38 / 169
ラジトバウム編
21話 研究室
しおりを挟む
「大した額にはならないかもしれない?」
俺は審官のカードを手に、カウンターに身をのりだして訊く。
「そ~……マジな話ね。このカードはたしかにレアカードだよ、100パー。だけどハイパーウルトラレアっつうかぁ、あまりにレアすぎてだれも価値がわかんないっていうか~。未知のカードだから専門機関に調べてもらわないと買い手がつかないんじゃねみたいな」
ギャル店員さんの話では、未知のカードはすぐにはいい値がつかないということだった。
「なるほど……」
「まあカードマニアならものめずらしさで買ってくれる可能性もけっこうあるけどぉ、それでも適正な価格なのかどうかはわかんないよね~。本当は1000万の価値があるかもしれないのに50万で買い叩かれちゃたら、損もいいところじゃん?」
たしかにな。こっちでもカードの値段ってのはかなりシビアな駆け引きが必要になるってことか。
いや、こっちはカードが魔法と科学のシステムそのものなんだから、俺がいたところ以上にシビアなんだろうなきっと。
店の外に出てから、俺は頭をかいてぼやく。
「まいったな……あてが外れた」
審官のカードの優秀さはもう大会で証明されている。ボルテンスに勝てたのはこのカードの力によるところが大きい。
相当高く売れるだろうと期待していただけに、時間がかかるという事実に落胆する。
「まあまあ。それじゃあ専門機関に調べてもらえばいいワヌよ。それか物好きな人が買ってくれるまで待つか」
「待つって言ったってどれくらいかかるかわからないだろ。機関も王都のほうにしかないらしくて、呼び寄せるにしても時間がかかる」
「うーん……」
「ま、でもまだ使い道はある」
------
目的のものは、すぐに見つかった。街のあちこちで貼ってあるのを見かけたのに、いざそれがどこだったかとなると思い出すのにすこし時間がかかった。
街のとおりで、精霊杯のポスターをじっと見つめる。
本戦の開始は三日後か。時間はあるようでないな。
「エイト、カード大会の本戦にも出るワヌか?」
俺の考えを察して、フォッシャが言う。
「まあね。ちょっといいアイデアを思いついてさ」
「あいであ?」
「そ。あいであ。俺たちに必要なのは……ま、まずはカネだろ。オペンを揃えないと、話にならない。フォッシャのカード探しのことだけど、俺にいい考えがある。こっちからギルドにクエストを出すんだ。このカードをみつけたら連絡くださいってな。そしたら世界中の冒険士が、見つけしだいおしえてくれる」
「おおー! そいつは名案ワヌ!」
「だろ? あとはポスターとかつくって、いろんな街に貼って回るとかさ。なんにせよ、オペンがもっとあればできることも増えてくる」
「おお! それもいいワヌね! エイトってふだんぼんやりしてるのにけっこう頼りになるワヌね」
「……ぼ、ぼんやり……」
「ヴァーサスのときとか、イキイキしてたワヌ」
イキイキしてた、ね。たしかに久々のカードゲームは楽しかった。
「ま、とにかく旅をするのにも費用はかかるしな。カードの大会で少しでも勝ち進んで、賞金をてにいれる。頃合をみてあのカードを売れば、生活も楽になる……だろ?」
「エイト……色々考えてくれてるんだワヌね」
「ん? ……う、うん。まあな?」
急に改まって褒められると、なんだか照れるな。
だってさあ。俺は幸せになれればそれでいいけど、友達も幸せならもっと嬉しいからさ。
なんて、恥ずかしくて言えないけど。
その夜は外で食事をとった。俺はまだ食うらしいフォッシャよりひと足先に宿に戻り、シャワーを浴びた。
着替える前に、腰にタオルだけ巻いてベッドの上に座る。
鏡に、俺の上半身がうつっている。頭の包帯はとっくに外している。
右腕の上腕のあたりに、1枚のカードが埋め込まれている異様な姿が。
ガチャ、と部屋の扉がひらき、柱の角から女の子が入ってきて、すぐに目が合った。
フォッシャだった。前にいちど見た、いつもの獣の姿じゃない、人の姿になったフォッシャ。
フォッシャは顔をまっ赤にして、両手の萌え袖で顔を覆い悲鳴をあげた。
「ひゃああああああ!?」
「うおおあああああ!?」
フォッシャの声に驚いて、俺もヘンな悲鳴をだしてしまう。
「ご、ごごごめんワヌ!」
ささっと慌てて、フォッシャは柱の影にひっこんでいく。
「いや、俺のほうこそなにも言ってなかったから……!」
俺は急いで服を着て、「着替えたぞ」と声をかけた。
「……え、エイト? その肩のって……」
言いづらそうな、小さな声でフォッシャは訊いてきた。
やっぱり、見られてたか。
フォッシャに隠しておくつもりはない。ここで俺がなにかを相談できるのは、フォッシャしかいないのだから。
「うん……なんだかよくわからないけど、ここにきてからずっとあるんだ」
フォッシャも知らないようで、首をかしげ頭を指で掻いている。
このカードは、なんなのだろう。
医療にくわしいラトリーでさえ、わからないそうだ。怖い、とさえ言っていた。
自分としては、今のところ特に身体に悪影響はない、と思うが……
腕の中にカードが入り込んでるなんて、どう考えても尋常じゃない。
――不気味……そう不気味だ……ッ!
とはいえ、考え出せばきりがない。
そのことで心を惑わされてる余裕もない。生きるか死ぬか、そんな生活なんだ。
今自分のできることを全力でやる。今の俺に出来ることは、それしかない。
------
次の日、宿を出ると、出たところすぐにハイロがいた。
朝から待っていたのだろうか。さすがちゃんとした冒険士は体力がある。
「エイトさん見てください! レアカードが当たったんです!」
今日のハイロは帽子を浅くかぶっていて、うれしそうににこりと笑うのがよく見えた。恥ずかしがったり照れたりと、意外と彼女は表情豊かだが、そのなかでも笑顔が特にかわいいと思う。
「へえ。見せてくれよ。ってこりゃ……人気ランキングにも乗ってるようなスーパーレアじゃねえか! 運いいな、ハイロ」
「すごく嬉しいです! ほら、このカードとのコンボにも使えるんですよ!」
「なるほど、これは……。あ、アレとの相性もいいんじゃないか?」
「いいですね! それは思いつきませんでした……」
俺たちの会話を横できいて、フォッシャはつまらなそうにあくびをする。
「今日もカードショップに寄るのか?」と俺はハイロにきいた。
「あっそうでした。研究室を借りたんです。今日はそっちにいきませんか?」
「……研究室?」
「カードの研究室です」
ハイロに言われるままあとをついていくと、4か5階建ての大きな建物に案内された。外からこの建物を見た限りでは、ふつうの住居と見た感じはあまり変わらない。
ハイロは部屋の鍵をあけ、中に入った。
「結闘士や冒険士は一定ランク以上なら、ルームを借りることができるんです」
ランクなんていうのがあるのか。興味がないので、自分のランクがいくつかも全く知らない。
「そういえば、ハイロはあの大会には出てないんだっけ? 精霊杯の……」
と俺は突拍子もない話題についてたずねた。
「いえ、出ていますよ。本戦からのシード出場です」
「シード!? でもそっか……ハイロの力なら、納得だな」
「あ、ありがとうございます。……嬉しいです」
部屋の中は整理されていて、机と椅子のほか、ソファーなどもそろっている。アパートの一室に近く、お茶や飲み物まで一通り揃っているようだ。ハイロがそろえたのだろうか。
「エイトさんも本戦でるんですよね? ……あれ、でもそういえばデッキがないって……」
「ああ……」
「デッキって、なんワヌか?」
俺の肩にのっていたフォッシャが、ひょこっと顔をつきだしてきいてきた。この問いには、俺が答える。
「予選の3on3とちがって、本戦ではデッキ、つまりまとまったかなりの数のカードが必要になる。しばらくはクエストのついでにカードを集めるから、ふたりともよろしくな」
「おお、了解ワヌ」
「まかせてください」
俺は審官のカードを手に、カウンターに身をのりだして訊く。
「そ~……マジな話ね。このカードはたしかにレアカードだよ、100パー。だけどハイパーウルトラレアっつうかぁ、あまりにレアすぎてだれも価値がわかんないっていうか~。未知のカードだから専門機関に調べてもらわないと買い手がつかないんじゃねみたいな」
ギャル店員さんの話では、未知のカードはすぐにはいい値がつかないということだった。
「なるほど……」
「まあカードマニアならものめずらしさで買ってくれる可能性もけっこうあるけどぉ、それでも適正な価格なのかどうかはわかんないよね~。本当は1000万の価値があるかもしれないのに50万で買い叩かれちゃたら、損もいいところじゃん?」
たしかにな。こっちでもカードの値段ってのはかなりシビアな駆け引きが必要になるってことか。
いや、こっちはカードが魔法と科学のシステムそのものなんだから、俺がいたところ以上にシビアなんだろうなきっと。
店の外に出てから、俺は頭をかいてぼやく。
「まいったな……あてが外れた」
審官のカードの優秀さはもう大会で証明されている。ボルテンスに勝てたのはこのカードの力によるところが大きい。
相当高く売れるだろうと期待していただけに、時間がかかるという事実に落胆する。
「まあまあ。それじゃあ専門機関に調べてもらえばいいワヌよ。それか物好きな人が買ってくれるまで待つか」
「待つって言ったってどれくらいかかるかわからないだろ。機関も王都のほうにしかないらしくて、呼び寄せるにしても時間がかかる」
「うーん……」
「ま、でもまだ使い道はある」
------
目的のものは、すぐに見つかった。街のあちこちで貼ってあるのを見かけたのに、いざそれがどこだったかとなると思い出すのにすこし時間がかかった。
街のとおりで、精霊杯のポスターをじっと見つめる。
本戦の開始は三日後か。時間はあるようでないな。
「エイト、カード大会の本戦にも出るワヌか?」
俺の考えを察して、フォッシャが言う。
「まあね。ちょっといいアイデアを思いついてさ」
「あいであ?」
「そ。あいであ。俺たちに必要なのは……ま、まずはカネだろ。オペンを揃えないと、話にならない。フォッシャのカード探しのことだけど、俺にいい考えがある。こっちからギルドにクエストを出すんだ。このカードをみつけたら連絡くださいってな。そしたら世界中の冒険士が、見つけしだいおしえてくれる」
「おおー! そいつは名案ワヌ!」
「だろ? あとはポスターとかつくって、いろんな街に貼って回るとかさ。なんにせよ、オペンがもっとあればできることも増えてくる」
「おお! それもいいワヌね! エイトってふだんぼんやりしてるのにけっこう頼りになるワヌね」
「……ぼ、ぼんやり……」
「ヴァーサスのときとか、イキイキしてたワヌ」
イキイキしてた、ね。たしかに久々のカードゲームは楽しかった。
「ま、とにかく旅をするのにも費用はかかるしな。カードの大会で少しでも勝ち進んで、賞金をてにいれる。頃合をみてあのカードを売れば、生活も楽になる……だろ?」
「エイト……色々考えてくれてるんだワヌね」
「ん? ……う、うん。まあな?」
急に改まって褒められると、なんだか照れるな。
だってさあ。俺は幸せになれればそれでいいけど、友達も幸せならもっと嬉しいからさ。
なんて、恥ずかしくて言えないけど。
その夜は外で食事をとった。俺はまだ食うらしいフォッシャよりひと足先に宿に戻り、シャワーを浴びた。
着替える前に、腰にタオルだけ巻いてベッドの上に座る。
鏡に、俺の上半身がうつっている。頭の包帯はとっくに外している。
右腕の上腕のあたりに、1枚のカードが埋め込まれている異様な姿が。
ガチャ、と部屋の扉がひらき、柱の角から女の子が入ってきて、すぐに目が合った。
フォッシャだった。前にいちど見た、いつもの獣の姿じゃない、人の姿になったフォッシャ。
フォッシャは顔をまっ赤にして、両手の萌え袖で顔を覆い悲鳴をあげた。
「ひゃああああああ!?」
「うおおあああああ!?」
フォッシャの声に驚いて、俺もヘンな悲鳴をだしてしまう。
「ご、ごごごめんワヌ!」
ささっと慌てて、フォッシャは柱の影にひっこんでいく。
「いや、俺のほうこそなにも言ってなかったから……!」
俺は急いで服を着て、「着替えたぞ」と声をかけた。
「……え、エイト? その肩のって……」
言いづらそうな、小さな声でフォッシャは訊いてきた。
やっぱり、見られてたか。
フォッシャに隠しておくつもりはない。ここで俺がなにかを相談できるのは、フォッシャしかいないのだから。
「うん……なんだかよくわからないけど、ここにきてからずっとあるんだ」
フォッシャも知らないようで、首をかしげ頭を指で掻いている。
このカードは、なんなのだろう。
医療にくわしいラトリーでさえ、わからないそうだ。怖い、とさえ言っていた。
自分としては、今のところ特に身体に悪影響はない、と思うが……
腕の中にカードが入り込んでるなんて、どう考えても尋常じゃない。
――不気味……そう不気味だ……ッ!
とはいえ、考え出せばきりがない。
そのことで心を惑わされてる余裕もない。生きるか死ぬか、そんな生活なんだ。
今自分のできることを全力でやる。今の俺に出来ることは、それしかない。
------
次の日、宿を出ると、出たところすぐにハイロがいた。
朝から待っていたのだろうか。さすがちゃんとした冒険士は体力がある。
「エイトさん見てください! レアカードが当たったんです!」
今日のハイロは帽子を浅くかぶっていて、うれしそうににこりと笑うのがよく見えた。恥ずかしがったり照れたりと、意外と彼女は表情豊かだが、そのなかでも笑顔が特にかわいいと思う。
「へえ。見せてくれよ。ってこりゃ……人気ランキングにも乗ってるようなスーパーレアじゃねえか! 運いいな、ハイロ」
「すごく嬉しいです! ほら、このカードとのコンボにも使えるんですよ!」
「なるほど、これは……。あ、アレとの相性もいいんじゃないか?」
「いいですね! それは思いつきませんでした……」
俺たちの会話を横できいて、フォッシャはつまらなそうにあくびをする。
「今日もカードショップに寄るのか?」と俺はハイロにきいた。
「あっそうでした。研究室を借りたんです。今日はそっちにいきませんか?」
「……研究室?」
「カードの研究室です」
ハイロに言われるままあとをついていくと、4か5階建ての大きな建物に案内された。外からこの建物を見た限りでは、ふつうの住居と見た感じはあまり変わらない。
ハイロは部屋の鍵をあけ、中に入った。
「結闘士や冒険士は一定ランク以上なら、ルームを借りることができるんです」
ランクなんていうのがあるのか。興味がないので、自分のランクがいくつかも全く知らない。
「そういえば、ハイロはあの大会には出てないんだっけ? 精霊杯の……」
と俺は突拍子もない話題についてたずねた。
「いえ、出ていますよ。本戦からのシード出場です」
「シード!? でもそっか……ハイロの力なら、納得だな」
「あ、ありがとうございます。……嬉しいです」
部屋の中は整理されていて、机と椅子のほか、ソファーなどもそろっている。アパートの一室に近く、お茶や飲み物まで一通り揃っているようだ。ハイロがそろえたのだろうか。
「エイトさんも本戦でるんですよね? ……あれ、でもそういえばデッキがないって……」
「ああ……」
「デッキって、なんワヌか?」
俺の肩にのっていたフォッシャが、ひょこっと顔をつきだしてきいてきた。この問いには、俺が答える。
「予選の3on3とちがって、本戦ではデッキ、つまりまとまったかなりの数のカードが必要になる。しばらくはクエストのついでにカードを集めるから、ふたりともよろしくな」
「おお、了解ワヌ」
「まかせてください」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説


せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる