25 / 31
★ツタンカーメンの
しおりを挟む『嫉妬レヴィヤタン』のツタンカーメン男性の場合は女装癖があり、女装バーに自分のロッカーを持っていたことが判明した。それも、難渋したが証言者が吐いた。
そのツタンカーメン男性は、LGBTQとしては尤もらしい顔つきだったから、捜査員たちは誰もがその男性の女装癖を疑わない。寧ろ当然のように考えて、ロッカーを調べた。
出てきた手帳には、集団ストーカー行為を行っていたことと、参加した第三者まで克明に記されていた。
シフトは都合によって代えられるようだったが、ツタンカーメン男は緩いシフトを望んだらしく『あんなことで承認欲求を満たして喜ぶ人間には反吐が出る』とメモ書きがあった。
メモについては『嫉妬』したのかされたのか、それを調べる必要があったが、多くの顧客をもつ女装バーでは『客同士が嫉妬しあうなんて何処の店でもあるでしょう。うちは、喧嘩だけはないから』と笑いながら頭を振る。小太りのオーナーも女装マニアだった。
「対人関係には思い当たることはないと」
呼び出して訊くと、捜査員の凄味に押されたのか、そうね……と言って考え込む。
事情聴取に当たった捜査員は、顔形は人の記憶に残りにくい平凡な造りだったが、その表情には恐るべき変化が現れる。集中すると、やくざものでも震え上がるほどの目付きで睨み付けるのだ。
「あんまり怖い顔をしないで頂戴。私は犯人ではないんだから。あっ、思い出した。あの子も自分は犯人ではないと言っていたわよ。泥棒猫って言われてね」
女装のできるバーは、ドアに会員制のプレートを貼ってあるので無闇な客は入って来ない。それでもある時、そのツタンカーメンのシートに見ず知らずの男が座った。そして、男とツタンカーメンがその夜、結ばれたのだ。
後日、他の客との間で言い争いになった。あの男はゲイを狩って遊ぶというワンナイト専門のハンターだったから、喧嘩になってもどっちのものにもならない相手だ。
店内でメイク道具が失くなって、喧嘩した同士の間でやり取りがあった。
『泥棒猫、あんたでしょ』
『失礼なっ。私は犯人ではないわよ』
「つまりは、ツタンカーメンを憎んでいる客はいるんだな、何と言う名前だ。連絡先は」
「いやだ、そんなこと。営業妨害する気なのぉ。そんな恐ろしい事件を起こすような人ではないわよ」
「これはこっちで調べる」
捜査員はふっと笑って、小太りのオーナーの手を撫でた。
「あらぁ、しゃべっちゃおうかな」
「帰る気があるならしゃべるしかないんですけどね、お姉さん」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説



どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる