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21)奪い合ったり潰し合ったり

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「だいたいこの緋芙美様の前にウプンマガになったことにも我慢ならんと言うのに醜く老いさらばえてしまうとはウプンマガの名が腐るではないかの。そなたごときが背負える名ではなかった証じゃ。早うその座を降りて我に献上せよ、ウプンマガ。いやさ、瑠璃子……ほっほっ、瑠璃子。もはやその名前すらそなには似合わぬのう。死に損ないが」


赤い糸がスクリーンから飛び出してウプンマガと璃人の手を引き剥がし、二人の身体を絡め取る。緋芙美の高笑いと共に赤い光が部屋を染めた。

光は、一定の心音リズムを刻む。ドッドッドッと強弱をつけ押し寄せて、修行者の着物を焼き焦がす。煙が出始めた。

光はチリチリと皮膚を焼き、きりで刺されるのに似た痛みが修行者を襲う。

緋芙美の高笑いが続く中で、髪の毛が修行者に絡み始めた。袖口から身体を這い上り首を絞める。


うぅぁ……


修行者の呻き声が呪詛文言に交じって紐に乱れが出る。

そこに一陣の風のように紐を切り裂くサーベルの斬気が熱砂塵として舞う。修行者は薙ぎ倒され血反吐を吐き、ずだぼろにされた壁布は落ちかけた。

緋芙美の真っ赤な髪の毛は修行者をいたぶり続けるが、修行者は首を掻きもがきながらも呪詛を止めない。

剣は紐の乱れを幾重にも断ち切った。細切れになった呪詛文言がポトポトと落ちる。



負ける………
このままでは負けるよウプンマガ



ウプンマガの目が光る。身体に絡んだ髪の毛に自由を奪われて、璃人と手を繋げない。璃人も立ち上がることすらできずにいた。



璃人、あれを見よ


ウプンマガの指差す壁布の絵の具が、地図を形成している。


「あっ、あれは……」


理解るか璃人
壁布に残った色と形
あれはイスラエルと沖縄

世界の多様な宗教が
聖地と仰ぐエルサレム
人間はエルサレムを
神の飾りの土地として
奪い合い戦って来た

欧米対東洋の要石である沖縄も
エルサレムの似姿として
争奪戦の的になっている

悪霊どもは人間を操って
潰し合いをさせて
嗤っているのだ



冬菜は震撼した。


ユダヤ教と沖縄の古来伝来の儀式って
とってもよく似ているとか
本で読んだことがある
似姿……
何か知ってるんじゃないの
ウプンマガ……


ふゆちゃん
支配者は飾りの土地を
手中に納めたがるものなんだよ
イスラエルとパレスチナは
既にクルダッタゲの支配下だよ
表立っては敵対して
裏で繋がっているんだ
沖縄を巡る中国とアメリカもね
背後にいるモノたちは繋がっていて
笑っている




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