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37) 口が腐れる
しおりを挟むアディウイズ指揮下の全軍は、やはり何処かで人間を攻撃することに良心的な気後れを感じていたのだろう、侵略者クルダッタゲ軍に刃を向けることに依存はない。
名称も多少古めかしいが『地球防衛軍』と変更することで発奮した。
攻撃能力が鬼のごとくに目覚ましくアップしたゲーマーたちにも言えることだが、裏切りがここまで気持ちいいとはもはや清々しいを通り越して、クルダッタゲ軍をやっつけながら脳から溢れるβエンドルフィンの快感の海で、それまでの後ろめたさを癒す。
ジェットドローンは最新の武器だが、確実にヒットするピンポイント攻撃は現実とは思えないほど正確だ。
しかし、ワクチンの効き目が働き始めた人間が緑色に光りだすと、その数は数十億人に増えた。
人間を守る側に転じたゲーマーたちが、ジェットドローンで無数に降る光の矢を掻い潜り、光を光で撃ち落とす。
「待って、エクストラ。あれは……」
璃人の指差す方向にクルダッタゲの指令室らしき風景が広がる。
幾つかの呪詛文言の団子が転がってもがく様は青虫の群れのようだ。
「げっ、あれってクルダッタゲじゃないのっ」
「ほおっほっほ。バレたか。この緋芙美様はクルダッタゲの司令塔代理じゃ。我の身を解けばクルダッタゲの指令室から宇宙人全軍を引き返させることも可能ぞ。どうじゃ、陥没……間際」
「全軍撤退を指揮できるの、緋芙美」
「如何にも。今なら我の意志ひとつでどうとでもなるぞ」
「エクストラ。緋芙美を解き放てば緋芙美はクルダッタゲ司令官を解き放つかもしれない」
「ほおっほ。罠じゃと危惧しておるのかの、チン毛。そう呼ぶには惜しいと思っておったのじゃが」
「罠……」
「もし、罠じゃなかったら……璃人さん、緋芙美だけを自由に」
「できない。呪詛文言の力は地球上の巫女集団の呪いだから。僕独りの力では……」
「そっか。緋芙美、できないって」
「やはりチン毛じゃの。しかし、口の腐れそうな呼び名じゃ。何とかならぬか」
「「はあぁ……お前が言うか」」
同時にハモった。
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