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26)ドラクロエ嫌い
しおりを挟むドラクロエのやつ
以前から虫が好かんと思っていたが
やっぱり好かん
私の狙い目など
どうでも良かろうが
「実はな、お主に折り入って頼みがある。もう、知っていると思うが、ノエビアとシェルリナというカップルだ」
「ああ、あのつまらない雑魚か。マシャールが尻叩きの刑を軽減させてやったのに、毒を飲んで死におったわ」
忌々しいのはその時こことだ
私はなんとマシャールに
服のように憑依させられて
火脹れになるまで焼けた
しかし、川に浸かるのは
良い気持ちだった
もう一度、マシャールに
憑依させてもらおうか
「その二人は吸血鬼界の新入りだ」
「何と……マシャール殿のご息女が吸血鬼になったと……」
道理でマシャールのやつ
大魔王様などと持ち上げられて
鼻の下なんか伸ばして
ジジイとのほほんと
過ごせているわけだ
ただの外道ではないってわけか
クソッタレ
「これから何かと迷惑を掛けるだろうが、助けてやってほしいのだよ。やつらが無事に物陰で過ごせるように、貴殿が心してくれれば」
「何故、私が吸血鬼を助けてやらなければならないと」
「お前は神に造反して神への崇拝を横取りしようとしているのだろう」
「まあ、その点では吸血鬼の皆様方とお仲間と言えなくもないですな」
「おやおや……我ら吸血鬼軍団が世界各地で人間どもを震え上がらせているから、お前らは人間どもを偶像崇拝に傾倒させることができていると思うのだがな」
「むぅ……その点では頭が上がりませんな」
ううう……
ドラクロエ嫌いっ
マシャールが好きっ
「ほう……」
ドラクロエはニヤリと笑って悪霊の顔に近づく。
「頭が上がらない……ほう、頭が上がらないわけだ。それなのに、俺様の頼みが聞けないとでも言うのかな」
ほらこんなことを言う
やっぱりドラクロエは嫌いだっ
しかし、ドラクロエは嫌いでも
娘吸血鬼はマシャールの娘
恩義を売るには格好のエサ
ん……
恩義を売る……
はて、何のために……
私は何のために
マシャールに恩義を売るのか
いや、長年の私の悪霊としての勘が
マシャールに
恩義を売れと言うのだ
そうだ、そういうことなのだ
ぬおほほほ……
マシャールに恩義
ぬおほほほ
「宜しいでしょう。私めも忙殺されておりまして忘れっぽいのですが、心しておきましょうぞ」
「ぬふふふ。よう言ってくれた。これで俺様は安心して眠りに帰れる。では、頼りにしておりますぞ、悪霊殿……」
悪霊は綺麗なボウ・アンド・スクレープを慇懃無礼返しのつもりで行ったが、ドラクロエは無視して消えた。
まーったく虫が好かん
虫が好かんだけじゃない
大嫌いだ
あんなやつが我々悪霊と同じように
永遠の命を持って
しかも人間と同じように
肉体まで持っているとは……
羨望の両得の存在だとぉぉぉ
クソ忌々しいったら……
空が白みかけている。彼方の山の稜線がくっきりと天地を分けた。
悪霊はマシャールと執事長を振り向く。
「マシャール、朝だぞ。起きた方が良いぞ」
「ううん、あと五分……」
「私はお前の母親か……どいつもこいつも甘えやがって」
執事長がパッチリと目を覚ました。少しの動きでマシャールにがっちりとロックされる。
「あン……大魔王様、お早うございます。珍しいですね。朝までおられるのは……」
「なにっ、朝だと」
マシャールの目が瞠く。
糞マシャール
私が起こしたのに
お前はあと五分、五分待てと
言いやがったじゃないか
愛しのジジイだとお
寝ぼけていても
態度が変わるのか
些細なことでも悪霊は妬む。
💮💮💮💮💮💮💮💮💮💮💮💮💮
ジェットマンズマニさんの
友情投稿イラストに
私がスマホ機能で着色しました♥️v♥️
勝手に合作~🎵
いつもご愛読有り難うございます🎵
マシャールに恩義を売るつもりの悪霊は、何を目論むのでしょうね。今後の展開をお楽しみくださいね🎵
藤森馨髏
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