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第一章 一日目 朝 転んだらダンジョン
(11)命にかけても
しおりを挟む侍従を伴って森をさ迷い、王女のお腹も空いてきた時、日は高く上り辺りは木漏れ日に輝く緑。
「ここら辺には毒のあるものがございます。見た目が好ましくとも、お気をつけください。ひと口でも危のうございます」
「ガリラヤ、教えておくれ。毒味の女は何故毒味をするの」
振り向いた王女は侍従を見上げた。腰を曲げた姿勢でも、侍従の顔は高い位置にある。
「王女様のお命をお守りする為でございます」
「お前は、王女の命を守らないの」
王女は侍従の顔に迫り、眼の中を覗き込む。
「お守り致します、王女様。今はただ道を探すのみにございますが、必ずお守り致します」
灰色の侍従ガリラヤは、リンジャンゲルハルトの女帝が特別なオーディションで選んだ逸材だ。
リンジャンゲルハルトでは、醜く生まれた者に未来はない。公務員に見つかれば殺されてしまう。
女帝も、愛する娘の目に醜いものは見せたくない。かといって容姿端麗なばかりで武闘が落ちるなら侍従としての存在価値はない。
「座りたいわ。もう一歩も歩けない」
「背負います、王女様」
仮面のように白く塗った顔の、切れ長の黒い瞼を伏せ、侍従ガリラヤは背を向けてしゃがみ、声もなく誓う。
必ずお守りします。命にかけても……
「おんぶより抱っこがいいわ」
ガリラヤの脳裏に白百合のイメージが浮かぶ。年の近いせいか、心が競り合う。王女リンジョネルラの腕が首に回った。
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