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70 悪い子
しおりを挟むチルーの熱く濡れた花弁を押し開いて腰に力を籠めた。ご法度破りだ。外は暗く、台風の荒ぶ音とガタピシ鳴る雨戸も恋に堕ちていくのに相応しい。
「ああ……」
チルーの喘ぎが甘い。
メガンサは寝間着を脱いで長い髪を洗った。汚物の跳ねた部分だけを洗い流して鼻に近づける。白い髪の毛に残るすえた匂い。
泥の洗髪料を軽く揉み込んでいたら、ライラがどんぶりに水を持ってきた。
「メガンサ、大丈夫かい。先ずは水を飲んで」
メガンサはものも言わず、泥の手でどんぶりを両手に持って震えた。腕が萎えて震える。ライラが支えて飲ませた。
ゴクゴクと喉が鳴る。素焼きのどんぶりは重かったかと、ライラは震えるメガンサの肩を抱いて髪の生え際に顔を寄せた。
メガンサが抵抗する。嫌だと言わんばかりに手を振って抗う。ライラは離れた。
メガンサは柄杓に手を伸ばして少しの水を汲み、泥塗れの髪の毛を流した。泥々の洗髪料が流れる。裸の肌を伝って流れ落ちた泥は足元を黒ずませた。
柄杓を持つ手が震える。ライラが柄杓を取って水を掛けた。泥をすっかり流す。さらさらと白い髪の毛が光る。肌を流れる水は弾かれてきらきらと音が立つように見えた。
ライラは濡れたメガンサを抱き締めた。
「独りで飲んじゃ駄目だ。メガンサは悪い子だ」
「うん……」
メガンサの目からやっと険が溶けて、涙が落ちた。吐くものがなくて胃がもんどり反って苦しかったこと。涙が出たが、胃酸のすえた臭いに泣きながら吐いたこと。それを全部纏めて水で洗い流したかのようにすっかり落ち着いて、ライラに凭れた。
暫くじっと抱き合っていたが、ライラが手拭いでメガンサの髪を拭き、濡れた身体を拭く。膨らんだ胸を手拭いで拭いた。メガンサが反応する。ライラは直ぐに勃起した。
「メガンサ……我慢できない」
何が、と聞きかけて口を塞がれる。ライラの唇がメガンサの唇をなぞり、舌先が軽く侵入してきた。
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