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第21話 黒い霧
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呼吸の仕方を忘れる程の激痛で、クロエは膝をついた。
内臓を潰される苦しみ、吐き気が込み上げ、全身から脂汗が噴き出る。
「ケホッ、ケホッ!」
クロエが咳き込むと、吐血により床を染めた。
致命傷では無いが、内臓にかなりのダメージを負ってしまった様だ。
だが、それは相手も同じこと・・・いや、胸を貫いたのだから、黒騎士はクロエ以上にダメージを負っているはずだった。
恐らく、致命傷になるであろう一撃を入れたことで、油断してカウンターを真面に受けてしまった。
しかし、決着はついた。
クロエが顔を上げると、目を見開いて驚きの表情を浮かべる。
「確かに貫いたはずなのに・・・」
胸を貫かれたはずの黒騎士は、平然と立っており、胸に空いたはずの穴も塞がっていた。
いや、それどころか戦闘中に負った鎧の傷も消えている。
「残念だったな、我に物理攻撃は効かない」
黒騎士の鎧が黒い粒子状に変化して、室内を黒い霧が満たしていく。
そこで、漸くクロエは、相手が人間では無い事に気付いた。
死霊タイプのアンデット・・・それもかなり上位の存在だろう。
物理攻撃が効かないと言うのは、かなり厄介な相手であり、クロエにとっては最悪の相性だ。
「・・・なるほどね」
非常に不味い状況の中、クロエは不動産屋で会ったミレイの話を思い出していた。
「幽霊屋敷って話も、あながち嘘じゃなかったみたいね」
ウェアウルフの能力のおかげか、クロエの肉体は、超人的な速さで回復しており、既に内臓のダメージも殆ど消えていた。
「ほう、まだ諦めてはいない様だな」
立ち上がるクロエを見て、黒騎士は、大剣を構えた。
黒騎士の周囲を包み込む黒い霧は、徐々に濃密になっており、範囲も広がっている。
「この霧・・・危険ね」
クロエの獣の直感が警報を鳴らしていた。
毒・・・いや、もっと禍々しい気配を感じる。
あの黒い霧に触れれば、死ぬと本能的に分かった。
この密室で戦うのは不味いと判断したクロエは、即座に窓に向かって走り出すと、風の刃で窓ガラスを割って外に飛び出した。
ここは3階の寝室であり、地面からはかなりの高さがある。
しかし、ウェアウルフの身体能力を持つクロエは、音も無く着地すると、そのまま庭を駆け抜けて、正門へ向かう。
クロエの武器は爪と風魔術であり、物理攻撃が効かない死霊系モンスターとは、根本的に相性が悪い。
このまま戦闘を継続してもこちらが不利だと判断したクロエは、戦略的撤退を選択した。
敵の正体は分かった。
ならば、冒険者ギルドで仲間を集めて討伐すれば良い。
死霊系モンスターと相性の良い炎属性か神聖属性の魔力を使える魔術師がいれば、勝率はかなり高くなるはずだ。
その為にも、今は生き残って情報を持ち帰る必要がある。
「尻尾を巻いて逃げ出すとは、所詮は雌犬か」
真横から突然現れた大剣の一突きが、クロエの頬を掠めて、赤い血が流れた。
死角からの攻撃をギリギリ避けられたのは、僅かに感じる殺気に気付けたからだ。
「ほう、やるな!」
黒い霧の中から現れた黒騎士の腹に、クロエの爪が突き刺さる。
だが、これでは黒騎士にダメージが無い事は分かっている。
クロエは、突き刺した右手に魔力を込めて、圧縮した空気を弾けさせた。
黒騎士の体内で爆発的に膨張した空気の塊が爆ぜる様に黒騎士の全身鎧をバラバラに吹き飛ばした。
「だが、無駄な足掻きだ」
しかし、背後の霧の中から無傷の黒騎士が現れ、大剣を振り下ろした。
その一撃をクロエは、爪で弾き返すと同時に、黒騎士の冑を蹴り上げる。
「しつこい男は嫌われるわよ?」
違和感・・・何かおかしい。
黒騎士を破壊してから次に現れるまでのタイムラグが少な過ぎる。
まるで複数同時に黒騎士が存在している様な?
「まさか!?」
僅かに漏れる殺気に気付いたクロエは、背後を振り返る。
そこには大剣を振り上げる黒騎士の姿があった。
先ほど蹴り上げた黒騎士は、まだそこにいる。
つまり、この黒騎士は分身体?
だが、身体能力だけならクロエの方が優っている様だ。
目も慣れてきたのか、黒騎士の剣も先程より遅く感じる。
クロエは、完全に黒騎士の剣の動きを見切り始めていた。
剣技だけなら、スキンヘッドのソードマスターの方が強かった。
「壊しても無駄なら、吹き飛びなさい!」
クロエは、前蹴りを黒騎士の胸に放った。
蹴り飛ばして、距離を取った隙に逃げれば良い。
逃げ切れば勝ちのクロエにとって、相手を倒す必要は無い。
クロエの鋭い前蹴りが、黒騎士の硬質な胸のプレートに当たった瞬間、予想しない感触が足裏に伝わる。
「・・・え?」
グニャっとした感触、まるでスライムを蹴った様な感覚が気持ち悪い。
クロエの右足は膝まで黒騎士の胸に埋まっており、次の瞬間、黒騎士の体が液状化して、クロエの体に纏わり付いた。
剥がそうとしても、粘着性のあるゴムの様に体に引っ付いて剥がれない。
「終わりだな」
身動きが取れない無防備な状態のクロエの前には、黒騎士が大剣を振り上げていた。
「騎士のクセに、卑怯な手ばかり使うのね」
搦め手ばかり使って来る黒騎士に、クロエは、皮肉を吐いた。
「大切なモノすら守れない騎士道なら、とうの昔に捨てたさ」
黒騎士は、少しだけ哀しそうに呟いた。
だが、そこには、勝利に対する強い渇望と確固たる信念が感じられた。
「へぇ、偉そうに騎士道を説くブリキの騎士よりはマシね」
そう言うと、クロエは体内で練り込んだ魔力を全身から放出した。
圧縮した風の魔力が爆発し、クロエを中心に衝撃波が発生する。
爆風は、庭全体を揺るがす程の威力で、クロエの体に絡み付いた黒いスライムも風と共に剥がれていく。
以前のクロエであれば、これ程の規模の魔術を使う事は出来なかっただろう。
邪神エキドナの呪いを受けてから、着実に体内の魔力量が上がっている。
それでも、流石に魔力を使い過ぎた。
魔力欠乏症の症状により、酷い脱力感と頭痛に襲われる。
しかし、容赦無く眼前に現れた黒騎士は、大剣を振り上げた。
「本当に、しつこいんだから」
クロエは、何とか右手を前に出すが、腕に力が入らない。
死の匂いがした気がした。
しかし、その瞬間、クロエの影が蠢き、黒い炎が噴き出した。
内臓を潰される苦しみ、吐き気が込み上げ、全身から脂汗が噴き出る。
「ケホッ、ケホッ!」
クロエが咳き込むと、吐血により床を染めた。
致命傷では無いが、内臓にかなりのダメージを負ってしまった様だ。
だが、それは相手も同じこと・・・いや、胸を貫いたのだから、黒騎士はクロエ以上にダメージを負っているはずだった。
恐らく、致命傷になるであろう一撃を入れたことで、油断してカウンターを真面に受けてしまった。
しかし、決着はついた。
クロエが顔を上げると、目を見開いて驚きの表情を浮かべる。
「確かに貫いたはずなのに・・・」
胸を貫かれたはずの黒騎士は、平然と立っており、胸に空いたはずの穴も塞がっていた。
いや、それどころか戦闘中に負った鎧の傷も消えている。
「残念だったな、我に物理攻撃は効かない」
黒騎士の鎧が黒い粒子状に変化して、室内を黒い霧が満たしていく。
そこで、漸くクロエは、相手が人間では無い事に気付いた。
死霊タイプのアンデット・・・それもかなり上位の存在だろう。
物理攻撃が効かないと言うのは、かなり厄介な相手であり、クロエにとっては最悪の相性だ。
「・・・なるほどね」
非常に不味い状況の中、クロエは不動産屋で会ったミレイの話を思い出していた。
「幽霊屋敷って話も、あながち嘘じゃなかったみたいね」
ウェアウルフの能力のおかげか、クロエの肉体は、超人的な速さで回復しており、既に内臓のダメージも殆ど消えていた。
「ほう、まだ諦めてはいない様だな」
立ち上がるクロエを見て、黒騎士は、大剣を構えた。
黒騎士の周囲を包み込む黒い霧は、徐々に濃密になっており、範囲も広がっている。
「この霧・・・危険ね」
クロエの獣の直感が警報を鳴らしていた。
毒・・・いや、もっと禍々しい気配を感じる。
あの黒い霧に触れれば、死ぬと本能的に分かった。
この密室で戦うのは不味いと判断したクロエは、即座に窓に向かって走り出すと、風の刃で窓ガラスを割って外に飛び出した。
ここは3階の寝室であり、地面からはかなりの高さがある。
しかし、ウェアウルフの身体能力を持つクロエは、音も無く着地すると、そのまま庭を駆け抜けて、正門へ向かう。
クロエの武器は爪と風魔術であり、物理攻撃が効かない死霊系モンスターとは、根本的に相性が悪い。
このまま戦闘を継続してもこちらが不利だと判断したクロエは、戦略的撤退を選択した。
敵の正体は分かった。
ならば、冒険者ギルドで仲間を集めて討伐すれば良い。
死霊系モンスターと相性の良い炎属性か神聖属性の魔力を使える魔術師がいれば、勝率はかなり高くなるはずだ。
その為にも、今は生き残って情報を持ち帰る必要がある。
「尻尾を巻いて逃げ出すとは、所詮は雌犬か」
真横から突然現れた大剣の一突きが、クロエの頬を掠めて、赤い血が流れた。
死角からの攻撃をギリギリ避けられたのは、僅かに感じる殺気に気付けたからだ。
「ほう、やるな!」
黒い霧の中から現れた黒騎士の腹に、クロエの爪が突き刺さる。
だが、これでは黒騎士にダメージが無い事は分かっている。
クロエは、突き刺した右手に魔力を込めて、圧縮した空気を弾けさせた。
黒騎士の体内で爆発的に膨張した空気の塊が爆ぜる様に黒騎士の全身鎧をバラバラに吹き飛ばした。
「だが、無駄な足掻きだ」
しかし、背後の霧の中から無傷の黒騎士が現れ、大剣を振り下ろした。
その一撃をクロエは、爪で弾き返すと同時に、黒騎士の冑を蹴り上げる。
「しつこい男は嫌われるわよ?」
違和感・・・何かおかしい。
黒騎士を破壊してから次に現れるまでのタイムラグが少な過ぎる。
まるで複数同時に黒騎士が存在している様な?
「まさか!?」
僅かに漏れる殺気に気付いたクロエは、背後を振り返る。
そこには大剣を振り上げる黒騎士の姿があった。
先ほど蹴り上げた黒騎士は、まだそこにいる。
つまり、この黒騎士は分身体?
だが、身体能力だけならクロエの方が優っている様だ。
目も慣れてきたのか、黒騎士の剣も先程より遅く感じる。
クロエは、完全に黒騎士の剣の動きを見切り始めていた。
剣技だけなら、スキンヘッドのソードマスターの方が強かった。
「壊しても無駄なら、吹き飛びなさい!」
クロエは、前蹴りを黒騎士の胸に放った。
蹴り飛ばして、距離を取った隙に逃げれば良い。
逃げ切れば勝ちのクロエにとって、相手を倒す必要は無い。
クロエの鋭い前蹴りが、黒騎士の硬質な胸のプレートに当たった瞬間、予想しない感触が足裏に伝わる。
「・・・え?」
グニャっとした感触、まるでスライムを蹴った様な感覚が気持ち悪い。
クロエの右足は膝まで黒騎士の胸に埋まっており、次の瞬間、黒騎士の体が液状化して、クロエの体に纏わり付いた。
剥がそうとしても、粘着性のあるゴムの様に体に引っ付いて剥がれない。
「終わりだな」
身動きが取れない無防備な状態のクロエの前には、黒騎士が大剣を振り上げていた。
「騎士のクセに、卑怯な手ばかり使うのね」
搦め手ばかり使って来る黒騎士に、クロエは、皮肉を吐いた。
「大切なモノすら守れない騎士道なら、とうの昔に捨てたさ」
黒騎士は、少しだけ哀しそうに呟いた。
だが、そこには、勝利に対する強い渇望と確固たる信念が感じられた。
「へぇ、偉そうに騎士道を説くブリキの騎士よりはマシね」
そう言うと、クロエは体内で練り込んだ魔力を全身から放出した。
圧縮した風の魔力が爆発し、クロエを中心に衝撃波が発生する。
爆風は、庭全体を揺るがす程の威力で、クロエの体に絡み付いた黒いスライムも風と共に剥がれていく。
以前のクロエであれば、これ程の規模の魔術を使う事は出来なかっただろう。
邪神エキドナの呪いを受けてから、着実に体内の魔力量が上がっている。
それでも、流石に魔力を使い過ぎた。
魔力欠乏症の症状により、酷い脱力感と頭痛に襲われる。
しかし、容赦無く眼前に現れた黒騎士は、大剣を振り上げた。
「本当に、しつこいんだから」
クロエは、何とか右手を前に出すが、腕に力が入らない。
死の匂いがした気がした。
しかし、その瞬間、クロエの影が蠢き、黒い炎が噴き出した。
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