逆行厭われ王太子妃は二度目の人生で幸せを目指す

蜜柑マル

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気づいたら14歳

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学園生活も残り半年を切った時、心が悲鳴を上げ始めた。夜も眠れず、朝も早くに目が覚める。食事も喉を通らず、大層心配したデイジーに事情を話すと、憤慨した彼女は主人であるウッドベル侯爵に直談判に行ったのだが、

(その日を最後に、デイジーは屋敷を追われてしまった…)

弱い私のせいで。自分で動きもせずに、私の意を汲んで動いてくれるだろうデイジーに甘え、頼ってしまった。

散々泣いて取り返しのつかないことを後悔し、3日間部屋に閉じ籠った私を、今まで家に来たこともなかった王太子がおとなった。

体調が優れないと断ったのに、強引に部屋に入り込んできた王太子は私の顔を見るだけで何も話さない。いったいなんだと言うのか。そんなに私をバカにするのが楽しいのか。大切な大切なデイジーを失って、自暴自棄になっていた私は、それまで願っても口に出来なかったことを目の前の男にぶつけた。

「婚約者から外してください」

「…それはできない」

それだけを告げて王太子は出て行った。なんとも言えない行き場のない失望、怒り、そんな感情に苛まれ、私は学園に通うのをやめた。両親に叱責され「できそこないの娘は殺してください」と告げたら腫れ物を扱うかのような態度に変わって更にバカらしくなった。どうせ相応しくないと思われているのだから、いっそのこと問題行動だと婚約者から外してくれればよいと目論んだのに、その望みも叶うことなく、「王太子の強い希望で」卒業式の次の日に婚姻を結ばされた。私自身なんの準備にも呼ばれることなくいたのに、国をあげて盛大に結婚式を催されてしまった。

逃げ場を塞がれ、私はもうすべてを諦めた。結婚したからには、妃としてやっていくしかない。隣に立つ王太子をついぞ見上げることはしなかった。誓いのキスをと言われ、触れた唇をすぐに離した。目を合わせるのもイヤでつぶったままでいた。そして仕方なく覚悟を決めた初夜に、…あの仕打ちが待っていた。
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