14 / 19
14(フェルナンド視点)
しおりを挟む
「はぁ…可愛い、リア、可愛い…」
「兄上、兄弟という贔屓目で見てもキモいです。さっきから40分以上『はぁ…可愛い、リア、可愛い…』の繰り返しですよ、まともな国語は話せないんですか?だいたい何回言ったかわかります?127回ですよ。ユリアーナ様も兄上がこんな男だと知ったらドン引きでしょうね。いい加減、ユリアーナ様につきまとうのはやめて国に帰ってくださいよ。きちんと僕がお守りしますから。もうひとつ言わせていただけば、勝手に『リア』なんて愛称で呼ぶのは失礼ですよ。ユリアーナ様に赦しを得たんですか」
薬草を摘んでその匂いを嗅ぎ幸せそうに微笑むユリアーナを見て、あまりの幸福に頭が蕩けそうになっている俺を急速に現実に引き戻すこの失礼な物言いの男はイアン・ジルコニア、15歳、俺のすぐ下の弟だ。
イアンは友好国であるソルマーレ国が王太子が変わってから急速に発展し続けているため、自国に取り入れられるものはないかと勉強のために来ていて、ソルマーレ国の影の一族の家で世話になっている。
「うるさい。集中できないから少し黙っていてくれ。ああ、今日も可愛い…リアの髪はあの緑だらけの温室で映えるな、美しいオレンジ色の髪の毛…艶々している…ああ、俺と同じシャンプーじゃないいま、どんな匂いになっているんだろう。リア自身が上品な薔薇の香りがするからどんなシャンプーでも石鹸でも構わないのは構わないんだが…いや構わなくない…俺のリアだと印をつけておかなくては…!イアン、今すぐあの家のシャンプーを俺と同じモノに入れ替えてきてくれ!」
「早く死ぬべきだと思います。そんなことしたらすぐに賊が入ったとバレるでしょうが。頭がさらにおかしくなってますよ、自覚はないのでしょうが。次期当主なんですから、ユリアーナ様が関わっていても冷静に対処できるようになってくださいよ。鋼の忍耐力はどこに行ったんですか、遠く離れた異国の地にでも出掛けているのですか」
わざとらしくため息をついたイアンはナメクジでも見ているかのような視線を俺に向けた。分かりやすくわざと蔑みを表すのは母にそっくりだ。
「僕が守ります、なんて言葉信じられるか。あわよくばリアを自分のモノにしようとしているんだろう」
「兄上。『妻が心配するほど夫はモテず』と言う格言を御存知ですか。兄上の場合は逆です。兄上が病的に心配するほどユリアーナ様は他の男の目にとまったりしませんよ。たしかに10人くらいは惹き付けるでしょうが。魅力的ですからね」
「おまえ、言ってることに一貫性がないぞ」
それに、とイアンは俺を見ると一転して真剣な顔になった。
「僕が欲しいのはアリスちゃんだけですから。他の女性には興味がないんです」
「…アリスちゃん?」
「死にたいんですね、兄上。会ったこともないのにまるで知り合いのように図々しくもアリスちゃんだなどと」
スッと針を取り出すイアンの目は本気だった。
「じゃあなんて呼べばいいんだ!だいたいおまえだってユリアーナを名前で呼んでるだろうが!」
「兄上に『ユリアーナを名前で呼ぶな』と言われたことはありませんし、離縁するわけですから義姉上とはお呼びできないでしょう、それこそ失礼です」
「おまえが俺に失礼だ!離縁なんか、…離縁なんかしないし…」
兄上がそう思ってるだけでしょ、と冷たく言われて落ち込む。
サフィールドにヒントをもらってから俺は早急にイアンにつなぎを取り、間違いなくユリアーナがソルマーレ国の親戚の家にいるということを知った。父に許可をもらうために足元を見られ、めんどくさい仕事を押し付けられたがためにソルマーレ国に来れたのは2日前だ。ユリアーナがこの国に来てまもなく1ヶ月。こちらに来る前に、ユリアーナに手紙を出してきた。
「…ほんとに、話も聞いてもらえなかったりしたらどうしよう」
「仕方ないですよね、スッパリ諦めて離縁するしかないですよ」
「イヤだ!リアと婚約したいがために、あの人使いが荒い両親に唆されて命がけであらゆる国から薬草を手に入れてきたんだぞ!栽培して根付いてくれるまでどれだけの歳月を費やしたと思っているんだ!ようやくリアの両親の目にとまって、さもなんにもないふりをして、それならばお互いの利益のために子ども同士を婚約させましょう、とあのクソ親父に言わせるまでの努力がおまえにわかるか!?」
「わかりません。わかる必要性を感じません」
父の横暴さを思い出してイライラし、癒されようとユリアーナを見ると、温室で封筒を手渡されていた。あれは、
「あ、キモい人からの手紙だ。ユリアーナ様、お気の毒に。手が腐っちゃう」
「俺はキモくないし、病原菌でもない」
ユリアーナは封筒を裏返し、少し困惑気味な顔になった。…当たり前だが目の前で見せられると落ち込んでくる。
そのままユリアーナは温室を出ると、自室に戻った。
「破り捨てられたらどうしよう…」
「…兄上、ほんと女々しくてウザイです。キモい上に女々しくてウザイなんてどこにも救いがないですよ」
仕方ないだろう、自分がやってきたこととは言え、…死刑宣告を受ける前の囚人の気持ちだ。動悸が激しすぎて気持ち悪くなってきた。どんなに難しい仕事であってもこんなに緊張した試しはない。口から心臓が飛び出そうだ。
「…あー…」
「…うっさい。ウザイ。僕が見ててあげますから、あっち見ててくださいよ」
そんなわけにはいかない。ユリアーナを傷つけておきながら、自分は傷つきたくないなんて傲慢にも程がある。
ユリアーナは封筒を指で撫でた。その仕草に胸がドキリとする。ああ、なんて美しい指…あの指で俺の頬を撫でてくれないだろうか。頬と言わず、首とか、胸とか、腹とか、もちろんその下の
「兄上、顔が崩壊してます」
「…いちいち俺を見ないでくれ」
便箋を開いたユリアーナは、即座に閉じた。
「破られる寸前ですね」
やっぱりダメか、と思わず視線を落とす。
「あ、また開きましたよ」
イアンの言葉に顔を上げると、読み進めるユリアーナの顔が少しずつ赤く染まってきた。
「…っ、かわっ、可愛いっ!可愛い、リア、可愛い、」
「うるさい!」
イアンが脇腹に肘鉄を喰らわせる。こいつは俺を兄だと思っているのか。痛さに悶えていると、ユリアーナが便箋を取り出しペンを手にした。サラサラと書く、その文字、
「…迎えに行く」
「ちょ、…兄上っ」
イアンの手をすり抜け、俺はユリアーナの元に走った。やっと、やっと、やっとユリアーナに会える。
「兄上、兄弟という贔屓目で見てもキモいです。さっきから40分以上『はぁ…可愛い、リア、可愛い…』の繰り返しですよ、まともな国語は話せないんですか?だいたい何回言ったかわかります?127回ですよ。ユリアーナ様も兄上がこんな男だと知ったらドン引きでしょうね。いい加減、ユリアーナ様につきまとうのはやめて国に帰ってくださいよ。きちんと僕がお守りしますから。もうひとつ言わせていただけば、勝手に『リア』なんて愛称で呼ぶのは失礼ですよ。ユリアーナ様に赦しを得たんですか」
薬草を摘んでその匂いを嗅ぎ幸せそうに微笑むユリアーナを見て、あまりの幸福に頭が蕩けそうになっている俺を急速に現実に引き戻すこの失礼な物言いの男はイアン・ジルコニア、15歳、俺のすぐ下の弟だ。
イアンは友好国であるソルマーレ国が王太子が変わってから急速に発展し続けているため、自国に取り入れられるものはないかと勉強のために来ていて、ソルマーレ国の影の一族の家で世話になっている。
「うるさい。集中できないから少し黙っていてくれ。ああ、今日も可愛い…リアの髪はあの緑だらけの温室で映えるな、美しいオレンジ色の髪の毛…艶々している…ああ、俺と同じシャンプーじゃないいま、どんな匂いになっているんだろう。リア自身が上品な薔薇の香りがするからどんなシャンプーでも石鹸でも構わないのは構わないんだが…いや構わなくない…俺のリアだと印をつけておかなくては…!イアン、今すぐあの家のシャンプーを俺と同じモノに入れ替えてきてくれ!」
「早く死ぬべきだと思います。そんなことしたらすぐに賊が入ったとバレるでしょうが。頭がさらにおかしくなってますよ、自覚はないのでしょうが。次期当主なんですから、ユリアーナ様が関わっていても冷静に対処できるようになってくださいよ。鋼の忍耐力はどこに行ったんですか、遠く離れた異国の地にでも出掛けているのですか」
わざとらしくため息をついたイアンはナメクジでも見ているかのような視線を俺に向けた。分かりやすくわざと蔑みを表すのは母にそっくりだ。
「僕が守ります、なんて言葉信じられるか。あわよくばリアを自分のモノにしようとしているんだろう」
「兄上。『妻が心配するほど夫はモテず』と言う格言を御存知ですか。兄上の場合は逆です。兄上が病的に心配するほどユリアーナ様は他の男の目にとまったりしませんよ。たしかに10人くらいは惹き付けるでしょうが。魅力的ですからね」
「おまえ、言ってることに一貫性がないぞ」
それに、とイアンは俺を見ると一転して真剣な顔になった。
「僕が欲しいのはアリスちゃんだけですから。他の女性には興味がないんです」
「…アリスちゃん?」
「死にたいんですね、兄上。会ったこともないのにまるで知り合いのように図々しくもアリスちゃんだなどと」
スッと針を取り出すイアンの目は本気だった。
「じゃあなんて呼べばいいんだ!だいたいおまえだってユリアーナを名前で呼んでるだろうが!」
「兄上に『ユリアーナを名前で呼ぶな』と言われたことはありませんし、離縁するわけですから義姉上とはお呼びできないでしょう、それこそ失礼です」
「おまえが俺に失礼だ!離縁なんか、…離縁なんかしないし…」
兄上がそう思ってるだけでしょ、と冷たく言われて落ち込む。
サフィールドにヒントをもらってから俺は早急にイアンにつなぎを取り、間違いなくユリアーナがソルマーレ国の親戚の家にいるということを知った。父に許可をもらうために足元を見られ、めんどくさい仕事を押し付けられたがためにソルマーレ国に来れたのは2日前だ。ユリアーナがこの国に来てまもなく1ヶ月。こちらに来る前に、ユリアーナに手紙を出してきた。
「…ほんとに、話も聞いてもらえなかったりしたらどうしよう」
「仕方ないですよね、スッパリ諦めて離縁するしかないですよ」
「イヤだ!リアと婚約したいがために、あの人使いが荒い両親に唆されて命がけであらゆる国から薬草を手に入れてきたんだぞ!栽培して根付いてくれるまでどれだけの歳月を費やしたと思っているんだ!ようやくリアの両親の目にとまって、さもなんにもないふりをして、それならばお互いの利益のために子ども同士を婚約させましょう、とあのクソ親父に言わせるまでの努力がおまえにわかるか!?」
「わかりません。わかる必要性を感じません」
父の横暴さを思い出してイライラし、癒されようとユリアーナを見ると、温室で封筒を手渡されていた。あれは、
「あ、キモい人からの手紙だ。ユリアーナ様、お気の毒に。手が腐っちゃう」
「俺はキモくないし、病原菌でもない」
ユリアーナは封筒を裏返し、少し困惑気味な顔になった。…当たり前だが目の前で見せられると落ち込んでくる。
そのままユリアーナは温室を出ると、自室に戻った。
「破り捨てられたらどうしよう…」
「…兄上、ほんと女々しくてウザイです。キモい上に女々しくてウザイなんてどこにも救いがないですよ」
仕方ないだろう、自分がやってきたこととは言え、…死刑宣告を受ける前の囚人の気持ちだ。動悸が激しすぎて気持ち悪くなってきた。どんなに難しい仕事であってもこんなに緊張した試しはない。口から心臓が飛び出そうだ。
「…あー…」
「…うっさい。ウザイ。僕が見ててあげますから、あっち見ててくださいよ」
そんなわけにはいかない。ユリアーナを傷つけておきながら、自分は傷つきたくないなんて傲慢にも程がある。
ユリアーナは封筒を指で撫でた。その仕草に胸がドキリとする。ああ、なんて美しい指…あの指で俺の頬を撫でてくれないだろうか。頬と言わず、首とか、胸とか、腹とか、もちろんその下の
「兄上、顔が崩壊してます」
「…いちいち俺を見ないでくれ」
便箋を開いたユリアーナは、即座に閉じた。
「破られる寸前ですね」
やっぱりダメか、と思わず視線を落とす。
「あ、また開きましたよ」
イアンの言葉に顔を上げると、読み進めるユリアーナの顔が少しずつ赤く染まってきた。
「…っ、かわっ、可愛いっ!可愛い、リア、可愛い、」
「うるさい!」
イアンが脇腹に肘鉄を喰らわせる。こいつは俺を兄だと思っているのか。痛さに悶えていると、ユリアーナが便箋を取り出しペンを手にした。サラサラと書く、その文字、
「…迎えに行く」
「ちょ、…兄上っ」
イアンの手をすり抜け、俺はユリアーナの元に走った。やっと、やっと、やっとユリアーナに会える。
32
お気に入りに追加
3,832
あなたにおすすめの小説
妻と夫と元妻と
キムラましゅろう
恋愛
復縁を迫る元妻との戦いって……それって妻(わたし)の役割では?
わたし、アシュリ=スタングレイの夫は王宮魔術師だ。
数多くの魔術師の御多分に漏れず、夫のシグルドも魔術バカの変人である。
しかも二十一歳という若さで既にバツイチの身。
そんな事故物件のような夫にいつの間にか絆され絡めとられて結婚していたわたし。
まぁわたしの方にもそれなりに事情がある。
なので夫がバツイチでもとくに気にする事もなく、わたしの事が好き過ぎる夫とそれなりに穏やかで幸せな生活を営んでいた。
そんな中で、国王肝入りで魔術研究チームが組まれる事になったのだとか。そしてその編成されたチームメイトの中に、夫の別れた元妻がいて………
相も変わらずご都合主義、ノーリアリティなお話です。
不治の誤字脱字病患者の作品です。
作中に誤字脱字が有ったら「こうかな?」と脳内変換を余儀なくさせられる恐れが多々ある事をご了承下さいませ。
性描写はありませんがそれを連想させるワードが出てくる恐れがありますので、破廉恥がお嫌いな方はご自衛下さい。
小説家になろうさんでも投稿します。
【R18】 義理の弟は私を偏愛する
あみにあ
恋愛
幼いころに両親が他界し、私はある貴族に引き取られた。
これからどうなるのか……不安でいっぱいだった私の前に会わられたのが、天使のように可愛い男の子。
とろけそうな笑顔に、甘えた声。
伸ばされた小さな手に、不安は一気に吹き飛んだの。
それが私と義弟の出会いだった。
彼とすぐに仲良くなって、朝から晩まで一緒にいた。
同じ食卓を囲み、同じベッドで手をつないで眠る毎日。
毎日が幸せだった。
ずっと続けばいいと願っていた。
なのに私は……彼の姉として抱いてはいけない感情を持ってしまった。
気が付いた時にはもう後戻りできないところまで来ていたの。
彼の傍に居たいのに、もう居続けることは出来ない。
だから私は彼の傍を離れると決意した。
それなのに、どうしてこんなことになってしまったの……?
※全14話(完結)毎日更新【5/8完結します】
※無理やりな性描写がございます、苦手な方はご注意ください。
王太子殿下の想い人が騎士団長だと知った私は、張り切って王太子殿下と婚約することにしました!
奏音 美都
恋愛
ソリティア男爵令嬢である私、イリアは舞踏会場を離れてバルコニーで涼んでいると、そこに王太子殿下の逢引き現場を目撃してしまいました。
そのお相手は……ロワール騎士団長様でした。
あぁ、なんてことでしょう……
こんな、こんなのって……尊すぎますわ!!
【R18】「媚薬漬け」をお題にしたクズな第三王子のえっちなお話
井笠令子
恋愛
第三王子の婚約者の妹が婚約破棄を狙って、姉に媚薬を飲ませて適当な男に強姦させようとする話
ゆるゆるファンタジー世界の10分で読めるサクえろです。
前半は姉視点。後半は王子視点。
診断メーカーの「えっちなお話書くったー」で出たお題で書いたお話。
※このお話は、ムーンライトノベルズにも掲載しております※
【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜
茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。
☆他サイトにも投稿しています
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
王太子さま、側室さまがご懐妊です
家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。
愛する彼女を妃としたい王太子。
本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。
そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。
あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。
婚約破棄目当てで行きずりの人と一晩過ごしたら、何故か隣で婚約者が眠ってた……
木野ダック
恋愛
メティシアは婚約者ーー第二王子・ユリウスの女たらし振りに頭を悩ませていた。舞踏会では自分を差し置いて他の令嬢とばかり踊っているし、彼の隣に女性がいなかったことがない。メティシアが話し掛けようとしたって、ユリウスは平等にとメティシアを後回しにするのである。メティシアは暫くの間、耐えていた。例え、他の男と関わるなと理不尽な言い付けをされたとしても我慢をしていた。けれど、ユリウスが楽しそうに踊り狂う中飛ばしてきたウインクにより、メティシアの堪忍袋の緒が切れた。もう無理!そうだ、婚約破棄しよう!とはいえ相手は王族だ。そう簡単には婚約破棄できまい。ならばーー貞操を捨ててやろう!そんなわけで、メティシアはユリウスとの婚約破棄目当てに仮面舞踏会へ、行きずりの相手と一晩を共にするのであった。けど、あれ?なんで貴方が隣にいるの⁉︎
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる