中学生溺愛王子はお化粧男子 777文字小説

98 女に貢いで破産……

ジョイフラはかなり空いていた。

以前は並んで空席待ちをしたけど、こんなに変わったんだ。でも、車は相変わらず多いな。結構、外出している。生活しなきゃならないからね。外に出ないで暮らせる健康な人は限られている。

初めはチョコちゃんと対角線に座った。


「何食べる」

「迷うね。ご飯ものじゃないのは確か」


メニューをあれこれ広げて見る。


「お腹空いてないの。じゃあ、クリームパフェは」


チョコちゃんがパッと笑った。


「ひえええっ、金持ちっ。金持ちのボンボンだったね、そう言えばっ」

「違うよ。普通のサラリーマンだよ」

「あああ、羨ましい。普通のサラリーマン家庭に憧れる。土下座するからクリームパフェを奢ってください。イチゴが良いですう」　


思わずわははと笑った。


「チョコなのにチョコレートじゃなくてイチゴ」　

「うん。イチゴはなかなか食べられない」


チョコちゃんはウインクした。

言われてみればそうだね、イチゴはわざわざ買わないと食べるチャンスはないね。


「じゃあ、僕もイチゴにして分けてあげるよ」

「良いよ。波流君は好きなのを食べて」

「今のうちに恩を売っておくつもり。大魔王に昇格したらチョコちゃんを狙うから」

「きゃああ、狙われるの最高っ。マンガみたい。鼻血出たら責任とってよ」

「パフェのイチゴでって、ショボい話によく乗っかるね」

「波流君が溺愛体質だからチョコは気絶寸前だよ。溺愛王子って言い触らしたいぐらい、猛烈に燃え上がって大変だよ。全然知らなかった。波流君のことずっと追っかけしてたのに」


追っかけ……へえ。

野球部のギャラリーのこと。


「あの中にチョコちゃんがいたなんて、勿体ないことをしたな」


僕は手を伸ばしてコールチャイムを押した。

スタッフのお姉さんがくる。


「イチゴパフェ二つ。あと、ドリンクバーも付けてください」


チョコちゃんが自分の顔を挟んで萌えている。


「女に貢いで破産する溺愛タイプかも」