3 / 19
3
しおりを挟む
結婚式、及び入籍は卒業後すぐには行われず、私の誕生日である10月25日と決まった。私は19歳の誕生日にフェルナンド・ジルコニアの妻になった。
なぜ、私の誕生日にしたのか。フェルナンドは目も合わせず吐き捨てた。
「結婚記念日と誕生日と両方祝え、なんて言われてはたまったものじゃない。どっちも一緒なら効率的だ」
誕生日はまだしも、結婚記念日を祝いたいなんて気持ちは元々持っていなかったが、こんなことを言われてさらに誕生日だって祝って欲しくなくなった。気持ちがない人に無理矢理「おめでとう」なんて言われたって嬉しくもなんともない。そもそも祝おうという気持ちなんてあるのだろうか。わざわざそんなこと、言わなければいいのに。なぜこの日にしたのかなんて、聞きもしていないのに。ただ、会話らしき会話をしたことがないのに、なぜ私の誕生日を知っているのかは不思議に思った。拒絶が怖くてあえて尋ねることはしなかったが。
卒業後、結婚式当日までもちろん交流はなかった。フェルナンドは仕事をしているらしいがそれがなんなのか教えられることもなく、知りたいとも思わなかった。約2年の婚約期間中、ほとんど口もきかなかったフェルナンドのことを私はなにも知らない。そう、誕生日さえ。結婚式に特別なんの憧れもなかったけれど、フェルナンドが相手で更にどうでもよくなった。できることなら式自体をなくせればいいとさえ思っていたが、ジルコニア夫妻が楽しみにしてくれているのにそうも言い出せなかった。
「すべてこちらで準備するから、当日身一つできてね!」
ジルコニア夫人が言った通り、打ち合わせすらせずジルコニア家に近づきもしなかったのに、当日準備されていたウェディングドレスは私のカラダにぴったりの仕上がりだった。美しい刺繍が施され、歩く度に美しい音がした。とても嬉しかった。隣がフェルナンドでなければ。フェルナンドはまったくの無表情で、一言も口を聞かず式を終えた。指輪の交換はなく、かろうじて誓いのキスだけはあった。私の初めてのキスは、おざなりに済まされるのだろうという予想を裏切り、ひどく丁寧な、優しい優しい口づけだった。神父様に「新郎、そろそろ…」と促されるまでフェルナンドは唇を離さなかった。離れていった彼の顔はほんの一瞬嬉しそうにほころんだ…ように見えたが、それはきっと私の見間違いだったに違いない。その後はまた無表情に戻っていたから。
ジルコニア侯爵は、「しばらくは若いふたりで生活したらいい」と、離れを準備してくれた。その離れには学園にあったような研究室まで作ってくれた。
「好きな時に好きなだけ研究したらいい。ジルコニアにキミが来てくれて嬉しいよ、ユリアーナ」
「わたくしも娘が欲しかったから、とっても嬉しいわ…!ホランド夫人のことはなんて呼んでたの?」
「…お母さん、と」
本来ならお母様なんだろうけど、我が家の両親は「背中がゾワゾワするからイヤだ」と家の中では「お父さん」「お母さん」と呼ばせていた。ただし外では「お父様」「お母様」。これにはかなり鍛えられた。
「じゃあわたくしのことはシャルって呼んで!」
「…え?」
ニコニコしながら言うジルコニア夫人に驚きすぎて、思わず失礼な返答をしてしまったと焦っていると、
「じゃあ、俺も名前で…いや待てよ、やっぱり義理の娘に『お義父様』って呼ばれるほうがいいな…なんか背徳的な響きがする」
「音は同じでしょ。違いなんてないわよ」
夫を冷たくあしらったジルコニア夫人は私の手を取ると、
「わたくしもユリちゃんて呼ぶわね!ご飯は一緒に食べましょ?離れでフェルナンドと二人なんてつまらないでしょ?」
「そうだそれがいい!俺もユリちゃんと呼ぶ。いや、シャルと同じでは芸がないな…ユリアちゃんにしようかな…」
「ユリちゃんにしなさい」
ジルコニア夫妻は契約結婚だと自らが言って憚らない、愛などないと公言している二人なのにこんなにも仲がよく、夫人がジルコニア侯爵に気を使い縮まっているわけでもないことを羨ましく思った。同じように政略結婚であっても私とフェルナンドはまったく違う。最初から拒絶され、私はフェルナンドに歩み寄る勇気がなくなった。また拒絶されたらと思うと怖くて話し掛けることができなかった。
それよりも夫人の「娘が欲しかった」発言が気になり、「あの、アマンダ様は、」と発したとたん、夫妻の顔が貼り付けた笑顔になった。今まで優しく微笑んでいた瞳が笑っていない。
「ユリちゃんは、我が家のバカ娘なんて気にしなくていいのよ。食事の時も別にするから配慮なんて必要ないわ」
「そうだな。せっかくのユリちゃんとの食事が不味くなる」
なぜこんなに歓待してもらえるのか不明だったが、10月25日の結婚式の日から食事はそのように取ることが決まった。それについてフェルナンドは私に何も言わなかった。「両親に取り入りやがって」とか、「アマンダを除け者にするよう画策しやがって」とか言われるのでは、と覚悟していたのでなんだか拍子抜けだった。食事の場でも私とは口をきかないが、ジルコニア夫妻とは楽しげに話していた。
結婚式が終わり、離れに初めて足を踏み入れると「おまえの部屋はここだ」と案内された。
シンプルに整えられた部屋は私好みの調度品が揃えられ、大きな本棚とこれまた大きなベッドがあった。今夜は、とそれを見てコクッと意識せず喉がなった私に、
「中に入ったらカギをかけろ。夜は絶対に出てくるな」
と平坦な声で言ったフェルナンドは、そのまま踵を返して出ていきドアを閉めた。呆然と立ち尽くしていると、外から「カギをかけろと言っただろうが!聞こえないのか!」と怒鳴られた。慌ててカギをかけると、その音を合図に遠ざかる足音が聞こえた。
今夜は初夜だと不安ながらも決めた覚悟は粉々にされ、その夜どころかその日以降一度も、私の部屋にフェルナンドの訪れはなかった。
結婚式の翌日、朝食に行く準備をしているとドアがノックされた。開けようとカギを外すと、
「相手が誰か確認しろ!」
と外から怒鳴られた。使用人がいるにしても、怪しい人間の出入りなどないはずなのにこんなに怒られなくてはならないことなのだろうか。悔しくて涙が込み上げてくる。
「…おい?」
外から訝しげな声が聞こえてきたが、今返事をしたら泣いていることがわかってしまう。私はドアを開け、下を向いたまま軽くお辞儀をし早足でフェルナンドの隣を通りすぎようとした。その腕をグッ、と掴まれる。
「どうした、」
覗き込むようにするフェルナンドの手を払い、走るようにその場を去った。こんな顔、絶対に見られたくない。「こんなことで泣くなんて」などと嫌味を言われたりしたらそれこそ胸が抉られる。家族やスーザン以外と関わりを持って来なかった私は、他人の悪意を受け止める強さが足りないのかもしれない。
大声を出されて怖い、ツラい、という想いよりもただひたすら寂しかった。これから先の人生を私を見ようとしない人と生きていかなくてはならないなんて。
なぜ、私の誕生日にしたのか。フェルナンドは目も合わせず吐き捨てた。
「結婚記念日と誕生日と両方祝え、なんて言われてはたまったものじゃない。どっちも一緒なら効率的だ」
誕生日はまだしも、結婚記念日を祝いたいなんて気持ちは元々持っていなかったが、こんなことを言われてさらに誕生日だって祝って欲しくなくなった。気持ちがない人に無理矢理「おめでとう」なんて言われたって嬉しくもなんともない。そもそも祝おうという気持ちなんてあるのだろうか。わざわざそんなこと、言わなければいいのに。なぜこの日にしたのかなんて、聞きもしていないのに。ただ、会話らしき会話をしたことがないのに、なぜ私の誕生日を知っているのかは不思議に思った。拒絶が怖くてあえて尋ねることはしなかったが。
卒業後、結婚式当日までもちろん交流はなかった。フェルナンドは仕事をしているらしいがそれがなんなのか教えられることもなく、知りたいとも思わなかった。約2年の婚約期間中、ほとんど口もきかなかったフェルナンドのことを私はなにも知らない。そう、誕生日さえ。結婚式に特別なんの憧れもなかったけれど、フェルナンドが相手で更にどうでもよくなった。できることなら式自体をなくせればいいとさえ思っていたが、ジルコニア夫妻が楽しみにしてくれているのにそうも言い出せなかった。
「すべてこちらで準備するから、当日身一つできてね!」
ジルコニア夫人が言った通り、打ち合わせすらせずジルコニア家に近づきもしなかったのに、当日準備されていたウェディングドレスは私のカラダにぴったりの仕上がりだった。美しい刺繍が施され、歩く度に美しい音がした。とても嬉しかった。隣がフェルナンドでなければ。フェルナンドはまったくの無表情で、一言も口を聞かず式を終えた。指輪の交換はなく、かろうじて誓いのキスだけはあった。私の初めてのキスは、おざなりに済まされるのだろうという予想を裏切り、ひどく丁寧な、優しい優しい口づけだった。神父様に「新郎、そろそろ…」と促されるまでフェルナンドは唇を離さなかった。離れていった彼の顔はほんの一瞬嬉しそうにほころんだ…ように見えたが、それはきっと私の見間違いだったに違いない。その後はまた無表情に戻っていたから。
ジルコニア侯爵は、「しばらくは若いふたりで生活したらいい」と、離れを準備してくれた。その離れには学園にあったような研究室まで作ってくれた。
「好きな時に好きなだけ研究したらいい。ジルコニアにキミが来てくれて嬉しいよ、ユリアーナ」
「わたくしも娘が欲しかったから、とっても嬉しいわ…!ホランド夫人のことはなんて呼んでたの?」
「…お母さん、と」
本来ならお母様なんだろうけど、我が家の両親は「背中がゾワゾワするからイヤだ」と家の中では「お父さん」「お母さん」と呼ばせていた。ただし外では「お父様」「お母様」。これにはかなり鍛えられた。
「じゃあわたくしのことはシャルって呼んで!」
「…え?」
ニコニコしながら言うジルコニア夫人に驚きすぎて、思わず失礼な返答をしてしまったと焦っていると、
「じゃあ、俺も名前で…いや待てよ、やっぱり義理の娘に『お義父様』って呼ばれるほうがいいな…なんか背徳的な響きがする」
「音は同じでしょ。違いなんてないわよ」
夫を冷たくあしらったジルコニア夫人は私の手を取ると、
「わたくしもユリちゃんて呼ぶわね!ご飯は一緒に食べましょ?離れでフェルナンドと二人なんてつまらないでしょ?」
「そうだそれがいい!俺もユリちゃんと呼ぶ。いや、シャルと同じでは芸がないな…ユリアちゃんにしようかな…」
「ユリちゃんにしなさい」
ジルコニア夫妻は契約結婚だと自らが言って憚らない、愛などないと公言している二人なのにこんなにも仲がよく、夫人がジルコニア侯爵に気を使い縮まっているわけでもないことを羨ましく思った。同じように政略結婚であっても私とフェルナンドはまったく違う。最初から拒絶され、私はフェルナンドに歩み寄る勇気がなくなった。また拒絶されたらと思うと怖くて話し掛けることができなかった。
それよりも夫人の「娘が欲しかった」発言が気になり、「あの、アマンダ様は、」と発したとたん、夫妻の顔が貼り付けた笑顔になった。今まで優しく微笑んでいた瞳が笑っていない。
「ユリちゃんは、我が家のバカ娘なんて気にしなくていいのよ。食事の時も別にするから配慮なんて必要ないわ」
「そうだな。せっかくのユリちゃんとの食事が不味くなる」
なぜこんなに歓待してもらえるのか不明だったが、10月25日の結婚式の日から食事はそのように取ることが決まった。それについてフェルナンドは私に何も言わなかった。「両親に取り入りやがって」とか、「アマンダを除け者にするよう画策しやがって」とか言われるのでは、と覚悟していたのでなんだか拍子抜けだった。食事の場でも私とは口をきかないが、ジルコニア夫妻とは楽しげに話していた。
結婚式が終わり、離れに初めて足を踏み入れると「おまえの部屋はここだ」と案内された。
シンプルに整えられた部屋は私好みの調度品が揃えられ、大きな本棚とこれまた大きなベッドがあった。今夜は、とそれを見てコクッと意識せず喉がなった私に、
「中に入ったらカギをかけろ。夜は絶対に出てくるな」
と平坦な声で言ったフェルナンドは、そのまま踵を返して出ていきドアを閉めた。呆然と立ち尽くしていると、外から「カギをかけろと言っただろうが!聞こえないのか!」と怒鳴られた。慌ててカギをかけると、その音を合図に遠ざかる足音が聞こえた。
今夜は初夜だと不安ながらも決めた覚悟は粉々にされ、その夜どころかその日以降一度も、私の部屋にフェルナンドの訪れはなかった。
結婚式の翌日、朝食に行く準備をしているとドアがノックされた。開けようとカギを外すと、
「相手が誰か確認しろ!」
と外から怒鳴られた。使用人がいるにしても、怪しい人間の出入りなどないはずなのにこんなに怒られなくてはならないことなのだろうか。悔しくて涙が込み上げてくる。
「…おい?」
外から訝しげな声が聞こえてきたが、今返事をしたら泣いていることがわかってしまう。私はドアを開け、下を向いたまま軽くお辞儀をし早足でフェルナンドの隣を通りすぎようとした。その腕をグッ、と掴まれる。
「どうした、」
覗き込むようにするフェルナンドの手を払い、走るようにその場を去った。こんな顔、絶対に見られたくない。「こんなことで泣くなんて」などと嫌味を言われたりしたらそれこそ胸が抉られる。家族やスーザン以外と関わりを持って来なかった私は、他人の悪意を受け止める強さが足りないのかもしれない。
大声を出されて怖い、ツラい、という想いよりもただひたすら寂しかった。これから先の人生を私を見ようとしない人と生きていかなくてはならないなんて。
113
お気に入りに追加
3,825
あなたにおすすめの小説
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

誰の代わりに愛されているのか知った私は優しい嘘に溺れていく
矢野りと
恋愛
彼がかつて愛した人は私の知っている人だった。
髪色、瞳の色、そして後ろ姿は私にとても似ている。
いいえ違う…、似ているのは彼女ではなく私だ。望まれて嫁いだから愛されているのかと思っていたけれども、それは間違いだと知ってしまった。
『私はただの身代わりだったのね…』
彼は変わらない。
いつも優しい言葉を紡いでくれる。
でも真実を知ってしまった私にはそれが嘘だと分かっているから…。

誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる