19 / 23
第二章
リアム②(ジェライト視点)
しおりを挟む
リアムの変態発言に危機感を覚えた俺は昼で早退させてもらい、ナディール大叔父上に相談に行った。第一部隊隊長に預けてきたから18時までは大丈夫だろうが、そのあとあいつが何をするかわからない。
「…というわけなんです」
「リアム君がエイベル家の男みたい。なんか、オーウェン兄さんと同じ匂いがする。昨日城に入ってきたってほんとなの?警備どうなってんの、僕の可愛いテオドール君を…」
大叔父上の体から炎が立ち上る。
「僕も今日から、テオ君て呼ぶ。リアム君に負けたくない」
いや、勝ち負けの問題ではないような。
「テオ君が張ったシールドは外せなかったんだよね」
「はい。でも、夜は熱がありましたし…基本、シールド張って寝たりしませんから」
「そうだよね。リアム君、なんなんだろ。あの子、副隊長になるくらいだから身元もしっかりしてるし。仕事も真面目だよね、ただ、魔力についてうるさすぎて人の顔認識してないだけで」
「そうですね。魔力で誰なのか認識してますから」
「変態の要素はあったってことだね。テオ君の貞操が危ない。テオ君の運命の香りがする男であっても、熱を出してる相手を襲うのはダメ、絶対」
ナディール大叔父上は、「城にテオ君の魔力あるから、僕迎えに行ってくるよ」と言って消えた。
しばらくしてテオも一緒にやってきた。
「ナディール叔父上が、話があるっていうんだけど」
「テオ君、とりあえず座りなさい」
「…?はい」
いきなりテオ君呼びになってることに面食らったようだが、テオは大人しく座った。ナディール大叔父上が紅茶とケーキを出してくれる。
「あの、そういえばナディール叔父上、俺もお話がありまして」
「なんだい」
「昨日言っていただいた件なんですが、俺、海軍に、」
「よく言った。すぐにサヴィオン兄さんを連れてくる。ケーキを食べてゆっくりしてなさい。エライよ、テオ君。本当に成長したね」
ナディール大叔父上はサッと消えてしまった。
「…何があったんだろうか、」
「…まぁ、食え」
「いただきます」
テオとふたりでケーキを食べているとサヴィオンお祖父様もやってきた。
「ナディール、俺もケーキ欲しい。5個」
「食べ過ぎ」
「訓練してきたから大丈夫だ」
目の前に出されたケーキをあっという間に平らげたお祖父様は紅茶を飲みながら、「で?話ってなんだ?」
「テオ君を、海軍に入れて。いますぐ」
「いますぐって、」
「テオ君に危険が迫ってるんだよ」
「え?ジークが帰ってくるからか?でもあいつ、仕返しなんてしないだろ。したら最後、ルヴィアが何するかわからないぞ」
「ジークハルト様、帰ってくるんですか」
「おう、明日な。ルヴィアからようやくお許しが出たらしい」
「父上、本当にアホですよね」
「俺に何回もクレームの手紙を寄越してた。全部見る前に燃やしたけど、怨念が籠ってて気持ち悪い。さすが変質者は違う。で、テオドールに迫る危険ってなんだ」
「テオ君、恥ずかしいと思うけど、吐射の話するよ」
「は、」
「テオ、とりあえず必要なことなんだ。な、」
「…わかった」
「兄さん、テオ君は一年前に運命の香りを嗅いで無意識に2回も射精しちゃったんだって」
「…は?無意識に、って、おまえ、不感症なの?」
「よくわからないです」
「相手、誰なんだよ」
「第一部隊副隊長の、リアム・ロブソンです、お祖父様」
「副隊長…ジークのとこにいたオレンジの瞳の男か?あいつ、変なヤツだよな。俺の顔見て、『あ、色持ちだからこんなにすごい魔力なんだ、羨ましい、隊長と同じ色味だ』って。人の顔じゃなくて、魔力見てんだぜ」
「そのリアム君が、昨日城に忍び込んでテオ君の子種を飲んだらしい」
「は?」
「え?」
「テオ、おまえ、熱高すぎて朦朧としてたからわかんなかったんだろうけど、パジャマ脱がせたの、あいつだぞ」
「え、え、なんで、なんでリアムさんが、っていうか、子種飲んだってなに、え、まさか、」
「口に含んだ発言してた」
「うわーっ!!!!!!!」
「大丈夫か、おい、テオ、しっかりしろ!」
「無理だ、ジェライト、もうリアムさんに会えない」
「…会いたくないの間違いだろ」
「知らないうちに咥えられてるとか、…俺、キャパオーバーだ。また熱出そう」
「テオ君、咥えられただけじゃなくて、飲まれちゃったんだよ」
「ナディール大叔父上、ジワジワとダメージ与えるのやめてやってください」
「今日、ライト君に、『テオ君と一緒に住む、お風呂も入る、家に閉じ込めて誰にも見せない』宣言したんだって」
「ジークじゃねぇか。部下だからうつっちまったのか、あいつの変質者が」
「だから、兄さん、早めにテオ君を隔離したいんだよ。海軍は、独身者は寮生活でしょ、警備もしっかりしてるし」
「夜は当直がシールド張るからな。昼間は昼間で、絶対門通らなきゃ入れねぇし」
「団長室と同じ仕組みにしてるんですよね?」
「そうだ。飛んで入ることはできねぇ」
「海軍は、訓練で出港もあるし。心配がないと思うんだよ、テオ君」
「俺は海軍に入りたいと希望しますが、よろしいんでしょうか、サヴィオン叔父上」
「いいよ。おまえ、いい面構えになったな。魔力もずいぶん変わったな。頑張ってきたのがわかるよ」
「…ありがとうございます」
「まぁでも、今日からはいくらなんでも早すぎだろ。リッツにも言わねぇと。海軍の入隊試験は3月初めだから、それ受けて、4月から入れ。な。その間は、ここに住めよ。ナディールがいるし、ナディールの部下に守らせればいいじゃねぇか」
「でも、俺なんかに時間をかけていただくわけには、」
「いいんだよテオ君。この家は常時10人体制で守ってるんだから、キミひとりじゃないの。気に病むことないから。ね」
「…わかりました、よろしくお願いします」
「じゃ、今すぐライト君と城に戻って、必要な物を運びなさい。あちらの自室は空っぽにしておきなさい。忍び込まれて何か持っていかれたりしたら大変だよ。相手は変質者なんだから、どんな行動をとるかわからないよ」
「わかりました。ありがとうございます」
「来たついでだから、俺も手伝う。その代わりナディール、俺にも飯食わせてくれ」
「もちろんだよ、サヴィオン兄さん。僕はリッツ君に話してくるから。ライト君、18時になったらリアム君に、『テオ君はエイベル家に住む。諜報部の影がいるから、死にたければ来い。テオ君は常時俺かナディール大叔父上と行動するから接触も無理だ。エイベル家にケンカを売りたければ来い』と伝えて来なさい」
「わかりました」
「え、でも、そんなわけには、」
「テオ君、相手は変質者なんだよ」
「…すみません」
「…というわけなんです」
「リアム君がエイベル家の男みたい。なんか、オーウェン兄さんと同じ匂いがする。昨日城に入ってきたってほんとなの?警備どうなってんの、僕の可愛いテオドール君を…」
大叔父上の体から炎が立ち上る。
「僕も今日から、テオ君て呼ぶ。リアム君に負けたくない」
いや、勝ち負けの問題ではないような。
「テオ君が張ったシールドは外せなかったんだよね」
「はい。でも、夜は熱がありましたし…基本、シールド張って寝たりしませんから」
「そうだよね。リアム君、なんなんだろ。あの子、副隊長になるくらいだから身元もしっかりしてるし。仕事も真面目だよね、ただ、魔力についてうるさすぎて人の顔認識してないだけで」
「そうですね。魔力で誰なのか認識してますから」
「変態の要素はあったってことだね。テオ君の貞操が危ない。テオ君の運命の香りがする男であっても、熱を出してる相手を襲うのはダメ、絶対」
ナディール大叔父上は、「城にテオ君の魔力あるから、僕迎えに行ってくるよ」と言って消えた。
しばらくしてテオも一緒にやってきた。
「ナディール叔父上が、話があるっていうんだけど」
「テオ君、とりあえず座りなさい」
「…?はい」
いきなりテオ君呼びになってることに面食らったようだが、テオは大人しく座った。ナディール大叔父上が紅茶とケーキを出してくれる。
「あの、そういえばナディール叔父上、俺もお話がありまして」
「なんだい」
「昨日言っていただいた件なんですが、俺、海軍に、」
「よく言った。すぐにサヴィオン兄さんを連れてくる。ケーキを食べてゆっくりしてなさい。エライよ、テオ君。本当に成長したね」
ナディール大叔父上はサッと消えてしまった。
「…何があったんだろうか、」
「…まぁ、食え」
「いただきます」
テオとふたりでケーキを食べているとサヴィオンお祖父様もやってきた。
「ナディール、俺もケーキ欲しい。5個」
「食べ過ぎ」
「訓練してきたから大丈夫だ」
目の前に出されたケーキをあっという間に平らげたお祖父様は紅茶を飲みながら、「で?話ってなんだ?」
「テオ君を、海軍に入れて。いますぐ」
「いますぐって、」
「テオ君に危険が迫ってるんだよ」
「え?ジークが帰ってくるからか?でもあいつ、仕返しなんてしないだろ。したら最後、ルヴィアが何するかわからないぞ」
「ジークハルト様、帰ってくるんですか」
「おう、明日な。ルヴィアからようやくお許しが出たらしい」
「父上、本当にアホですよね」
「俺に何回もクレームの手紙を寄越してた。全部見る前に燃やしたけど、怨念が籠ってて気持ち悪い。さすが変質者は違う。で、テオドールに迫る危険ってなんだ」
「テオ君、恥ずかしいと思うけど、吐射の話するよ」
「は、」
「テオ、とりあえず必要なことなんだ。な、」
「…わかった」
「兄さん、テオ君は一年前に運命の香りを嗅いで無意識に2回も射精しちゃったんだって」
「…は?無意識に、って、おまえ、不感症なの?」
「よくわからないです」
「相手、誰なんだよ」
「第一部隊副隊長の、リアム・ロブソンです、お祖父様」
「副隊長…ジークのとこにいたオレンジの瞳の男か?あいつ、変なヤツだよな。俺の顔見て、『あ、色持ちだからこんなにすごい魔力なんだ、羨ましい、隊長と同じ色味だ』って。人の顔じゃなくて、魔力見てんだぜ」
「そのリアム君が、昨日城に忍び込んでテオ君の子種を飲んだらしい」
「は?」
「え?」
「テオ、おまえ、熱高すぎて朦朧としてたからわかんなかったんだろうけど、パジャマ脱がせたの、あいつだぞ」
「え、え、なんで、なんでリアムさんが、っていうか、子種飲んだってなに、え、まさか、」
「口に含んだ発言してた」
「うわーっ!!!!!!!」
「大丈夫か、おい、テオ、しっかりしろ!」
「無理だ、ジェライト、もうリアムさんに会えない」
「…会いたくないの間違いだろ」
「知らないうちに咥えられてるとか、…俺、キャパオーバーだ。また熱出そう」
「テオ君、咥えられただけじゃなくて、飲まれちゃったんだよ」
「ナディール大叔父上、ジワジワとダメージ与えるのやめてやってください」
「今日、ライト君に、『テオ君と一緒に住む、お風呂も入る、家に閉じ込めて誰にも見せない』宣言したんだって」
「ジークじゃねぇか。部下だからうつっちまったのか、あいつの変質者が」
「だから、兄さん、早めにテオ君を隔離したいんだよ。海軍は、独身者は寮生活でしょ、警備もしっかりしてるし」
「夜は当直がシールド張るからな。昼間は昼間で、絶対門通らなきゃ入れねぇし」
「団長室と同じ仕組みにしてるんですよね?」
「そうだ。飛んで入ることはできねぇ」
「海軍は、訓練で出港もあるし。心配がないと思うんだよ、テオ君」
「俺は海軍に入りたいと希望しますが、よろしいんでしょうか、サヴィオン叔父上」
「いいよ。おまえ、いい面構えになったな。魔力もずいぶん変わったな。頑張ってきたのがわかるよ」
「…ありがとうございます」
「まぁでも、今日からはいくらなんでも早すぎだろ。リッツにも言わねぇと。海軍の入隊試験は3月初めだから、それ受けて、4月から入れ。な。その間は、ここに住めよ。ナディールがいるし、ナディールの部下に守らせればいいじゃねぇか」
「でも、俺なんかに時間をかけていただくわけには、」
「いいんだよテオ君。この家は常時10人体制で守ってるんだから、キミひとりじゃないの。気に病むことないから。ね」
「…わかりました、よろしくお願いします」
「じゃ、今すぐライト君と城に戻って、必要な物を運びなさい。あちらの自室は空っぽにしておきなさい。忍び込まれて何か持っていかれたりしたら大変だよ。相手は変質者なんだから、どんな行動をとるかわからないよ」
「わかりました。ありがとうございます」
「来たついでだから、俺も手伝う。その代わりナディール、俺にも飯食わせてくれ」
「もちろんだよ、サヴィオン兄さん。僕はリッツ君に話してくるから。ライト君、18時になったらリアム君に、『テオ君はエイベル家に住む。諜報部の影がいるから、死にたければ来い。テオ君は常時俺かナディール大叔父上と行動するから接触も無理だ。エイベル家にケンカを売りたければ来い』と伝えて来なさい」
「わかりました」
「え、でも、そんなわけには、」
「テオ君、相手は変質者なんだよ」
「…すみません」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
381
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる