【完結】あなたのことが好きでした

蜜柑マル

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「…騒がしかったね」

呆けたように話すオーウェンをチラリと見たソフィアは、

「オーウェン様」

と名前を呼び、その手をそっと握った。顔を赤らめたオーウェンが、「な、なんだい」とどもりながら返事をする。

「私も、妊娠しましたの」

「…え?」

「まったく合わせたつもりはないのですが、おに…お姉様と同じ時期になりそうです」

「…え?」

握ったオーウェンの手を自分の腹に導いたソフィアは、「ここに、」とオーウェンをじっと見つめた。

「ここに、オーウェン様の子どもができました」

しばし固まったオーウェンは、己の手とソフィアの顔を交互に見つめる。そしてようやく、

「…ほんとに?」

と呟いた。

何も言わず微笑むソフィアを見て、オーウェンの瞳が潤む。

「…オーウェン様はほんとに泣き虫ですわね」

髪の毛を撫でられながら、オーウェンは不貞腐れたように「…本質は、変わらない」とボソリと呟いた。

「…じゃあ、子どもが産まれてから、結婚式だね」

「ええ。入籍だけは済ませてよろしいですか」

ソフィアの言葉に、「もちろん」と破顔させたオーウェンは、

「…義父上に叱られるな」

とまったく困った様子なくニコニコと話す。

「そうですね。…一緒に、怒られてさしあげます」

そう微笑むソフィアを、立ち上がったオーウェンは優しく抱き締めた。

(…諦めなくてよかった)

お互いがお互いにそう思っていることなど知るよしもなく、二人は顔を見合わせて幸せそうに口づけた。












【了】
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