76 / 119
77 天の助けじゃなかった
しおりを挟むカリナは天の助けにはならなかった。
「波流君、音理と何してたの。音理のお母さんに見られたらまずいんじゃない」
僕は慌てた。
部屋のなかで音理ちゃんママが息を潜めてカリナのセリフを反芻している。静かなのは、どういう意味かと考えて……
ドアが開いた。
「波流君、カリナ、ちょっと来て」
「おばさん、いたんだ」
チョコちゃんママは何事もなかったような表情で、ドアを開けたまま奥に入った。
カリナはマスクの中でペロッと舌を出したような苦笑いになって一度僕を見たけれど、チョコちゃんママに従って玄関に入った。
僕はカリナが何を言うかと気が気じゃないけれど、狼狽する気持ちを宥めて玄関に立った。
チョコちゃんは畳に横座りになって、叩かれた頬を左手で押さえている。
カリナは勝手にテーブルに着いた。
「カリナ、さっき波流君に何か話していたよね。何のことを言ってたのかな」
僕はチョコちゃんに近づいて膝を折った。自然に身体がチョコちゃんをハグしそうになる。
「痛い……ごめんね、僕のせいで」
「波流君、音理のことは今は放っておいて。カリナの話をしましょ」
「おばさん、話って、何もないけど」
「あんたはさっき変なこと言ってたでしょ。どういう意味なの」
「どういう意味もないよ。ただ、からかってみただけだよ。やだなぁ、おばさん」
「私に見られたらまずいことをしているかのように言ったじゃない」
「違うよ。からかっただけ。第一、音理はペチャパイだもの。エッチするなら絶対音理じゃないよ」
僕はチョコちゃんの肩に手を掛けて、二人を振り向いた。何も言うつもりはなかったけれど、ペチャパイは聞き捨てならない。何か言ってやりたいけれど、言ったらお仕舞いだ。
「チョコちゃん、大丈夫」
抱き締めたい。
「大丈夫。波流君、びっくりさせてごめんね。折角うちに来てくれたのに……」
目が少し潤んでいる。
可愛い……
直ぐに此処から連れ出したい。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
完結【R―18】様々な情事 短編集
秋刀魚妹子
恋愛
本作品は、過度な性的描写が有ります。 というか、性的描写しか有りません。
タイトルのお品書きにて、シチュエーションとジャンルが分かります。
好みで無いシチュエーションやジャンルを踏まないようご注意下さい。
基本的に、短編集なので登場人物やストーリーは繋がっておりません。
同じ名前、同じ容姿でも関係無い場合があります。
※ このキャラの情事が読みたいと要望の感想を頂いた場合は、同じキャラが登場する可能性があります。
※ 更新は不定期です。
それでは、楽しんで頂けたら幸いです。
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【完結】【R18百合】女子寮ルームメイトに夜な夜なおっぱいを吸われています。
千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。
風月学園女子寮。
私――舞鶴ミサが夜中に目を覚ますと、ルームメイトの藤咲ひなたが私の胸を…!
R-18ですが、いわゆる本番行為はなく、ひたすらおっぱいばかり攻めるガールズラブ小説です。
おすすめする人
・百合/GL/ガールズラブが好きな人
・ひたすらおっぱいを攻める描写が好きな人
・起きないように寝込みを襲うドキドキが好きな人
※タイトル画像はAI生成ですが、キャラクターデザインのイメージは合っています。
※私の小説に関しては誤字等あったら指摘してもらえると嬉しいです。(他の方の場合はわからないですが)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる