奴らを死刑にしたいと思っていたら集団ストーカー殺害事件が起きて誰が犯人かわからない

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

文字の大きさ
上 下
3 / 31

タコちゃんに叱られる

しおりを挟む


ヤマショウは巨峰のパックを手に持っていたらしいのです。


喫茶店のキッチン担当の女性が、ボックス席で小説を描いている私の横に来て世間話をすることがたまにあって、その時も「ヤマショウが巨峰の箱を持って嬉しそうにニコニコ笑って歩いていたよ」と教えてくれたのです。


その喫茶店のカウンターには私より 年上のハーフ美人がいて、密かに話をしてみたいと思っていたのですが、相手にとっては私は招かれざる客でした。


ずっと何年も経ってから気づいたのですが、彼女はヤマショウの元女房でした。


どんな理由で別れたのか知らないけれど、クォーターの男の子が二人の間には生まれています。


そのハーフの女房と別れて、十いくつも下の再婚相手にも男の子が生まれていました。


その一才になるかならない赤子の面倒を私に押し付けて、ヤマショウは午後の用事を済ませてくると、私たちはドライブに出掛けました。


港の近くで車を停めて、左側に暗い波が揺蕩たゆたい、右には浮気癖のある男。


「宮古島にも行ったよ。八重山にも行った。あちこち行ったけど、暫く留守にしている間に女房が友達と浮気した」


ふうん……お似合いの夫婦だね
お互い様なんだから仲良く暮らせば


私は他人にほとんど興味がありません。スナック勤めで、酒が入るとキャピキャピと客を持ち上げてリピーター作りに励むのが楽しくもあり、また苦痛でもあるという変人です。


酒が切れると二日酔いの偏頭痛の如くに落ち込んで気分最悪の顔を誰にも見られたくないと引きこもるのが常でした。


ヤマショウも、妙な男でした。最初から「私は不倫なんて致しません。紙切れ一枚の公文書作成すらできないような男は頭っから御免です。お帰りください」と心情を述べておくべきだったのに、私はボンヤリ頭でニコニコ笑顔を振り撒きました。


今なら某テレビ番組『タコちゃんに叱られる』というタイトルを思い出すのですが、その当時はそれが当然の如くに本当にボンヤリ生きていたのですね。他人に興味がなさすぎました。


それが間違いだったのです。


今のうちにバラしてしまうと、私はレイプ被害者です。攻撃者たちは「お前が望んだのだろう」と責めます。或いは「されたがり」と言いふらして被害拡大を狙うのです。


それで殺人事件でも起こしたのだろうですって……


私は犯人ではありません。


え、犯人が自分こそ犯人だと言うはずがないと……




★★★


思考盗聴を検索しよう !!






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...