奴らを死刑にしたいと思っていたら集団ストーカー殺害事件が起きて誰が犯人かわからない

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

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★七つの大罪の歌

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最初は連続殺人事件になるとは誰も思わなかった。ビール瓶で頭を割られた男の近くに、紙切れがあって『強欲』と手書き文字で書かれていた。


捜査員がその紙切れの語句に意識を止めたのは、次の事件にも同じものが発見されたからだ。『嫉妬』と書かれていた。


美しい死体だった。被害者の顔はモデルのように整っており、身体はツタンカーメンのように胸の前で両手を交差している。綺麗な布を被せられていた。死後に犯人がそのようにポージンクしたのだ。初見で、捜査員はその死体を女だと思った。


調べていくと、『強欲』の被害者も『嫉妬』の被害者も右藻田との関連がわかったが、右藻田の付近からは紙切れは出ていない。


鑑識が「トラックからは出ましたけどね、紙切れ。それはご家族の方が持って帰りましたよ。あれは事故として処理されてたので」と言った。


その紙切れを追って、遺族の元へ出向くと、それは数え歌のようなものだという。


喪に服して脱力しているトラック運転手の妻は、捜査員にポツリとこぼした。


「棺桶にいれてやりましたよ。あの歌は、私も子供の頃に聞いた覚えがあるのですが、ザカリエンタスの歌なので」


「ザカリエンタス。それはもしかしたら七つの大罪の歌ですか」

「はい。そうだと思います。一番の歌でした。あまりいい気分になる歌ではありませんが、子供を脅して寝かしつかせるようにできているみたいで、子守唄としてあの歌を聞いて育つと……」

「何ですか」

「いいえ。あの、あの事故のことを調べているのですか。どうして……事故ではなかったのですか」

「いえ、あの後に、二件の事件が起きまして」

「知っています。テレビで観ましたから。その事件とうちの夫の事故が何か……」

「まだわかりません。奥さんは、二件の事件の被害者をご存知ですか」


トラック運転手の妻は恐れるような目付きで捜査員を見た。


「私は何も……」



一番の歌

浅はかなる者らは祈りを怠り

傲慢不遜にも神はいないと言う

浅はかなる者らは食事に向かい

傲慢不遜にも己の働きによると言う

浅はかなる者らは他者に向かいて

傲慢不遜にも懲らしめてやろうと言う

誰もその者らに教えなかった

神の愛ある教えの意味を

さあ眠れ

眠りを味わい尽くせ




★★★


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