逆行厭われ王太子妃は二度目の人生で幸せを目指す

蜜柑マル

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ほぼ毎日のように我が家にやってくるハロルド様に、いつしかコンラッド様とアデル様が加わるようになった。

「セシリア様とお友だちになりたいからと何度もお願いしたのに、まったく会わせてくださらなくて…横暴ですわよ、ハロルドお兄様!縛りが強い男は嫌われますわよ!セシリア様、今からでも遅くありませんからこんな執着の塊みたいな男とは婚約を解消なさるべきですわ!」

「余計なことを言うな、アデル。ウッドベル家に出入り禁止にするぞ。…コラ、俺のシアの手を握るんじゃない!」

叩き落とす勢いでアデル様の手を離させると、ハロルド様は私を胸に抱き込んだ。他の方々の前で、恥ずかしいからやめて欲しいのに、抵抗してもハロルド様はびくともしない。

「セシリア様が可哀想…こんな男に…」

「アデル嬢?一応俺は第一王子なんだが?」

「あ、忘れてましたわ、セシリア様がお気の毒すぎて」

そんな二人のやりとりを、コンラッド様は微笑ましげに見ていた。アデル様を見つめるその瞳に、たまに哀しげな色が乗るのに気付くのはそう遅くなかった。

「シア、なんでコンラッドを見てるの。俺を見て。コンラッドを見るの禁止。アデルのことも見なくていいから。もう帰していい」

「阿呆がいますわ。コンラッドお兄様も、何か仰って」

コンラッド様は私に視線を移すと、ふ、と微笑み「セシリア嬢、痛み入る」とおどけたように言った。

「まったく、確かに幼い時からセシリア嬢のことをうるさく言ってはいたが、まさかこれ程になるとは…ハロルド、アデルが言うのも尤もだぞ。あまり縛りが強いのは、」

「なに?兄妹揃って今日は帰る?そうか、お帰りはあちらだ。見送れないが許せよ」

3人の様子を見ていると、本当に長い間一緒に過ごしてきたのだという気安さが感じられて羨ましく思う…羨ましい?私ったら、何を、

「そう言えば、アデル。エイサンから釘をさされた。兄上がウッドベル家に連れ出すせいで、アデルがまったく王宮に来ないと。4月には学園も始まって、学年が違う自分は余計に会えなくなるのだから今くらい遠慮しろと。かなりご立腹だったぞ」

ハロルド様の言葉を聞いて、アデル様のお顔が一気に曇った。心なしか、カラダが震えているようで、その何とも言えない心細い様に思わずアデル様を抱き締めた。

「シア!なんでアデルに!…アデル、離れろ!」

「ハロルド、アデルが抱き付いたんじゃないだろ、落ち着け」

「俺だってまだシアから抱きついてもらったことがないのに…!許せん!」

「バカ発言はやめろ、第一王子なんだろ、仮にも」

ハロルド様はコンラッド様に任せて覗き込むと、アデル様の瞳から涙が零れ落ちた。
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