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プロローグ
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いつからだろうか。
具体的な時期が思い浮かばないような頃から俺はいじめられていた。
最初は物を隠されたりなど悪戯のつもりだったのかもしれない。
俺は少し嫌だったけれど、友達と言うこともあり反論はしなかった。
今思えばそれが事態を悪化の一途に向かわせる一番の原因だったのだろう。
気づけば冗談は暴言や暴力に変わっていた。
「おい!デブ口臭いんだよ!」
「うわ!こいつ泣いてね!?きもおおおおおおおお!」
「うわっ!泣くなよ」
「男子~最低だって~」
「お前も笑ってるじゃんー」
俺が殴られ罵られることで、教室に笑いが起こる。
こんな光景がもう日常となっており、今となっては止める者もそしてそれに違和感を持つ者すらいなくなっていた。
世界では貧しい生活を強いられ、死にそうになりながら働かされている人がいる。
でも、日本に住んでいる我々は同情はすれど助けようとはしない。
きっと、本質的には同じなのだ。
自分には関係ないから。
人の不幸は人生のおける最高のスパイスだから。
そんな最高に手軽で愉快痛快な娯楽を手放したいお人好しの馬鹿がどこにいるのだろうか。
生憎、俺はそんなやつを見たことがない。
「おい!脱げよ!」
小6の冬には身ぐるみ剝がされて外に放置させられた事もあった。
身体も当然冷えるが、何より心が凍りそうになる。
当然、憎かったし反撃して殺してやりたかった。
でも、どうしてもその一歩が踏み出せなかった。
もし、やり過ぎたら少年院にぶち込まれるのではないか。
失敗して殺されるのではないか。
何か行動しようと思ったらやらない理由を探し続ける。
そんな馬鹿なことをしているからこんな風にいじめられるのだろう。
「おいっ!死ね死ね死ね」
何度も蹴られた。
「お前の泣き顔ブタみたいだよなあ!!!」
顔も殴られた。
何度も何度も何度も。
泣き喚いても止まらない。
この時にはもう、俺の血と涙でぐちゃぐちゃになったプライドは砕け散っていた。
「おら!鳴けよブタ!おい!殺処分するぞ~!」
好きな本やゲーム機は全て奪われたし、お気に入りの服は切り裂かれた。
でも、俺は期待していた。
彼らも俺と同じ赤い血の通った人間なのだ。
ならば、いつか改心するのではないか。
悔い改めるのではないか。
そんな俺の期待とは裏腹にいじめは待てども待てども終わらない。
当然、親や先生にも相談した。
「...助けてください」
「しっかりと監視しておきますね」
俺が恥を忍んで、担任に相談しても口で言うだけで何も変わらない。
耳障りの良い言葉を言うだけ。
昔からの幼馴染に助けを求めても傍観しているだけで、俺なんかの為には何もしてくれない。
家庭を支える為、激務をこなしている母に相談しても「後でね」の一言。
でも、父だけは違った。
病気を患っていて働いていないことを周りにはグチグチ言われていたが俺に取っては最高の父だった。
父だけは俺の話を懸命に聞き、全力で助けてくれようとしたのだ。
「父さんは優の味方だからな」
父の大きくて暖かい手のぬくもりは今も鮮明に覚えている。
だからこそ俺は道を踏み外さず、真っ当に生きてこられた。
いや、父が俺に生きる理由を与えてくれていたのだ。
良いことをしたら褒めてくれて、悪いことをしたら叱ってくれる。
父だけが『当たり前』を与えてくれた。
父は俺の生きる意味だった。
そして、俺はこの日々が永遠に続くものであるとばかり思っていた。
苦もあるが楽もある。
愚かな俺はそれが『当たり前』であると思っていた。
別れは当然だった。
「お前の親父死んだんだろ!?」
父の持病が悪化し、あっさりと父はこの世を去って行ってしまった。
どうして現実はこうも非情で、幸せは逃げていくのだろう。
こんなことなら夢だけ見て朽ち果てていきたい。
「え?マジ!?ウケるんだけど!」
「お前のその顔見れるなら、死んでよかったわ~!お前の母親も死なないかなー!」
「え?ってかお前の親父ニートなんだろ?ぶちゃけ死んでくれて嬉しいだろ?」
「...」
「おい!睨むなよ!ってかその顔きしょ!」
俺は悲しみよりも何よりも最愛の父を侮辱されたことが許せなかった。
なぜ、こんな社会に取って何の生産性のない生きる大型ゴミに懸命に生きようとした父がここまで言われないといけないのか。
殺してしまいたい。
もうどうなってもいい。
いや、どうにかなってしまえ。
頭がいや、身体全体が憎悪に支配されたのがわかる。
男、女関係なく殺してしまえ。
ぐちゃぐちゃにして、こいつらが生きた証すら消滅させろ。
全員、残虐に殺せ。
言い訳は良い。
憎悪を理由に。
俺は教師用のパイプ椅子を持ち上げ、ゴミたちを睨みいつけた。
仄かに鉄の生臭い香りが鼻腔を突く。
......これで解放される。
全ての決着がつく。
「お、おい!やめろ」
「冗談でしょ!」
「ネタだよおネタ!?分からないか?なあ」
「ごめんな?嫌だったんだよな!?」
俺は今までの恨み辛み、そして父の無念を晴らすようにパイプ椅子を振りかざした。
そこからは記憶がない。
乱闘になり、俺を含め十人が救急搬送されらしい。
「ごめんね。ごめん。本当にごめんね」
目が覚めると病室でただ一人母が泣いていた。
母が泣いている姿を見るのは初めてだ。
改めて自分もあいつらと同じクズなのだと実感する。
医者が話している所が聞こえてきたのだが、幸いなことに俺以外の9人も死に関わる様な状態でもなかれば、後遺症の心配もないらしい。
でも、俺は目が覚めると何か根本から変わってしまったような違和感に見舞われた。
「目が覚めたのね!?」
俺の覚醒に気が付き母が涙を拭き、駆け寄ってくる。
普段はあまり構ってくれにない母が注目してくれているのだ。
普段なら歓喜の念に身も心も包まれているだろう。
でも、今は違った。
感覚が鈍くなっているのだ。
前ほど嬉しくないし、嬉しいと思う事に嫌悪感する覚えている。
俺は思わず、母を振り払った。
「ご、ごめんね...?」
母はどこか悲しそうな表情を浮かべながらそう呟いた。
俺の中の愛や友情が枯れていくのがわかる。
でも、最高に心地いい。
狂わしい程に清々しい。
何か大切な物が水が漏れるかもように減って行ってるような。
自分がやっと本当の意味で報われたような。
兎にも角にも最高の気分なのだ!!!
やっと苦しくて辛かったマラソンを完走し、水をがぶ飲み出来たようなそんな感じだ!!!!!
ひゃふぅうう!
かくして、俺は壊れてしまったのだった。
創作活動の励みになりますので、作品のフォロー、★よろです...!
特に★を押してくださると本当に助かります....
具体的な時期が思い浮かばないような頃から俺はいじめられていた。
最初は物を隠されたりなど悪戯のつもりだったのかもしれない。
俺は少し嫌だったけれど、友達と言うこともあり反論はしなかった。
今思えばそれが事態を悪化の一途に向かわせる一番の原因だったのだろう。
気づけば冗談は暴言や暴力に変わっていた。
「おい!デブ口臭いんだよ!」
「うわ!こいつ泣いてね!?きもおおおおおおおお!」
「うわっ!泣くなよ」
「男子~最低だって~」
「お前も笑ってるじゃんー」
俺が殴られ罵られることで、教室に笑いが起こる。
こんな光景がもう日常となっており、今となっては止める者もそしてそれに違和感を持つ者すらいなくなっていた。
世界では貧しい生活を強いられ、死にそうになりながら働かされている人がいる。
でも、日本に住んでいる我々は同情はすれど助けようとはしない。
きっと、本質的には同じなのだ。
自分には関係ないから。
人の不幸は人生のおける最高のスパイスだから。
そんな最高に手軽で愉快痛快な娯楽を手放したいお人好しの馬鹿がどこにいるのだろうか。
生憎、俺はそんなやつを見たことがない。
「おい!脱げよ!」
小6の冬には身ぐるみ剝がされて外に放置させられた事もあった。
身体も当然冷えるが、何より心が凍りそうになる。
当然、憎かったし反撃して殺してやりたかった。
でも、どうしてもその一歩が踏み出せなかった。
もし、やり過ぎたら少年院にぶち込まれるのではないか。
失敗して殺されるのではないか。
何か行動しようと思ったらやらない理由を探し続ける。
そんな馬鹿なことをしているからこんな風にいじめられるのだろう。
「おいっ!死ね死ね死ね」
何度も蹴られた。
「お前の泣き顔ブタみたいだよなあ!!!」
顔も殴られた。
何度も何度も何度も。
泣き喚いても止まらない。
この時にはもう、俺の血と涙でぐちゃぐちゃになったプライドは砕け散っていた。
「おら!鳴けよブタ!おい!殺処分するぞ~!」
好きな本やゲーム機は全て奪われたし、お気に入りの服は切り裂かれた。
でも、俺は期待していた。
彼らも俺と同じ赤い血の通った人間なのだ。
ならば、いつか改心するのではないか。
悔い改めるのではないか。
そんな俺の期待とは裏腹にいじめは待てども待てども終わらない。
当然、親や先生にも相談した。
「...助けてください」
「しっかりと監視しておきますね」
俺が恥を忍んで、担任に相談しても口で言うだけで何も変わらない。
耳障りの良い言葉を言うだけ。
昔からの幼馴染に助けを求めても傍観しているだけで、俺なんかの為には何もしてくれない。
家庭を支える為、激務をこなしている母に相談しても「後でね」の一言。
でも、父だけは違った。
病気を患っていて働いていないことを周りにはグチグチ言われていたが俺に取っては最高の父だった。
父だけは俺の話を懸命に聞き、全力で助けてくれようとしたのだ。
「父さんは優の味方だからな」
父の大きくて暖かい手のぬくもりは今も鮮明に覚えている。
だからこそ俺は道を踏み外さず、真っ当に生きてこられた。
いや、父が俺に生きる理由を与えてくれていたのだ。
良いことをしたら褒めてくれて、悪いことをしたら叱ってくれる。
父だけが『当たり前』を与えてくれた。
父は俺の生きる意味だった。
そして、俺はこの日々が永遠に続くものであるとばかり思っていた。
苦もあるが楽もある。
愚かな俺はそれが『当たり前』であると思っていた。
別れは当然だった。
「お前の親父死んだんだろ!?」
父の持病が悪化し、あっさりと父はこの世を去って行ってしまった。
どうして現実はこうも非情で、幸せは逃げていくのだろう。
こんなことなら夢だけ見て朽ち果てていきたい。
「え?マジ!?ウケるんだけど!」
「お前のその顔見れるなら、死んでよかったわ~!お前の母親も死なないかなー!」
「え?ってかお前の親父ニートなんだろ?ぶちゃけ死んでくれて嬉しいだろ?」
「...」
「おい!睨むなよ!ってかその顔きしょ!」
俺は悲しみよりも何よりも最愛の父を侮辱されたことが許せなかった。
なぜ、こんな社会に取って何の生産性のない生きる大型ゴミに懸命に生きようとした父がここまで言われないといけないのか。
殺してしまいたい。
もうどうなってもいい。
いや、どうにかなってしまえ。
頭がいや、身体全体が憎悪に支配されたのがわかる。
男、女関係なく殺してしまえ。
ぐちゃぐちゃにして、こいつらが生きた証すら消滅させろ。
全員、残虐に殺せ。
言い訳は良い。
憎悪を理由に。
俺は教師用のパイプ椅子を持ち上げ、ゴミたちを睨みいつけた。
仄かに鉄の生臭い香りが鼻腔を突く。
......これで解放される。
全ての決着がつく。
「お、おい!やめろ」
「冗談でしょ!」
「ネタだよおネタ!?分からないか?なあ」
「ごめんな?嫌だったんだよな!?」
俺は今までの恨み辛み、そして父の無念を晴らすようにパイプ椅子を振りかざした。
そこからは記憶がない。
乱闘になり、俺を含め十人が救急搬送されらしい。
「ごめんね。ごめん。本当にごめんね」
目が覚めると病室でただ一人母が泣いていた。
母が泣いている姿を見るのは初めてだ。
改めて自分もあいつらと同じクズなのだと実感する。
医者が話している所が聞こえてきたのだが、幸いなことに俺以外の9人も死に関わる様な状態でもなかれば、後遺症の心配もないらしい。
でも、俺は目が覚めると何か根本から変わってしまったような違和感に見舞われた。
「目が覚めたのね!?」
俺の覚醒に気が付き母が涙を拭き、駆け寄ってくる。
普段はあまり構ってくれにない母が注目してくれているのだ。
普段なら歓喜の念に身も心も包まれているだろう。
でも、今は違った。
感覚が鈍くなっているのだ。
前ほど嬉しくないし、嬉しいと思う事に嫌悪感する覚えている。
俺は思わず、母を振り払った。
「ご、ごめんね...?」
母はどこか悲しそうな表情を浮かべながらそう呟いた。
俺の中の愛や友情が枯れていくのがわかる。
でも、最高に心地いい。
狂わしい程に清々しい。
何か大切な物が水が漏れるかもように減って行ってるような。
自分がやっと本当の意味で報われたような。
兎にも角にも最高の気分なのだ!!!
やっと苦しくて辛かったマラソンを完走し、水をがぶ飲み出来たようなそんな感じだ!!!!!
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