51 / 57
後日
51
しおりを挟む
意識が浮上し目を開けたオーウェンは、己の腕の中にある柔らかな感触に視線を移し、目を見開いた。そこには、焦がれながらも昨夜きっぱりと拒絶されたソフィアが寝息をたてている。
(…なんで)
ソロリと自分のカラダに視線を向ける。明らかに全裸だ。そのままソフィアに視線をむけ、オーウェンは真っ赤になった。慌てて布団でソフィアの裸体を隠す。
「…ん」
その時ソフィアが身動ぎして瞳を開いた。その緑色の瞳がオーウェンを捉え和らぐ。
「オーウェン様、おはようございます」
柔らかく微笑むソフィアに、オーウェンはしどろもどろに尋ねた。
「ソフィア、あの、…僕、まさか、貴女の部屋に勝手に入ってきちゃったの?」
「違いますよ。入ってきたのは私です」
そう言って、ソフィアはオーウェンの頬をスルリと撫でた。その感触にオーウェンの雄がヒクリと頭を持ち上げる。
「ご、めん、」
「昨夜、ずいぶんお好きになさったのに目が覚めたらしおらしくなってしまいましたね、オーウェン様」
好きにした、と言われてオーウェンは顔を青くした。
「僕、夢だと思って、…嬉しくて、…ごめん、カラダ、ツラいところはない?…ソフィア、僕、」
「結婚する、って仰いましたよ。だから、いいのです。何よりオーウェン様はまだ私の婚約者なのですから」
そうだ。卒業式での婚約破棄、あれは伯爵家を丸ごと断罪するためのもので、あの対象たちを除いた周囲にキッチリ根回しをした茶番劇だ。だからこそ、自分は黙って領地に行ってしまったソフィアに早く会いたくて、でもジェンキンス侯爵から色よい返事がもらえなくて…。なぜ会わせてもらえないのか、焦りが募って…。
「昨日、好きでした、って、過去のことだ、って、そう言ったのに、…道が、わかたれた、って、」
「あれは3年間の意趣返しと、確認ですわ。オーウェン様が、まだ私を好きでいてくださるのかどうかの」
「…っ、好き、だよ、ずっとずっと好きだった…っ!貴女のことが、好きだった!」
ギュウッ、と抱きついてくるオーウェンの背中をソフィアは優しく撫でた。
(…なんで)
ソロリと自分のカラダに視線を向ける。明らかに全裸だ。そのままソフィアに視線をむけ、オーウェンは真っ赤になった。慌てて布団でソフィアの裸体を隠す。
「…ん」
その時ソフィアが身動ぎして瞳を開いた。その緑色の瞳がオーウェンを捉え和らぐ。
「オーウェン様、おはようございます」
柔らかく微笑むソフィアに、オーウェンはしどろもどろに尋ねた。
「ソフィア、あの、…僕、まさか、貴女の部屋に勝手に入ってきちゃったの?」
「違いますよ。入ってきたのは私です」
そう言って、ソフィアはオーウェンの頬をスルリと撫でた。その感触にオーウェンの雄がヒクリと頭を持ち上げる。
「ご、めん、」
「昨夜、ずいぶんお好きになさったのに目が覚めたらしおらしくなってしまいましたね、オーウェン様」
好きにした、と言われてオーウェンは顔を青くした。
「僕、夢だと思って、…嬉しくて、…ごめん、カラダ、ツラいところはない?…ソフィア、僕、」
「結婚する、って仰いましたよ。だから、いいのです。何よりオーウェン様はまだ私の婚約者なのですから」
そうだ。卒業式での婚約破棄、あれは伯爵家を丸ごと断罪するためのもので、あの対象たちを除いた周囲にキッチリ根回しをした茶番劇だ。だからこそ、自分は黙って領地に行ってしまったソフィアに早く会いたくて、でもジェンキンス侯爵から色よい返事がもらえなくて…。なぜ会わせてもらえないのか、焦りが募って…。
「昨日、好きでした、って、過去のことだ、って、そう言ったのに、…道が、わかたれた、って、」
「あれは3年間の意趣返しと、確認ですわ。オーウェン様が、まだ私を好きでいてくださるのかどうかの」
「…っ、好き、だよ、ずっとずっと好きだった…っ!貴女のことが、好きだった!」
ギュウッ、と抱きついてくるオーウェンの背中をソフィアは優しく撫でた。
89
お気に入りに追加
2,898
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
【完結】私の望み通り婚約を解消しようと言うけど、そもそも半年間も嫌だと言い続けたのは貴方でしょう?〜初恋は終わりました。
るんた
恋愛
「君の望み通り、君との婚約解消を受け入れるよ」
色とりどりの春の花が咲き誇る我が伯爵家の庭園で、沈痛な面持ちで目の前に座る男の言葉を、私は内心冷ややかに受け止める。
……ほんとに屑だわ。
結果はうまくいかないけど、初恋と学園生活をそれなりに真面目にがんばる主人公のお話です。
彼はイケメンだけど、あれ?何か残念だな……。という感じを目指してます。そう思っていただけたら嬉しいです。
彼女視点(side A)と彼視点(side J)を交互にあげていきます。
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる