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太陽の国編
第二話
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何てことの無いような気さくさ。二人の関係を知らないメリサとエリはかえって混乱した。
しかし、それは他国に対する皮肉混じりの虚勢には見えず、むしろお互いが対等な関係であることを喜ぶような響きを含めている。それを証明するように、パースは普段見せないような『普通』の女性のような笑みを浮かべたのだった。どこか照れ隠しするような、気恥ずかしそうな笑顔だった。
「こうして会えた運命に感謝すべきなのでしょうか」
「ははは、そうかもしれないね。君がわざわざ来てくれるとは思わなかったよ。時間丁度に大きな魔法で位置を教えてくれと伝えたが、ここだったので少々肝を冷やした。君ならこの塔を引き抜けるんじゃないのか?」
規模の大きな冗談を仲睦まじく語り合う二人の姿を魂が抜けたような顔で見ていると、ゼロが視線を向けてきた。
「して、こちらのお嬢さんがたは?」
「あっ。私のお付きです。こちらの魔女がメリサさん、そしてエリさんです」
それぞれ示されたメリサとエリは軽く会釈した。ゼロという男はそれに対して微笑むと、握手を求めてきた。
「私はゼロ。この電脳都市『ライジング』の発展に身を尽くす一人のしがない魔法使いさ。君たちの学長、パースとはいわゆる旧知の仲さ。
知りたいことや、困ったことがあれば言ってくれたまえ。この国に滞在する間は出来る限り力になろう」
エリが握手という慣れない行動に戸惑ったわずかな間に、メリサは素早くゼロの手を取り、まくしたてるように質問した。
「初めまして、ゼロさん! あの、あのあの、パース学長とはどういう仲だったんですか?」
ゼロはやや困ったような苦笑を浮かべ、パースの方に目をやった。彼女も同じような反応を示したが、やがて観念するように頷いた。
風に撫でられる深い蒼色の髪を整えながら、ゼロはあっさりと言い切った。
「この年頃の子はそういう話が好きだね。ただのペンフレンドだよ」
「ぺんふれんど?」
全く聞いたことのない言葉を復唱すると、パースとゼロの二人は顔を見合わせて笑った。小さな世代差を感じる。
「ペンフレンドっていうのは、メールとか手紙で会話する友達のことさ。私たちは、大陸間を跨いで風船で文通していた」
「え? 大陸を……風船で?」
キョトンとしてメリサは尋ねる。何とも実感の湧かない話だ。普通に考えれば風船が大陸間を渡るなんてことが可能なはずが無い。まず空にまで浮き上がってしまうし、途方もない時間がかかる。それに場所を正確に決めることなどもってのほかだ。
しかし、月の国最強の名を冠しているパースならやりかねないとも思った。しかし、文通相手のこの男は返信をしていたのだろうか。それならばこの男もかなり人外じみている。
「まあこんなところで話すのはレディーに申し訳ない。それに人の目もある。
この塔にいくらか話すための場所を用意しておいた。積もる話はそこでするとしよう」
塔は不思議な構造で成り立っていた。外からでは確認出来なかったが、内部は螺旋した鉄骨で組み上げられている。蜘蛛の巣のように複雑な回廊はあちらこちらに繋がっているようで、職員が忙しなく歩き回っている。階という概念が無いように思える開放的なデザインだったが、ゼロ曰く「ここからは見えないが職員のための娯楽施設、食堂、展望スペースもある」らしい。
ゼロが余りにも自然に職員と呼ぶ彼らの仕事が何なのかをエリは尋ねたが、それとなくはぐらかされてしまった。どことなく自分たちを子ども扱いする彼の反応にムッとしたエリだったが、それを表情に出すことはしなかった。
塔の芯のように佇むエレベーターの前に立つと、ゼロがメリサたちに向き直った。困ったような何とも言えない表情を浮かべていた。
「本当に申し訳ないが、ここからは大人の話だからお嬢さんがたには少々退屈かもしれない。
代わりと言っては何だが、私の部下を君たちに付けるから観光などはどうかな」
「はぁ。わかりました」
無感動な感じでエリがそう返事をした。先ほどの表情からしても別に悪意を持って言ったわけでは無いと思った。
暗に席を外してくれと言われていることはメリサにもわかったらしく、やや残念そうに俯いた。しかし、何かの合点が彼女の中でいったらしく、猫のような笑みを浮かべた。
「わっかりましたぁ! 大人の話があるなら仕方ないですね」
そう言ってエリの背を押しながら出口の方へ向かうメリサは、パースに健闘を祈るとばかりに親指を力強く立てるサインを見せた。
これにはパースも思わず肩を竦め、ゼロと顔を合わせて笑った。すると、足早に塔から出ようとする二人に対してゼロがよく通る声で呼びかけた。
「これを持っていきなさい」
振り返ったメリサの胸元辺りにちょうど手のひらサイズ何かが投げられた。メリサは大して驚く仕草もなくそれを受け取ると、少し目を丸くした。
「何これ」
透明めいた板のような物だった。一見、ガラス細工のように見えたそれをまじまじと見ると、うっすらと線のような物が幾千本も通っているのが見えた。
「こちらの国では若者がみんな持っているものさ。それがあれば私たちはいつでも連絡をとりあえる。使い方は私の部下に尋ねてくれたまえ」
「よくわからないですけど……ありがとうございます」
メリサは胸のポケットに乱雑にそれを放りこみ、慌ただしく外へ出ていった。パースたちをしばらくの間眺めていたエリも追うように去っていく。その後ろ姿を送り届けると、二人はゆっくりとエレベーターの中に入っていった。
技術の最新鋭であろうこの昇降機は驚くほどに静かで物音一つ聞こえることは無かった。パースは胸の内で酔うのではないかと危惧していたのだが、それは杞憂だったようだ。
エレベーター自体はほとんどガラスのような素材で構成されているようであり、辺りの風景が一望出来た。蜘蛛の巣が遠ざかっていく。天井のような場所を抜けると、食堂やトレーニングジムのような場所もあった。人気の無いそこを素通りしていく。
長い静寂が満ちる。
ポンと無機質なアナウンスがあり、同時に扉が開いた。
随分と広いスペースであったが、特に目ぼしい高価な物は置いていない。物欲に欠けたゼロらしい趣味の部屋と言えた。深く腰掛けれそうなソファと洒落た透明の机がぽつんと置いてあるのみである。
展望台のように四方が窓になっており、街を見渡すことが出来た。他のビル群に比べて高さがあるらしく目を凝らせば隅々まで全て見えそうだった。
パースはその景色に思わず嘆息の吐息を洩らした。
「綺麗ですね」
そう告げるとゼロは朗らかに笑った。謙遜する気は無いらしく、本人も同意を示した。
「素晴らしい都市さ。この国の人々全ての努力の結晶だ」
ゼロはそう言うと、しばらくの間沈黙した。パースは同等の力を持つ者として、彼の沈黙は痛いほどに理解出来た。この十年の間に失ったもの、それがそのままこの塔の高さに映されているようだった。
固い異物を飲み込んだような苦しげな表情を束の間見せたゼロだったが、すぐに気を取り直して先に座るように促した。
柔らかなソファに体重を預けると、少し眠くなってしまいそうだった。
これから話す内容を考えればもう少し凛としていなければならない。そう自制していたパースに気がつくと、ゼロは茶を淹れながら微笑んだ。
「もっと気楽にいこう。君の学校での話を聞かせてくれると嬉しいな」
ゼロに茶を渡され、パースはほっと一息吐いた。林檎のような奥ゆかしい果実の香りが鼻孔をついた。音を立てずに口にすると、素朴な味が甘露に思えた。
殺人的なまでの安心感だった。
「そうですね……」
どこから話そうか。文通でしたような話はこの場合は好ましくない。
そう思ったパースはこれまでの壮絶な人生を思えば随分と穏やかな近況を語った。ゼロは退屈する素振り一つ見せず、むしろ興味深げに話を聞いてくれた。こういった聞き上手な所にも惹かれて文通を続けたのだろうと実感した。
会話はいつしか教える立場になっていた魔法についての考察にまで及んでいた。
「始まりの日から十年経った今でも魔法には謎が多すぎますね。魔法学校と銘打ってこそいますけど、所詮は付け焼刃。
生活に役立つであろう魔法を一つ教えるのにも、理解や知識を蓄えさせるために一か月は必要です」
「魔法には知覚や知識によって発現すると言うのが俗説だが、あながち間違いではないのかもしれないな」
知的に輝くゼロの瞳はまるで少年だった。彼の知識欲とカリスマ性に手繰り寄せられて人々は共に街を作ったのだろうとパースは思った。
すると、突然冷や水をぶっかけるようにゼロが一言呟いた。
「じゃあ、性格や記憶を改ざんする魔法が存在するとしたらどうだろうか」
面食らったパースは目を細め、そしてやや怪訝そうに尋ね返した。
「それはどういうことでしょうか」
ゼロはいたって真剣な眼差しだった。やがて、苦悩するような表情を浮かべながら口を開いた。
「『夜の理』が動き始めた」
しかし、それは他国に対する皮肉混じりの虚勢には見えず、むしろお互いが対等な関係であることを喜ぶような響きを含めている。それを証明するように、パースは普段見せないような『普通』の女性のような笑みを浮かべたのだった。どこか照れ隠しするような、気恥ずかしそうな笑顔だった。
「こうして会えた運命に感謝すべきなのでしょうか」
「ははは、そうかもしれないね。君がわざわざ来てくれるとは思わなかったよ。時間丁度に大きな魔法で位置を教えてくれと伝えたが、ここだったので少々肝を冷やした。君ならこの塔を引き抜けるんじゃないのか?」
規模の大きな冗談を仲睦まじく語り合う二人の姿を魂が抜けたような顔で見ていると、ゼロが視線を向けてきた。
「して、こちらのお嬢さんがたは?」
「あっ。私のお付きです。こちらの魔女がメリサさん、そしてエリさんです」
それぞれ示されたメリサとエリは軽く会釈した。ゼロという男はそれに対して微笑むと、握手を求めてきた。
「私はゼロ。この電脳都市『ライジング』の発展に身を尽くす一人のしがない魔法使いさ。君たちの学長、パースとはいわゆる旧知の仲さ。
知りたいことや、困ったことがあれば言ってくれたまえ。この国に滞在する間は出来る限り力になろう」
エリが握手という慣れない行動に戸惑ったわずかな間に、メリサは素早くゼロの手を取り、まくしたてるように質問した。
「初めまして、ゼロさん! あの、あのあの、パース学長とはどういう仲だったんですか?」
ゼロはやや困ったような苦笑を浮かべ、パースの方に目をやった。彼女も同じような反応を示したが、やがて観念するように頷いた。
風に撫でられる深い蒼色の髪を整えながら、ゼロはあっさりと言い切った。
「この年頃の子はそういう話が好きだね。ただのペンフレンドだよ」
「ぺんふれんど?」
全く聞いたことのない言葉を復唱すると、パースとゼロの二人は顔を見合わせて笑った。小さな世代差を感じる。
「ペンフレンドっていうのは、メールとか手紙で会話する友達のことさ。私たちは、大陸間を跨いで風船で文通していた」
「え? 大陸を……風船で?」
キョトンとしてメリサは尋ねる。何とも実感の湧かない話だ。普通に考えれば風船が大陸間を渡るなんてことが可能なはずが無い。まず空にまで浮き上がってしまうし、途方もない時間がかかる。それに場所を正確に決めることなどもってのほかだ。
しかし、月の国最強の名を冠しているパースならやりかねないとも思った。しかし、文通相手のこの男は返信をしていたのだろうか。それならばこの男もかなり人外じみている。
「まあこんなところで話すのはレディーに申し訳ない。それに人の目もある。
この塔にいくらか話すための場所を用意しておいた。積もる話はそこでするとしよう」
塔は不思議な構造で成り立っていた。外からでは確認出来なかったが、内部は螺旋した鉄骨で組み上げられている。蜘蛛の巣のように複雑な回廊はあちらこちらに繋がっているようで、職員が忙しなく歩き回っている。階という概念が無いように思える開放的なデザインだったが、ゼロ曰く「ここからは見えないが職員のための娯楽施設、食堂、展望スペースもある」らしい。
ゼロが余りにも自然に職員と呼ぶ彼らの仕事が何なのかをエリは尋ねたが、それとなくはぐらかされてしまった。どことなく自分たちを子ども扱いする彼の反応にムッとしたエリだったが、それを表情に出すことはしなかった。
塔の芯のように佇むエレベーターの前に立つと、ゼロがメリサたちに向き直った。困ったような何とも言えない表情を浮かべていた。
「本当に申し訳ないが、ここからは大人の話だからお嬢さんがたには少々退屈かもしれない。
代わりと言っては何だが、私の部下を君たちに付けるから観光などはどうかな」
「はぁ。わかりました」
無感動な感じでエリがそう返事をした。先ほどの表情からしても別に悪意を持って言ったわけでは無いと思った。
暗に席を外してくれと言われていることはメリサにもわかったらしく、やや残念そうに俯いた。しかし、何かの合点が彼女の中でいったらしく、猫のような笑みを浮かべた。
「わっかりましたぁ! 大人の話があるなら仕方ないですね」
そう言ってエリの背を押しながら出口の方へ向かうメリサは、パースに健闘を祈るとばかりに親指を力強く立てるサインを見せた。
これにはパースも思わず肩を竦め、ゼロと顔を合わせて笑った。すると、足早に塔から出ようとする二人に対してゼロがよく通る声で呼びかけた。
「これを持っていきなさい」
振り返ったメリサの胸元辺りにちょうど手のひらサイズ何かが投げられた。メリサは大して驚く仕草もなくそれを受け取ると、少し目を丸くした。
「何これ」
透明めいた板のような物だった。一見、ガラス細工のように見えたそれをまじまじと見ると、うっすらと線のような物が幾千本も通っているのが見えた。
「こちらの国では若者がみんな持っているものさ。それがあれば私たちはいつでも連絡をとりあえる。使い方は私の部下に尋ねてくれたまえ」
「よくわからないですけど……ありがとうございます」
メリサは胸のポケットに乱雑にそれを放りこみ、慌ただしく外へ出ていった。パースたちをしばらくの間眺めていたエリも追うように去っていく。その後ろ姿を送り届けると、二人はゆっくりとエレベーターの中に入っていった。
技術の最新鋭であろうこの昇降機は驚くほどに静かで物音一つ聞こえることは無かった。パースは胸の内で酔うのではないかと危惧していたのだが、それは杞憂だったようだ。
エレベーター自体はほとんどガラスのような素材で構成されているようであり、辺りの風景が一望出来た。蜘蛛の巣が遠ざかっていく。天井のような場所を抜けると、食堂やトレーニングジムのような場所もあった。人気の無いそこを素通りしていく。
長い静寂が満ちる。
ポンと無機質なアナウンスがあり、同時に扉が開いた。
随分と広いスペースであったが、特に目ぼしい高価な物は置いていない。物欲に欠けたゼロらしい趣味の部屋と言えた。深く腰掛けれそうなソファと洒落た透明の机がぽつんと置いてあるのみである。
展望台のように四方が窓になっており、街を見渡すことが出来た。他のビル群に比べて高さがあるらしく目を凝らせば隅々まで全て見えそうだった。
パースはその景色に思わず嘆息の吐息を洩らした。
「綺麗ですね」
そう告げるとゼロは朗らかに笑った。謙遜する気は無いらしく、本人も同意を示した。
「素晴らしい都市さ。この国の人々全ての努力の結晶だ」
ゼロはそう言うと、しばらくの間沈黙した。パースは同等の力を持つ者として、彼の沈黙は痛いほどに理解出来た。この十年の間に失ったもの、それがそのままこの塔の高さに映されているようだった。
固い異物を飲み込んだような苦しげな表情を束の間見せたゼロだったが、すぐに気を取り直して先に座るように促した。
柔らかなソファに体重を預けると、少し眠くなってしまいそうだった。
これから話す内容を考えればもう少し凛としていなければならない。そう自制していたパースに気がつくと、ゼロは茶を淹れながら微笑んだ。
「もっと気楽にいこう。君の学校での話を聞かせてくれると嬉しいな」
ゼロに茶を渡され、パースはほっと一息吐いた。林檎のような奥ゆかしい果実の香りが鼻孔をついた。音を立てずに口にすると、素朴な味が甘露に思えた。
殺人的なまでの安心感だった。
「そうですね……」
どこから話そうか。文通でしたような話はこの場合は好ましくない。
そう思ったパースはこれまでの壮絶な人生を思えば随分と穏やかな近況を語った。ゼロは退屈する素振り一つ見せず、むしろ興味深げに話を聞いてくれた。こういった聞き上手な所にも惹かれて文通を続けたのだろうと実感した。
会話はいつしか教える立場になっていた魔法についての考察にまで及んでいた。
「始まりの日から十年経った今でも魔法には謎が多すぎますね。魔法学校と銘打ってこそいますけど、所詮は付け焼刃。
生活に役立つであろう魔法を一つ教えるのにも、理解や知識を蓄えさせるために一か月は必要です」
「魔法には知覚や知識によって発現すると言うのが俗説だが、あながち間違いではないのかもしれないな」
知的に輝くゼロの瞳はまるで少年だった。彼の知識欲とカリスマ性に手繰り寄せられて人々は共に街を作ったのだろうとパースは思った。
すると、突然冷や水をぶっかけるようにゼロが一言呟いた。
「じゃあ、性格や記憶を改ざんする魔法が存在するとしたらどうだろうか」
面食らったパースは目を細め、そしてやや怪訝そうに尋ね返した。
「それはどういうことでしょうか」
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