、クロエが魔術を使えるとは思っていなかった男は、慌てて腰のナイフを抜いた。
「死ね!変態クソ野郎!」
男がナイフを振り下ろすよりも早く、クロエは、力一杯拳を突き出して、男の鳩尾を殴った。
下級とは言え、魔力で強化された拳は、男を突き飛ばし、壁に衝突した。
「ガハッ!?」
男は、血を吐いてもがき苦しんでいた。
「や、やった・・・痛ッ!」
それは、強化魔術の副作用だった。
一瞬とは言え、自分の限界を超えた力を使ったことで、全身の筋肉が断裂したかの様な激しい痛みに襲われる。
激しい筋肉痛で身動きが取れない中、男が立ち上がるのが見えた。
「このクソアマが!」
男は血走った目でクロエを睨みつけてナイフを構えた。
一方、クロエは、全身が筋肉痛で指一本動かすだけで、張り裂けそうな激痛に襲われて身動きが取れない。
ヤバい・・・殺される。
「助けてやろうか?」
その時、背後から別の男の声がした。
声のする方に目を向けると、銀髪の美青年が立っていた。
血の様に赤い瞳と真っ赤なロングコートの青年は、片手剣を抜いて、クロエを見つめていた。
身に纏っていたドレスや宝石も全て没収され、代わりに白いシャツと簡素なスカートに着替えさせられた。
追い出される姿を使用人達から嘲笑され、恥ずかしさと悔しさで怒りが込み上げる。
侍女のアンとは別れの挨拶すらさせて貰えず、最低限の荷物を渡されて屋敷から追い出されたクロエは、放心状態で路地裏を彷徨っていた。
未だに自分が全てを失って、平民になった事を受け入れられ無い。
「これから・・・どうやって生きて行けば良いんだろう?」
最低限のお金を受け取ったとは言え、20万イエン程度であり、平民の1ヶ月の平均収入程度の金額だ。
公爵家で着ていたドレス一着でも100万イエン以上するので、クロエからしたら端金だった。
そんな端金でこの先どうやって生きて行けと言うのか?
公爵令嬢として、この世の贅沢を享受してきたクロエには、平民の様に地道に働いて、質素な暮らしをするなんて、我慢ならなかった。
行く当ても無く、次第に空が暗くなる。
現実味の無いこの状況でも、お腹は空く。
「・・・お腹空いたなぁ」
空腹でお腹が鳴るなんて、幼少期以来だった。
そろそろ、今夜の寝泊まりする場所を探さないといけない。
とは言え、今まで泊まっていた様な高級宿には泊まれない。
平民が使う様な安宿を探さないといけない。
次第に自分の状況を受け入れ始めてる自分がいた。
「おいおい、こんな路地裏に別嬪の嬢ちゃんがいるじゃねーか」
暗闇から現れたのは、汚らしい姿をした男だった。
見るからに悪人面をしており、悪い笑みを浮かべてクロエを見つめていた。
「だ、誰!?」
慌てて警戒するクロエは、恐怖で脚が震えていた。
今まで、何をするにも護衛騎士が守ってくれていたので、無防備な状態で危険に晒される事には慣れていなかった。
「震えちゃって、可愛いなぁ!俺と気持ち良い遊びしようぜ?」
男は、獲物を見つめる獣の様な瞳で、舐め回す様にクロエを睨みつける。
に、逃げないと!
ここは路地裏であり、大通りからは少し離れている上に、今は暗くなっており、人通りは少ない。
頭では逃げるべきだと理解しているのに、恐怖で硬直した身体が動いてくれない。
「だ、誰か!助け・・ウグッ!?」
クロエは、勇気を振り絞って走り出し、助けを呼ぼうと叫んだ瞬間、背後から後頭部を殴りつけられた。
そのまま勢い良く地面に倒れたクロエは、服が泥まみれになり、痛みでうずくまる。
初めて受ける暴力の恐怖と痛みで涙が溢れ出る。
「逃げてんじゃねぇよ!クソアマが!」
男は、クロエに馬乗りになると、クロエの胸を鷲掴み、揉みしだく。
「や、やめろ!この変態!」
未だ誰にも触らせたことの無い胸を乱暴に触られて、怒りが込み上げたクロエは、必死に暴れて抵抗する。
「暴れてんじゃねぇよ!」
しかし、男は、容赦無くクロエの腹に拳を振り下ろした。
「はグゥッ!?」
めり込んだ拳が内臓を圧迫して、息が出来ない。
余りの痛みと苦しみで抵抗する気力すら奪われたクロエは、恐怖で男に逆らえなくなっていた。
「オラ、大人しくしていれば気持ち良くしてやるから、黙って股を開いてろ!」
男はクロエのシャツを破って、胸元をはだけさせる。
誰にも見せた事のないクロエの胸が露わになる。
「へっ!純情ぶってるけど、こんな場所で一人でいるなんて、俺みたいな奴を誘ってたんだろ?」
男は、いやらしい笑みを浮かべて、クロエの内股に手を入れて摩る。
嫌悪感と不快感と悔しさで、涙が止まらない。
婚約者だった第一王子との結婚の為に守ってきた処女をこんな見ず知らずの男に奪われるの?
浮気の噂を否定する唯一の手段でもある証拠すら奪われたら、きっと強姦されたと言っても信じてくれる人間は居ないだろう。
後ろ指を指して、クロエの不貞を糾弾する姿が目に浮かび、自分がどうしようも無く惨めに感じた。
こんな場所で、終わってしまうの?
「そんなの・・・嫌!」
クロエは、魔術学園で習った強化魔術を発動し、自身の肉体にかけた。
実戦で使った事は無かったが、知識としては習っており、下級程度なら使うことが出来た。
魔力が全身を纏い、外骨格の様に肌を守り身体機能を強化する。
「なっ!魔術師だと!?」
まさか、クロエが魔術を使えるとは思っていなかった男は、慌てて腰のナイフを抜いた。
「死ね!変態クソ野郎!」
男がナイフを振り下ろすよりも早く、クロエは、力一杯拳を突き出して、男の鳩尾を殴った。
下級とは言え、魔力で強化された拳は、男を突き飛ばし、壁に衝突した。
「ガハッ!?」
男は、血を吐いてもがき苦しんでいた。
「や、やった・・・痛ッ!」
それは、強化魔術の副作用だった。
一瞬とは言え、自分の限界を超えた力を使ったことで、全身の筋肉が断裂したかの様な激しい痛みに襲われる。
激しい筋肉痛で身動きが取れない中、男が立ち上がるのが見えた。
「このクソアマが!」
男は血走った目でクロエを睨みつけてナイフを構えた。
一方、クロエは、全身が筋肉痛で指一本動かすだけで、張り裂けそうな激痛に襲われて身動きが取れない。
ヤバい・・・殺される。
「助けてやろうか?」
その時、背後から別の男の声がした。
声のする方に目を向けると、銀髪の美青年が立っていた。
血の様に赤い瞳と真っ赤なロングコートの青年は、片手剣を抜いて、クロエを見つめていた。
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