中学生溺愛王子はお化粧男子 777文字小説

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

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夕食は賑やかだった。お母さんの特製ゴーヤーチップスがチョコちゃんに大ウケで、あっという間に無くなった。

お父さんは「波流に妹ができたみたいだなぁ」と言う。


「カノジョなのに妹扱い」と揶揄するとお父さんは「カノジョかぁ。若いって良いなぁ」と言ってお母さんに睨まれた。

学校帰りにチョコちゃんとジョイフラデートして、チョコちゃんの別居中のお父さんに見つかった話をした。


「チョコちゃん可愛いから隣の席に移ったんだけど、ついついハグしちゃって」

「何っ。波流、お前、それはないだろ。健全な付き合いをすると言ったじゃないか」


お父さんは話の最中に文句を言う。


「うん、言った。だからね、こうやってバラすけど、ちょっとだけだよ。本当に」


ちょっとだけだっけ、本当に……
まあ、良いや。
今度からは気を付けるから


「お前、ちょっとだけでも女の子にそんな……」

「だから反省している、ね」


僕はチョコちゃんに同意を求めた。
チョコちゃんは照れている。


「うん。反省中です。私からぎゅっとしたから波流君は離れられなかったんだよね」


お父さんとお母さんの表情が急に和らぐ。笑顔になった。


「しかし、何だな。あれだ。外では……そうだ、お父さんに見つかってどうしたんだ。注意されただろう」


お父さんはカボチャの煮物を口に運ぶ。ほっこりカボチャは口の中でほんの少しの味醂と醤油の旨味のハーモニーが絶妙。


「婚約して、大人になるまで」

「「はぁ、婚約ぅ」」


両親が呆れ顔でハモる。


「大人になるまで会うなって。法的には男の子は十八才で女の子は十六才になるまでだって。本当に好きなら婚約だけして、大人になるまで会うなと言われた」

「それはまた何と言う……」


お父さんも驚いている。

僕たち家族の誰も考えたことのない意見だから、驚くのも無理はないけどね。


「うちのお父さんは、波流君のことを気に入ったと思う。気に入らなければ言わないよ」



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