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エピローグ
アキラさんとジェライト
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アキラさんが50歳になる誕生日の朝。珍しく起きてこない二人を心配したナディール叔父上が、二人の亡骸を見つけた。
ベッドの上で、アキラさんを後ろから抱き締めるジェライト。ふたりとも穏やかな顔で、眠っているようにしか見えない。
外傷とかもまったくなくて、自然死なんだろうと結論が出た。
「ライト君が、」
ナディール叔父上は、ボロボロ涙をこぼしながら話す。
「以前、嬉しそうに話してたんだ。誓約魔法で、俺かアキラさん、どちらかが死んだら一緒に死ぬようにしたんです、って。ナディール大叔父上、アキラさん連れて行っちゃうけど、赦してくださいね、って…っ」
アキラさんは50歳の時、ジェライトが若返らせた。
「僕はなんともないのに…なんで…ごめんね、アキラ君、ごめんね、ライト君、」
「ナディール叔父上、ふたりとも、幸せそうですよ。ね。笑って見送りましょう。こんなに、嬉しそうな顔して…っ」
みんなでワンワン泣いた。ジェライトが見つけて、ジェライトが手に入れたアキラさん。アキラさんは最期まで、ジェライトから逃げず、ジェライトを手放さなかった。
ふたり一緒のお墓に入れた。ジェライトが好きだった、アキラさんの香りのレモンの木を周りに植えた。
きっと、また、ジェライトは。生まれ変わってもアキラさんを見つけるんだろう。あの優しい瞳で、アキラさんを見つけ出すに違いない。
「ありがとな、ジェライト」
俺がここまで来れたのはおまえのおかげだ。
また、会おう。必ず。
その時は、あの意地悪そうな目でニヤリと笑って言ってくれよ。
「おい、バカ、なにやってんだよ」って。
【了】
ベッドの上で、アキラさんを後ろから抱き締めるジェライト。ふたりとも穏やかな顔で、眠っているようにしか見えない。
外傷とかもまったくなくて、自然死なんだろうと結論が出た。
「ライト君が、」
ナディール叔父上は、ボロボロ涙をこぼしながら話す。
「以前、嬉しそうに話してたんだ。誓約魔法で、俺かアキラさん、どちらかが死んだら一緒に死ぬようにしたんです、って。ナディール大叔父上、アキラさん連れて行っちゃうけど、赦してくださいね、って…っ」
アキラさんは50歳の時、ジェライトが若返らせた。
「僕はなんともないのに…なんで…ごめんね、アキラ君、ごめんね、ライト君、」
「ナディール叔父上、ふたりとも、幸せそうですよ。ね。笑って見送りましょう。こんなに、嬉しそうな顔して…っ」
みんなでワンワン泣いた。ジェライトが見つけて、ジェライトが手に入れたアキラさん。アキラさんは最期まで、ジェライトから逃げず、ジェライトを手放さなかった。
ふたり一緒のお墓に入れた。ジェライトが好きだった、アキラさんの香りのレモンの木を周りに植えた。
きっと、また、ジェライトは。生まれ変わってもアキラさんを見つけるんだろう。あの優しい瞳で、アキラさんを見つけ出すに違いない。
「ありがとな、ジェライト」
俺がここまで来れたのはおまえのおかげだ。
また、会おう。必ず。
その時は、あの意地悪そうな目でニヤリと笑って言ってくれよ。
「おい、バカ、なにやってんだよ」って。
【了】
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