144 / 165
第7章 投獄されたお姫様
(22)妖魔・龍花
しおりを挟むリヒターはソファーを勧める前にローランのコートを剥いだ。キスしながらソファーの背から倒れこみ、急いて上着をはだけた処でふたり青ざめた。
「リヒター、あんたソドミーだったのか」
西太后のように美しく着飾った妖魔・龍花が、ソファーの背から覗き込んでいる。
「私と別れてからソドミーに走ったのか。それとも私のことは騙していたのか」
若い西太后が目を吊り上げて笑っていた。横にいるのはカナンデラ・ザカリーだ。
「おおっと、目の毒だぜ、色っぽいお二人さん。勃起しそう」
こんな場面でもアホなことを言うのが本編の副主人公、単細胞カナンデラだ。
しかしリヒターは驚愕の眼差しでカナンデラを見つめ、ローランを抱き締めた。カナンデラのセリフがソドミーの琴線に触れたらしい。
龍花の目が更に吊り上がる。
「別れた男でも目の前で男を選ばれたら呆れるし、怒るヨ。騙されたヨ。悔しい。悔しい。溝に落ちてウンコ踏んだくらい悔しいネ。お前ら二人豚に食わすヨ」
これにはカナンデラもたじろいだ。
「カナンテラ、あんたは私に恩義があるネ。二人をこのまま結わえつけて。ほら、二人のネクタイヨ」
「縛るつもりか。止めてくれ龍花。アレをされたら私は」
面白そうな過去がありそうだな
縛られて何をされたと言うのだ
リヒター
俺様、興味ないけどな
興味はないけど
面白そうだな
ローランを抱き締めたまま懇願する。手を離せば大金を放すことになる。リヒターは必死だ。
ローランは頬を染めて「ああ……」などと甘い声を漏らす。
僕のこと其処まで好きなの
リヒター所長ぉ……
カナンデラはそのローランの顔を見ながら、ネクタイで二人の首を繋ぎ、足を縛った。
「手は自由か、カナンテラ。あんたのことウマシカって呼ぶヨ」
自国民だけではなく中華民国人にも思い切りバカにされて、カナンデラは辺りを見回して何も見当たらず、リヒターの服を剥いだ。そのシャツの袖で四つの手を縛る。カナンデラは龍花の犬に成り下がっている。
「シャツの使い方上手いネ。元警察官たと新聞て読んたことあるネ。カナンテラ、あんた、犯罪者並みたネ」
ブルンチャスによく言われていた同じ言葉を此処で聞くとは、カナンデラも単細胞冥利に尽きるが、やらせているのは龍花だ。通風口の中から、ラルポアが吹き出しそうになった。
「はは、どうだ、動けないだろう。あのな龍花、俺様は犯罪者ではなくて、元警察官だから悪党を縛るのは得意なんだ。おい、こら、ローラン。お前、ラナンタータを拐ったな」
カナンデラの手がローランの下腹部に伸びた。リヒターが慌てる。構わずカナンデラはにぎにぎと握り、おほっと笑った。ローランが顔を赤くして悶えるのをリヒターは目を剥いて「止めろ、ゲス野郎。ローランに手を出すな」と喚く。
「じゃあ、ラナンタータの居場所を教えろ」
「ラナンタータ、誰だ、其れは。私は知らない」
「リヒター、私が相手ヨ。観念するネ」
龍花は艶やかな絹のストッキングを脱いだ。白い肉の中に流れる赤い血がそう見せるのか、龍花の足はえもいわれぬ色香そのもの。
しかし、纒足ではない。カナンデラも、ほおと感心した。
「纒足じゃないんだな」
「私は漢民族の客家だから、足を小さくくるんたりしないヨ。それよりは男を縛るネ。ははは」
いきなりリヒターの頬を、足裏を擦るようにして撫で上げ「あんた、これ好きヨ。マソだから」とせせら笑う。足は顔面を隈無く擦る。リヒターが「ああ……」と嗚咽を漏らし、ローランもまたカナンデラの手に弄ばれて「ううっ」と喘ぐ。
リヒターが龍花の足の指を舐め始めた。
「ほら、サトマソ好きネ、あんた。ラナンタータは何処」
「ううっ……言えない」
「あそ、教えてくれないネ。やぱり豚に食わすヨ。あんた、違法行為に及んたのたから」
Wikipediaに依ると、ドイツでは1871年に「男性間の姦婬」を規制する法律が制定されているとある。だからと言って豚に食わせても良い訳ではない。
龍花が何をしたのか、恐らく口の中で指を動かしたのだろう、リヒターは悶絶して「龍花、龍花、ああ、素敵だ」と言った。その横でローランも「カナンデラさん……」と涙目で喘ぐ。リヒター・ツアイスとローラン・タワンセブの関係は終わった。
「俺様、ローランを奪っちゃうよ」
「ああ、龍花……もっと……ローラン、済まない。ラナンタータの居場所は……やっぱり教えられない」
「何ヨ、もっとって。教えないならやらないヨ」
龍花は涎でベトベトになった足をリヒターの口から引き抜くと、リヒターの股間に擦り、指の間を二人の衣服で拭き始めた。リヒターは下着の中もベトベトになっている。
「教えられないんだ……」
「足が汚れたネ。リヒター、ラナンタータの居場所を教えないならあんたもこの研究所も終わりヨ。あんたがナチスの幹部ならナチスも終わり。あんたの足フェチのことてはないヨ。あんたの心、許せないネ。豚を三十匹くらい連れて来るヨ」
わはははとカナンデラの高笑いが響く。ローランも「カナンデラさん」と訴える。カナンデラは途中で止めて、手をローランのシャツに拭った。
「どうせお前は何も知らんのだろう」
通風口の網戸が開いて、呆れた顔でラルポアとルパンが出てきた。
「カナンデラ、諦めるのか」
ラルポアがいきなりリヒターの腰からベルトを引き抜いた。
「お、お前、まさか」
「まさかだよ。最後まで諦めない」
「お前も男に興味が……」
「まさかっ」
最後まで聞かずに振り上げたベルトの鞭がしなる。カナンデラのアホな誤解に思わず余計な力が入って、リヒターの腰に当たった。
「ううっ……」
「貸して。鞭はこう使うネ」
龍花がベルトを受け取ってリヒターの下腹部を打った。
「あうう……」
ピシッピシッとベルトが鳴り響く。その度にリヒターの身体が蝦のように跳ねる。
「ラナンタータは何処だ」
「言わないと、この姿を客に見せるヨ。豚より人間が怖いネ」
龍花の鞭が男の象徴に炸裂した。リヒターは泡を吹いて笑顔のまま白目を剥いた。龍花は妖艶な顔をローランに向ける。
「坊や、次はあんたヨ。覚悟するネ」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話
赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる