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「むしろ殿下は、進んでそのゲームの登場人物になったのではありませんか?婚約者を蔑ろにし、ヒロインと呼ばれるあのご令嬢と時間を共にし、…婚約を、破棄した」
「ちがう、ソフィア、聞いて、ちがうんだ、」
「私が害されるとしたら卒業式の後だったわけですよね。殿下は在学中は何が起こるかわからなかったから…そう仰いましたが、卒業後ならば強制力とやらはなくなるのではありませんか?最初から、私を蔑ろにする必要などなかったのでは…そう思えてなりません。それに、殿下はあのご令嬢と城で親密に過ごされたと聞いております」
真っ青を通り越し、真っ白になった顔でオーウェンは「ちがう」と繰り返す。
「…父も」
「…ジェンキンス侯爵?」
「ええ。父も同席したのです、ベンジャミン殿下たちの話を聞く時に。父も私と同意見ですわ、殿下。だからこそ、たぶんこのタイミングで殿下をこちらに寄越したのではないでしょうか。兄は結婚し、ジェンキンス侯爵家の人間ではなくなりました。事実として、…私がジェンキンス侯爵家を継ぐ、それが今日知らしめられたのです。殿下とは、道が分かたれた…私と殿下の未来が交わることはないのだと」
オーウェンは呆けたようにソフィアを見つめた。道が分かたれた。自分は最初から、この道に進むつもりだった。あの顔合わせで泣いて気を失ってしまったソフィア。あの泣き顔を忘れたことなど一度もなかった。王位もどうでもよくて、だからこそパーシヴァルのための道を整えてきたのだ。それだけを頼りに、あの地獄のような3年を乗り越えた、そのつもりだったけど、
「…僕の独り善がりだった。ごめん、ソフィア。…申し訳なかった」
ポツリとそう呟いたオーウェンの瞳から光が消える。完全にソフィアに拒絶された今、もうオーウェンの生きる糧はなくなった。
「…殿下、それから、愚兄の話をいたします。たぶん聞いていらっしゃらないですよね」
無表情でまったく反応しないオーウェンを見て、ソフィアは目を逸らしながらあの奇妙な結婚式について話し出した。
「ちがう、ソフィア、聞いて、ちがうんだ、」
「私が害されるとしたら卒業式の後だったわけですよね。殿下は在学中は何が起こるかわからなかったから…そう仰いましたが、卒業後ならば強制力とやらはなくなるのではありませんか?最初から、私を蔑ろにする必要などなかったのでは…そう思えてなりません。それに、殿下はあのご令嬢と城で親密に過ごされたと聞いております」
真っ青を通り越し、真っ白になった顔でオーウェンは「ちがう」と繰り返す。
「…父も」
「…ジェンキンス侯爵?」
「ええ。父も同席したのです、ベンジャミン殿下たちの話を聞く時に。父も私と同意見ですわ、殿下。だからこそ、たぶんこのタイミングで殿下をこちらに寄越したのではないでしょうか。兄は結婚し、ジェンキンス侯爵家の人間ではなくなりました。事実として、…私がジェンキンス侯爵家を継ぐ、それが今日知らしめられたのです。殿下とは、道が分かたれた…私と殿下の未来が交わることはないのだと」
オーウェンは呆けたようにソフィアを見つめた。道が分かたれた。自分は最初から、この道に進むつもりだった。あの顔合わせで泣いて気を失ってしまったソフィア。あの泣き顔を忘れたことなど一度もなかった。王位もどうでもよくて、だからこそパーシヴァルのための道を整えてきたのだ。それだけを頼りに、あの地獄のような3年を乗り越えた、そのつもりだったけど、
「…僕の独り善がりだった。ごめん、ソフィア。…申し訳なかった」
ポツリとそう呟いたオーウェンの瞳から光が消える。完全にソフィアに拒絶された今、もうオーウェンの生きる糧はなくなった。
「…殿下、それから、愚兄の話をいたします。たぶん聞いていらっしゃらないですよね」
無表情でまったく反応しないオーウェンを見て、ソフィアは目を逸らしながらあの奇妙な結婚式について話し出した。
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