逆行厭われ王太子妃は二度目の人生で幸せを目指す

蜜柑マル

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15歳の誕生日

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次の日の朝、結局睡眠不足でズキズキする頭を必死に起こし、準備に取り掛かる。こんなことなら、と思っても後の祭りだ。今夜こそは早く寝る。

「お嬢様、旦那様がお呼びですよ…まぁ…とってもお似合いですよ、お嬢様!」

「そうかしら…私今まで、赤いドレスなんて身につけたことがなかったから…正直、落ち着かないわ」

「まだお若いのですから、いろんな色に挑戦なさるべきです。決まったものばかりでは面白みもございませんでしょう」

確かにその通りだ、と思いながら、

「これ、…私が、色も選んだんだったかしら」

と探るようにデイジーに尋ねると、

「いいえ、これは今日いらっしゃるお嬢様の婚約者様から贈られたドレスです。お嬢様に初めてのプレゼントをさせて欲しいと、旦那様に申し出られたそうですわ」

「…やっぱりデイジーも知っていたのね、今日のパーティーが私の婚約を祝うものだって」

デイジーはおどけた顔を見せると、

「ウッドベル家で、知らなかったのはお嬢様だけですよ」

とすましたように言う。まったくもう…。

「ねぇ、デイジー。昨日お父様が教えてくださらなかったの。私の婚約者はいったいどなたなの」

「旦那様を差し置いて、一使用人の私がお嬢様にお教えするとでも?お嬢様は私をクビにしたいのですか?」

実際に前回はそうなってしまったのだから笑えない冗談だ。それに確かに、こんなコソコソ探るような真似は反則かもしれない。今日中に顔を合わせることに間違いはないのだし、あとは腹を括るしかない。

(…大丈夫よ、セシリア。あれ以上に酷い目に遭うことはないはずよ。だって、婿に入ってくださるというのだから…でも…ううん…)

デイジーは黙り込み俯いた私を覗き込むと、目を合わせ優しく微笑んだ。

「お嬢様、大丈夫ですよ。私は直接お会いしたことはございませんが、とても素晴らしい方だと伺っております。だから、そんなにご心配なさらず。さあ、暗い顔をせずに、旦那様のところへ参りましょう。とても素敵な装いなのですから、お顔も合わせて素敵な笑顔を見せてください。私が大好きな、お嬢様の笑顔を」

「…そうね。ありがとう、デイジー」

昨日と同じにデイジーに送り出され、父の元へ急いだ。

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