19 / 29
第19話 亡霊の騎士
しおりを挟む
真夜中になり、静まり返った屋敷の中で、それは目を覚ました。
何も無い空間に黒い霧状の粒子が収束していき、漆黒の全身鎧が現れる。
光を一切反射しない闇の鎧は、体長2m以上あり、背中には身の丈程の大剣を背負っていた。
全身に禍々しいオーラを纏っており、殺意に満ちた紅い光がフルフェイスの冑の奥で光っている。
かつて英雄と呼ばれていた騎士は、死して尚、国を守る為に戦い続けた。
それは、祖国に残した愛する妻と娘を守る為に・・・やがて肉は腐り落ち、骨すらも風化して、魂だけとなった英霊は、いつしか鎧と一体化し、不滅の肉体を手に入れていた。
だが、気付いた時には、英雄の祖国は既に滅んでいた。
守るべきモノを失った英雄は、復讐の為に闇雲に人間を襲い続けた。
かつての英雄は、いつしか亡霊の騎士 と呼ばれる様になっていた。
そして、魔王の側近として新たな主君と出逢う。
しかし、その魔王も300年前の戦争で失ってしまった。
あの日から300年、亡霊の騎士 は、魔王との最後の約束を守る為に、この屋敷を守り続けていた。
「侵入者か」
彼の研ぎ澄まされた感覚は、屋敷内の状況を即座に把握する事ができた。
この屋敷に侵入した人間は、誰一人として生かして帰した事は無い。
最後に訪れた人間を殺したのは3年程前の事だ。
もう、誰も来ないと思っていたが、人間と言う生き物は、忘れっぽいのか学習しないのか、次から次へとこの屋敷を訪れる。
いっそのこと、近くの人間の街ごと滅ぼしてしまおうかと考えた事もあったが、彼にはこの屋敷を離れるわけにはいかない理由があった。
「3階の寝室か」
彼は音も無く、亡霊の様に静かに廊下を進み、侵入者が眠る寝室の扉の前に辿り着いた。
そして、扉を開ける事無く、霧状に変化して、隙間から室内に侵入すると、再び部屋の中で具現化する。
寝室のベッドの上には、少女が裸で寝ていた。
狐色の髪の毛に、雪の様に白い肌の美少女は、静かに寝息を立てている。
「人間・・・では無いのか?」
少女の頭にはモフモフな愛くるしい犬耳が生えており、プリッと丸みを帯びたお尻の付け根からは、フサフサな尻尾が生えていた。
ウェアウルフだろうか?
普通のウェアウルフとは明らかに異質な雰囲気を持っている。
「この気配は、邪神エキドナの呪いか?」
邪神エキドナは、あらゆる怪異や化物の産みの親であり、かつて世界を滅ぼした旧世界の神々の一柱だ。
快楽と破滅を司る神であり、今も冥界の地下深くに封印されていると言われている。
ダンジョンや魔物の発生も、大地から漏れ出た邪神エキドナの力が影響しているとも言われている。
亡霊の騎士 自身も邪神エキドナの影響によりアンデット化した魔物であり、目の前のウェアウルフの少女から発せられる気配と共鳴していた。
「だか、不完全だな」
目の前のウェアウルフから発せられる邪神エキドナの気配は、亡霊の騎士 とは比較にならないくらい濃厚で禍々しかった。
大地から溢れ出て空気中を漂う邪神の力でアンデット化した亡霊の騎士 に対して、目の前のウェアウルフは、直接、邪神エキドナの力を注ぎ込まれた様な濃厚なオーラを発している・・・まるで、邪神エキドナが目の前にいるかの様に錯覚してしまう程だ。
魔物達は邪神エキドナの力を本能的に欲しており、邪神エキドナの気配に惹きつけられる。
ありとあらゆる魔物が、この雌を欲するだろう。
邪神エキドナの力を持つこの娘を陵辱し、犯し、孕ませる事ができれば、より強い魔物を産み落とさせる事ができる。
・・・もしかしたら、新たな魔王を産むかも知れない。
亡霊の騎士 自身も、本能的に、目の前の少女を陵辱して犯したい欲求に駆られていた。
しかし、亡霊の騎士 は、既に肉体を失っており、生殖機能はとうの昔に無くなっていた。
それに、先程、亡霊の騎士 が呟いた様に、目の前の少女は、魔物と呼ぶには、未だ不完全な状態だ。
これほど濃密な邪神の力を持っているのにも関わらず、目の前の少女は、まだ魔物になりきれていない。
魔物には、他の動物や人間とは明らかに違う特徴がある。
それは魔石の有無だ。
魔物は、それぞれ大小様々な魔石を体内に保有している。
魔石は、魔力と邪神の力が混ざり合った結晶であり、魔物の持つ権能は、魔石によって生み出された力だ。
しかし、目の前のウェアウルフからは、魔石の気配は感じられない。
全身に邪神の力が巡っているが、結晶化はしていない。
恐らく、魔物になりきれていないのは、人間の心を捨てきれていないからだろう。
「まだ、人として生きる道を諦めていないのか」
かつては、自分もそうだった時期があったと、懐かしむ。
しかし、亡霊の騎士 は、人として生きる道は千年前に捨てた。
残念ながら、この道に帰り道は無いからだ。
「人の心を持ち続ける程、苦しみが長引くだけだというのに・・・愚かな娘だ」
だが、もしこの娘が人の心を捨て、完全な魔物として覚醒したら、どれ程の力を持つのだろうか?
末恐ろしい・・・故に、亡霊の騎士 は、見逃すわけにはいかなかった。
亡霊の騎士 は背中の両手剣を抜いた。
「許せ、我が主君の脅威に成りうる存在を見逃すわけにはいかないのでな」
亡霊の騎士 は、かつての主君との約束を守る為にも、脅威と成りうる目の前のウェアウルフを殺す事に決めた。
いや、最初から覚悟は決まっていたと言うべきだろう。
亡霊の騎士 は、大剣を振り上げて、上段に構える。
そして、容赦無く無防備な裸の少女に向かって振り下ろした。
何も無い空間に黒い霧状の粒子が収束していき、漆黒の全身鎧が現れる。
光を一切反射しない闇の鎧は、体長2m以上あり、背中には身の丈程の大剣を背負っていた。
全身に禍々しいオーラを纏っており、殺意に満ちた紅い光がフルフェイスの冑の奥で光っている。
かつて英雄と呼ばれていた騎士は、死して尚、国を守る為に戦い続けた。
それは、祖国に残した愛する妻と娘を守る為に・・・やがて肉は腐り落ち、骨すらも風化して、魂だけとなった英霊は、いつしか鎧と一体化し、不滅の肉体を手に入れていた。
だが、気付いた時には、英雄の祖国は既に滅んでいた。
守るべきモノを失った英雄は、復讐の為に闇雲に人間を襲い続けた。
かつての英雄は、いつしか亡霊の騎士 と呼ばれる様になっていた。
そして、魔王の側近として新たな主君と出逢う。
しかし、その魔王も300年前の戦争で失ってしまった。
あの日から300年、亡霊の騎士 は、魔王との最後の約束を守る為に、この屋敷を守り続けていた。
「侵入者か」
彼の研ぎ澄まされた感覚は、屋敷内の状況を即座に把握する事ができた。
この屋敷に侵入した人間は、誰一人として生かして帰した事は無い。
最後に訪れた人間を殺したのは3年程前の事だ。
もう、誰も来ないと思っていたが、人間と言う生き物は、忘れっぽいのか学習しないのか、次から次へとこの屋敷を訪れる。
いっそのこと、近くの人間の街ごと滅ぼしてしまおうかと考えた事もあったが、彼にはこの屋敷を離れるわけにはいかない理由があった。
「3階の寝室か」
彼は音も無く、亡霊の様に静かに廊下を進み、侵入者が眠る寝室の扉の前に辿り着いた。
そして、扉を開ける事無く、霧状に変化して、隙間から室内に侵入すると、再び部屋の中で具現化する。
寝室のベッドの上には、少女が裸で寝ていた。
狐色の髪の毛に、雪の様に白い肌の美少女は、静かに寝息を立てている。
「人間・・・では無いのか?」
少女の頭にはモフモフな愛くるしい犬耳が生えており、プリッと丸みを帯びたお尻の付け根からは、フサフサな尻尾が生えていた。
ウェアウルフだろうか?
普通のウェアウルフとは明らかに異質な雰囲気を持っている。
「この気配は、邪神エキドナの呪いか?」
邪神エキドナは、あらゆる怪異や化物の産みの親であり、かつて世界を滅ぼした旧世界の神々の一柱だ。
快楽と破滅を司る神であり、今も冥界の地下深くに封印されていると言われている。
ダンジョンや魔物の発生も、大地から漏れ出た邪神エキドナの力が影響しているとも言われている。
亡霊の騎士 自身も邪神エキドナの影響によりアンデット化した魔物であり、目の前のウェアウルフの少女から発せられる気配と共鳴していた。
「だか、不完全だな」
目の前のウェアウルフから発せられる邪神エキドナの気配は、亡霊の騎士 とは比較にならないくらい濃厚で禍々しかった。
大地から溢れ出て空気中を漂う邪神の力でアンデット化した亡霊の騎士 に対して、目の前のウェアウルフは、直接、邪神エキドナの力を注ぎ込まれた様な濃厚なオーラを発している・・・まるで、邪神エキドナが目の前にいるかの様に錯覚してしまう程だ。
魔物達は邪神エキドナの力を本能的に欲しており、邪神エキドナの気配に惹きつけられる。
ありとあらゆる魔物が、この雌を欲するだろう。
邪神エキドナの力を持つこの娘を陵辱し、犯し、孕ませる事ができれば、より強い魔物を産み落とさせる事ができる。
・・・もしかしたら、新たな魔王を産むかも知れない。
亡霊の騎士 自身も、本能的に、目の前の少女を陵辱して犯したい欲求に駆られていた。
しかし、亡霊の騎士 は、既に肉体を失っており、生殖機能はとうの昔に無くなっていた。
それに、先程、亡霊の騎士 が呟いた様に、目の前の少女は、魔物と呼ぶには、未だ不完全な状態だ。
これほど濃密な邪神の力を持っているのにも関わらず、目の前の少女は、まだ魔物になりきれていない。
魔物には、他の動物や人間とは明らかに違う特徴がある。
それは魔石の有無だ。
魔物は、それぞれ大小様々な魔石を体内に保有している。
魔石は、魔力と邪神の力が混ざり合った結晶であり、魔物の持つ権能は、魔石によって生み出された力だ。
しかし、目の前のウェアウルフからは、魔石の気配は感じられない。
全身に邪神の力が巡っているが、結晶化はしていない。
恐らく、魔物になりきれていないのは、人間の心を捨てきれていないからだろう。
「まだ、人として生きる道を諦めていないのか」
かつては、自分もそうだった時期があったと、懐かしむ。
しかし、亡霊の騎士 は、人として生きる道は千年前に捨てた。
残念ながら、この道に帰り道は無いからだ。
「人の心を持ち続ける程、苦しみが長引くだけだというのに・・・愚かな娘だ」
だが、もしこの娘が人の心を捨て、完全な魔物として覚醒したら、どれ程の力を持つのだろうか?
末恐ろしい・・・故に、亡霊の騎士 は、見逃すわけにはいかなかった。
亡霊の騎士 は背中の両手剣を抜いた。
「許せ、我が主君の脅威に成りうる存在を見逃すわけにはいかないのでな」
亡霊の騎士 は、かつての主君との約束を守る為にも、脅威と成りうる目の前のウェアウルフを殺す事に決めた。
いや、最初から覚悟は決まっていたと言うべきだろう。
亡霊の騎士 は、大剣を振り上げて、上段に構える。
そして、容赦無く無防備な裸の少女に向かって振り下ろした。
10
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説

称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます

捨てられた転生幼女は無自重無双する
紅 蓮也
ファンタジー
スクラルド王国の筆頭公爵家の次女として生を受けた三歳になるアイリス・フォン・アリステラは、次期当主である年の離れた兄以外の家族と兄がつけたアイリスの専属メイドとアイリスに拾われ恩義のある専属騎士以外の使用人から疎まれていた。
アイリスを疎ましく思っている者たちや一部の者以外は知らないがアイリスは転生者でもあった。
ある日、寝ているとアイリスの部屋に誰かが入ってきて、アイリスは連れ去られた。
アイリスは、肌寒さを感じ目を覚ますと近くにその場から去ろうとしている人の声が聞こえた。
去ろうとしている人物は父と母だった。
ここで声を出し、起きていることがバレると最悪、殺されてしまう可能性があるので、寝たふりをして二人が去るのを待っていたが、そのまま本当に寝てしまい二人が去った後に近づいて来た者に気づくことが出来ず、また何処かに連れていかれた。
朝になり起こしに来た専属メイドが、アイリスがいない事を当主に報告し、疎ましく思っていたくせに当主と夫人は騒ぎたて、当主はアイリスを探そうともせずに、その場でアイリスが誘拐された責任として、専属メイドと専属騎士にクビを言い渡した。
クビを言い渡された専属メイドと専属騎士は、何も言わず食堂を出て行き身支度をして、公爵家から出ていった。
しばらく歩いていると、次期当主であるカイルが後を追ってきて、カイルの腕にはいなくなったはずのアイリスが抱かれていた。
アイリスの無事に安心した二人は、カイルの話を聞き、三人は王城に向かった。
王城で、カイルから話を聞いた国王から広大なアイリス公爵家の領地の端にあり、昔の公爵家本邸があった場所の管理と魔の森の開拓をカイルは、国王から命られる。
アイリスは、公爵家の目がなくなったので、無自重でチートし続け管理と開拓を命じられた兄カイルに協力し、辺境の村々の発展や魔の森の開拓をしていった。
※諸事情によりしばらく連載休止致します。
※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。

会うたびに、貴方が嫌いになる
黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
長身の王女レオーネは、侯爵家令息のアリエスに会うたびに惹かれた。だが、守り役に徹している彼が応えてくれたことはない。彼女が聖獣の力を持つために発情期を迎えた時も、身体を差し出して鎮めてくれこそしたが、その後も変わらず塩対応だ。悩むレオーネは、彼が自分とは正反対の可愛らしい令嬢と親しくしているのを目撃してしまう。優しく笑いかけ、「小さい方が良い」と褒めているのも聞いた。失恋という現実を受け入れるしかなかったレオーネは、二人の妨げになるまいと決意した。
アリエスは嫌そうに自分を遠ざけ始めたレオーネに、動揺を隠せなくなった。彼女が演技などではなく、本気でそう思っていると分かったからだ。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。

側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる