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第7話
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第7話:見えざる悲劇、止まらぬ衝撃
魔導列車の中、クロエ・ハートフィリアは、屈辱と耐えがたい状況に追い込まれていた。
──全裸で不可視化したまま、満員の乗客に押し潰され、股間をポールに押し付けた状態で固定される。
さらに、後ろからは誰かの傘の先端が、お尻にぴたりと当たってしまっていた。
「……っ、く……!!」
必死に息を殺し、耐えるしかなかった。
この状況で声を出せば、不可視化が解除され、全裸のまま人前に姿を現してしまう。
それだけは、絶対に避けなければならない。
しかし、身動きの取れない苦痛と、羞恥に耐え続けるのは限界だった。
──なんとか抜け出さなきゃ……!!
そう思ったクロエは、無理やり体勢を変えようと、身体をひねった。
──その瞬間だった。
カンッ!!!
「……ッッ!!?」
傘の先端が、股間を直撃した。
クロエの意識が、一瞬飛びかけた。
反射的に身体をビクッと跳ねさせたが、列車の揺れと満員の乗客の圧力により、逃げ場はなかった。
さらに、最悪の事態が続く──。
ガタン……ゴトン……
列車の揺れに合わせて、傘の先端が出たり、入ったりする感覚が伝わる。
「っ……!? やめ……っ!!」
叫びたかったが、声を出すことはできない。
口元を必死に噛み締め、震える息を殺す。
しかし、列車は止まるどころか、ますます揺れが激しくなっていく。
ゴトン……ガタン……
そのたびに、傘の先端が奥へと押し込まれ、また少し抜ける。
まるで、電車が動くたびに傘がリズムよく動かされているような状態だった。
「ん……ッ、く……!!!」
顔を真っ赤にし、全身の筋肉を強張らせる。
耐えろ……耐えるしかない……!!
しかし、無情にも列車は揺れ続ける。
ガタンッ!!
「ッ……!!!」
強い衝撃が走り、クロエの全身がビクンと跳ねる。
これ以上の衝撃に耐えられる気がしない……!!
そして──
「次は、終点です。」
──ようやく、終点が近づいてきた。
ホームに列車が停車すると、乗客たちが一斉に降りていく。
クロエも、不可視化したまま、ようやく解放された。
ガクガクと震える足でふらつきながら、何とか駅のトイレへと向かう。
──今すぐに確認しなければならない。
身体の違和感が強すぎる。
あの傘の一撃が、ただの衝撃ではなかったことを、本能が告げていた。
「っ……!」
トイレの個室に駆け込むと、鍵をかけ、ようやく一息つく。
不可視化を解除し、全裸のまま鏡の前に立った。
そして、ゆっくりと股間に手を伸ばす。
「……っ……!!?」
クロエの顔が、青ざめた。
──そこに、あるはずのものが、ない。
「嘘……でしょ……?」
震える手で、何度も確かめる。
何かの間違いであってほしいと願いながら、何度も何度も……。
だが、何度触れても、違和感しかない。
クロエの股間から、何かが失われていた。
「……あ……あぁ……」
崩れ落ちるように、トイレの床に座り込む。
──傘の先端が、何かを奪った。
その確信が、クロエを絶望の底へと突き落とした。
「私……もう……」
言葉が出ない。
目の前が滲む。
──私は、一体どうなってしまったの……!?
次回予告
クロエに起こった異変とは!? 彼女はこの現実をどう受け止めるのか!?
次回、「見えざる喪失、取り戻せないもの」
魔導列車の中、クロエ・ハートフィリアは、屈辱と耐えがたい状況に追い込まれていた。
──全裸で不可視化したまま、満員の乗客に押し潰され、股間をポールに押し付けた状態で固定される。
さらに、後ろからは誰かの傘の先端が、お尻にぴたりと当たってしまっていた。
「……っ、く……!!」
必死に息を殺し、耐えるしかなかった。
この状況で声を出せば、不可視化が解除され、全裸のまま人前に姿を現してしまう。
それだけは、絶対に避けなければならない。
しかし、身動きの取れない苦痛と、羞恥に耐え続けるのは限界だった。
──なんとか抜け出さなきゃ……!!
そう思ったクロエは、無理やり体勢を変えようと、身体をひねった。
──その瞬間だった。
カンッ!!!
「……ッッ!!?」
傘の先端が、股間を直撃した。
クロエの意識が、一瞬飛びかけた。
反射的に身体をビクッと跳ねさせたが、列車の揺れと満員の乗客の圧力により、逃げ場はなかった。
さらに、最悪の事態が続く──。
ガタン……ゴトン……
列車の揺れに合わせて、傘の先端が出たり、入ったりする感覚が伝わる。
「っ……!? やめ……っ!!」
叫びたかったが、声を出すことはできない。
口元を必死に噛み締め、震える息を殺す。
しかし、列車は止まるどころか、ますます揺れが激しくなっていく。
ゴトン……ガタン……
そのたびに、傘の先端が奥へと押し込まれ、また少し抜ける。
まるで、電車が動くたびに傘がリズムよく動かされているような状態だった。
「ん……ッ、く……!!!」
顔を真っ赤にし、全身の筋肉を強張らせる。
耐えろ……耐えるしかない……!!
しかし、無情にも列車は揺れ続ける。
ガタンッ!!
「ッ……!!!」
強い衝撃が走り、クロエの全身がビクンと跳ねる。
これ以上の衝撃に耐えられる気がしない……!!
そして──
「次は、終点です。」
──ようやく、終点が近づいてきた。
ホームに列車が停車すると、乗客たちが一斉に降りていく。
クロエも、不可視化したまま、ようやく解放された。
ガクガクと震える足でふらつきながら、何とか駅のトイレへと向かう。
──今すぐに確認しなければならない。
身体の違和感が強すぎる。
あの傘の一撃が、ただの衝撃ではなかったことを、本能が告げていた。
「っ……!」
トイレの個室に駆け込むと、鍵をかけ、ようやく一息つく。
不可視化を解除し、全裸のまま鏡の前に立った。
そして、ゆっくりと股間に手を伸ばす。
「……っ……!!?」
クロエの顔が、青ざめた。
──そこに、あるはずのものが、ない。
「嘘……でしょ……?」
震える手で、何度も確かめる。
何かの間違いであってほしいと願いながら、何度も何度も……。
だが、何度触れても、違和感しかない。
クロエの股間から、何かが失われていた。
「……あ……あぁ……」
崩れ落ちるように、トイレの床に座り込む。
──傘の先端が、何かを奪った。
その確信が、クロエを絶望の底へと突き落とした。
「私……もう……」
言葉が出ない。
目の前が滲む。
──私は、一体どうなってしまったの……!?
次回予告
クロエに起こった異変とは!? 彼女はこの現実をどう受け止めるのか!?
次回、「見えざる喪失、取り戻せないもの」
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