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あと、もう少し
しおりを挟む集団ストーカーは覗き魔
悪いその目をほじくり出そう
思考盗聴者は盗み聞き
悪いその耳をつんざこう
「吉村悠子の【キメラの聖なる野辺】にはそう書かれていたのよ。目をほじくりだせとか、すごく乱暴な言葉よね。でも……」
「でも、何」
「共鳴した。鳥肌立って、奮えた」
「聖書にもあるからね。女の生活を覗いて悪い考えをもった人は、片目をくじり抜けってさ」
「あははは。知っててやる人は終わりだね。知っててやる人のことは許さないとも書かれているもんね」
「だから、他人を代理人にして巻き込むわけだよ。自分だけ処罰されるのてわはなくて、処罰される仲間をつくるのさ」
「そして、次々と殺されてしまったわけか」
「あんたさ、犯人、知ってるんじゃない」
「ううん、犯人のことをどう思えば良いのかわからなくなってくる。殺人事件だから悪人だと思うし、殺された人のことを知ったら、正義かとも思うし……そう思う自分が気持ち悪くて……」
「あんたも、小説を書いてるんでしょ」
頭の中に、他人の声が飛び込んでくる。「こいつに書かせておくべきか」と、いつもの違法通信の音声だ。
今日も随分傲り高ぶった奴を連れてきたね、思考盗聴者。
私の頭の中の言葉を、思考盗聴者の「連れ」の前でシャドウイングしてみせては「ほら、言った通りに書いているだろう」と勘違いさせている思考盗聴者。
「私は小説の中で、思考盗聴をやるような気に入らない連中をぶっ殺しているけど、現実の事件の犯人像は全然掴めない。私のような思考盗聴被害者かも。でも、全く別の組織犯罪の可能もある。個人の犯罪ではないんじゃないかなぁ。なんだか、そんな気がする」
「被害者は、行動を読まれているからね。やりにくいよね。組織犯罪の線は警察も捜査しているはずだよ」
「捜査できる相手かな」
「警察に捜査できない相手がいると」
「この地球上に存在して全く別の高度な科学力と、高度な律法で自然界すら操る組織」
「それ、都市伝説とか陰謀論じゃない。そんな組織があるとして、何で今ごろになって処罰し始めたと」
「私たちの科学力が一部分でも彼らの組織の科学力に近づいたからよ。聖書でも、ハルマゲドンまであと数行予言を残すのみでしょ。彼らの科学力に追い付くまでにあとどのくらいかわからないけれど、私がその組織のトップなら手を小招いたりしない。その前に思考盗聴犯罪者への処罰命令を下すよ。勿論、科学の進歩は止めない。けれど、悪用した奴らは殺す。それが、思考盗聴者たちと同じことをやっている組織の考えのような気がする」
「ふうん……それ、吉村悠子の【キメラの聖なる野辺】にも書かれてなかったっけ。あの本、禁書指定になったよね。もう、何にも確認できないけどさ、完読してないから、惜しいわぁ」
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