神は試練を与えない

オウランドゥーラの求めるもの

オゥランドゥーラは口の強い子供に育った。幼稚な悩みだが、大人相手に様々なことを論じた。言いたいことが山ほどあって、文字を覚えるとそれを読み物仕立てに書いては泣く。多少の賢さはあった。


しかし、読み物書きには分かってしまうことも多い。書いて暫くすると、ほんの少し養われた視点が自分を裁く。過去自分の幼さに恥ずかしくなる。考えが足りなかった。


自分の感情は表現できていた。エピソードも文章力も子供にしては出来たものだ。人に共感してもらえる。オゥランドゥーラにしても共感する心はあるから、自負心ははっきり持っていた。


それなのに、何か足りない……


恥ずかしいのはそのせいだ。昨日までは正しいと思っていたことが今日は間違ったことに思え、とても恥ずかしい。


何故、この前までの正義が、今日は正しいと思えないのか。


風に揺らぐ草のように、様々な感情によって変化する人間という生き物。


何かが足りないのだとは分かる。

何が足りないのかが分からない


私は子供だ
偉そうなことを書いても
読み返してみると
破り捨てたくなるような
自己中心的な感覚で固まっている
気がついて恥ずかしくなる


オゥランドゥーラは、自分に足りないものを探して考え続けた。


私がどんなに成長しても
揺るぎなく有るもの
大砲で爆撃しても
破壊できない確固としたもの
目には見えないが
永遠に変わらないもの……
普遍的なもの……


宝物の探しのように
そんな言霊ちからを求めた。