【完結】あなたのことが好きでした

蜜柑マル

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「…貴女の兄は、それを受け入れたのか」

「まさか。そんなふうになるとは知らせずに、父が毎日…3年生もあと1ヶ月となった日から毎日、愚兄に服用させたのです。半年するとカラダに変化が現れるとかで…つい先月、出血したそうです」

「…出血?」

困惑気味に声をあげるオーウェンに、ソフィアは「ええ」と微笑む。

「経血ですわ。愚兄は…もう、姉ですわね、姉は、赤ちゃんを授かれるカラダになったのです」

毎日湯浴みをしていながら、チェイサーは自分のカラダが変わってきていることから目を逸らしていた。なんとなく胸が膨らんできたのも、股間に違和感があることも、別館に閉じ込められているストレスからだと思い込もうとしていた。…怖くて認められなかったのだ。後継から外すと言われてすぐに別館に閉じ込められ、自分の行き先がどうなるのか不明瞭なまま、訳のわからない受け入れ難いカラダの変化。そしてある日、感じたことのない下腹部の痛みとともに、股間から血が流れるのを見てチェイサーは気を失った。意識を取り戻し、父から今後のこと、自分に起きたことを聞かされて再び気を失った。

「まあ、通常受け入れられないことですが、兄は実は女だった、と押し通すことにしたようです、対外的に。双子の女の子だったから、後継のために男に見せかけていたのだと。…カラダ付きも私と変わらなかったのが幸いしたのか、まあ、そんなものかと…ベンジャミン様もそのように触れ回ってくださったようです」

「はあ、」

あまりの内容にもはや言葉も出ないオーウェンを見てニコリとしたソフィアは、

「ですから姉は、今夜嫁に行ったのですわ。レイノルド・パーカーの妻になったのです」

オーウェンはそのソフィアの微笑みに見とれボンヤリとしたが、「…そうなのか」と力なく呟いた。

「だから名実ともに、貴女がジェンキンス侯爵家の後継になるのだね」

頷くソフィアを見て、オーウェンも力なく頷いた。
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