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王総御前試合編
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しおりを挟む進んでいくにつれだんだんと部屋が暗くなるので、フラッシュのトリックカードで辺りを照らす。
ミジルが次々と壁を破壊していき、やがてフォッシャたちのいる部屋へとたどりついた。といっても、最初の隠し扉から3つ目くらいのまだ序盤という感じの場所だった。
フォッシャはぽかんとしていたが、安心したのか勢い良くこちらに抱きついてきた。ラトリーもハイロにしがみついている。
子供たちは別に怪我もなく、落ち込んでるんじゃないかと心配していたが表情は明るかった。やがて先生方や兵士たちも到着して、王総の孫が観念した様子でどこかへ連れて行かれた。
まったく、子供はなにをやらかすかわからんな。
まあ不幸中の幸いだったのは、無事で済んだのとフォッシャの力が学校側にはバレていなさそうということか。
「正直、フォッシャの力がまた関わってるんじゃないかって思ったんだけど……」
「いやいやフォッシャはなにもしてないワヌよ!? 王総の孫がいろんなトラップの解除方法を知ってて。止めようとしたんだけど、でも止められなくて……」
「で、お宝カードは見つかったのか?」
俺はしゃがんで、ぼそぼそと小声でたずねる。
「カードがすきなのはいいけど、[カードを愛しすぎる者はカードにおぼれる]ワヌよ、エイト」
「ムッ……」
わかった風な口をきくフォッシャに、俺ははじめてすこし不満をおぼえた。
「フォッシャさん……? そういうジョークはいいからさぁ……。あったんですよね? お宝カード……」
「見つけてちゃんと持ってきたワヌよ」
フォッシャはこどもたちのほうを向いて、
「子は宝とよくいうワヌ」
ふー。ふふふ。おもしろい。
子供たちの笑顔をみると、たしかにほっこりと胸があたたまるような気がして、自然とこちらも微笑んでしまう。
フォッシャの言うとおりだな。俺は本質を見失うところだった。カードはこういう笑顔のためにあるんだったよな。
「宝、か。ま、それもそうだな」
なんだかフォッシャは、とても機嫌がよさそうだった。
「子供たちも、不安になってるかと思ったけど元気そうだ」
「笑顔にしてあげられたワヌ。……フォッシャの力が役に立って……よかった。……エイトのいうとおり、使い方しだいなのかもしれないワヌね」
急にそういわれてもなんのことだかわからないので、俺はすこし首をかしげる。
ま、なにか子供たちにとってフォッシャの力が助けになったんだろう。お前も嬉しそうでなによりだよ。
「フォッシャも」と彼女は言ってから一拍おいて、
「フォッシャも、最善(さいぜん)だと思うことをやっていきたいワヌ……バンバンアドをとってくワヌ!」
そう明るく言う。
いつにも増して、楽しそうな笑顔だ。なにか悩んでたことが解決したのかな。
「そうだな」
とりあえずそう返しておいた。
この後学校にラトリーの親御さん二人がやってきて、ラトリーと仲よさそうに抱き合っていた。なにかお礼をとのことだったが、さすがに断っておいた。
フォッシャの話ではラトリーの親御さんは二人ともカードの研究職についているらしい。カードの研究って、いったいどんなことをやっているんだろうな。
聞いてみたかったのだが、さすがに親子水入らずの時に伺うわけにもいかない。いつか機会があるといいのだけど。
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