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29 口づけ
しおりを挟むダチ瓶を二つ空けた。
メガンサは暑がって着物の袖を間繰り上げ二の腕を丸出しにした。裾もたくし上げて両足を投げ出し、白い太ももを開いている。
ライラはメガンサがしなだれかかるに任せて畳の上に横たわり、昔から撫でて来たように腕枕をしてメガンサの白い髪を撫でた。
メガンサの額に口を付ける。頬にも耳にも軽く唇を付けて耳たぶを唇に挟む。
「ふふ、変な気持ち」
「口を吸わせて」
メガンサの身体は正直に反応する。小さな驚きがライラの腕に伝わる。
ライラは自分を凝視するメガンサの瞼に唇を付けて閉じさせてから「可愛い」と囁いた。メガンサは通電したかのように奮えた。桃色の唇にそっと自分の唇を重ねて上唇を挟み、それから下唇を吸った。メガンサのドキドキと音をたてる心音が伝わる。口の中に舌を差し込む。小さな舌を絡めとる。
「あ……」
メガンサは思いもよらない舌の絡みに動揺して目を開けたが、身体は強ばって動けない。じっと目を閉じた。ライラの舌の動きに応じようとして上手くいかない。
ライラの足はメガンサの股に割って入り、重なって腰を動かす。「ああっ」メガンサは口のなかで消える小さな悲鳴を上げた。ライラの接吻は激しくなって、メガンサは燃えるように熱くなり、ライラに抱き締められて身体の芯とか頭の芯とかが熔けてゆくのを感じた。
唇が離れた。ライラの目がいつもより優しい。
「可愛い。メガンサ、好きだよ」
「私もライラが好きだ。私だけを好きになれ」
メガンサは自分から唇をライラの唇に付けた。身体がふわりと浮く。ライラに抱き上げられてメガンサはライラの首に腕を回した。メガンサはライラの腕力を信頼している。そのままベッドに横たわった。
「うん、メガンサだけだ」
ライラもメガンサの横になり、それから身体を半分重ねて抱き締め口づけする。口づけはメガンサの耳元から首筋を辿って胸に降りた。ライラの手も口も熱い。
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