逆行厭われ王太子妃は二度目の人生で幸せを目指す

蜜柑マル

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前回と異なること

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その圧に、知らず喉がゴクリとなる。

「あれ、は、…お忘れ、ください」

「…残念ながら俺は記憶力がいい。『私は、もう、貴方と関わりたくない!あんな風にバカにされて、あんな風に苦しい思いをして、ひとりで死ぬなんてまっぴら』」

「やめ、やめてください、」

「…『ひとりで死ぬなんてまっぴらなの!離して!他の女が良かったなら、その女を選べば良かったのに、私は、なんであんな嫌がらせを』」

「やめてください!」

ハロルド殿下は鋭い瞳を私から外さない。そのすべてを見透かすような視線にジワリと恐怖心が生まれる。

「…混乱して、無意識に言ったことです、」

「ならもう一度最初から言ってみようか。『私は、もう、貴方と関わりたくない!あんな風にバカにされ』」

「わかりました、自分が言ったことはわかりました!」

「セシリア」

聞いたこともない怒りを含んだ低い声に、カラダの芯が震える錯覚に捕らわれる。怖い、なんで怒っているの、

「今朝顔を合わせた時も、キミはおかしなことを言ったな。俺は第一王子なのに、王太子だと。その上こんどは、さっきの言動だ。俺の顔を見て倒れたり、泣き出したり、受け入れられない、とも言った。いったい何がキミをそんな風にしているんだ?俺はキミと会ったことで、キミといつか夫婦になりたいと夢みてここまで来たが、その間キミに王家から圧力をかけて婚約者にするような真似はしていない。ウッドベル侯爵にも、初めは断られた。若気の至りだから、一度冷静になれと。でも、俺のことを知ってもらうため、誠心誠意向き合ってようやく認めてもらえて、ようやく今日を迎えたんだ。黙っていたことは確かに卑怯かもしれないが、…なぜそんなに俺は頑なに拒絶されなくてはならないんだ?俺の何が気に入らない?」

そう言うハロルド殿下の瞳は、徐々に悲しげに揺らぎ始めた。

「…教えてくれ。セシリア」

そうだ。さっきから、何度も…この方は、私の存在を否定し続けたハロルド殿下ではないのに、そう思っていたのに、目の前のこの方に向き合おうとしないで…新しい人生を生きると誓ったはずなのに、目をつぶり、耳を塞いで逃げようとしてしまった。確かに、私本人に婚約について話を通されなかったのはどうかと思うけど、それは父の問題だし、この方の責任ではない。

この方は、私を妻にすると幼い時に望んだ、と言った。そしてこうして婚約者になった。「もう決まった」ことならば、これからこの方と夫婦になるならば、…私の憂いを、話しておくべきなのだろうか。
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