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「つ、たえ、ました、」

「ではなぜ、貴殿の娘は僕を名前で呼んだ?なぜ僕のカラダに触れた?なぜ当たり前のように僕やベンジャミンと行動を共にした?僕は貴殿にほとんど毎日のように抗議文を認めたはずだ。陛下の名でも月に一度出していただいた。しかしこの3年、貴殿の娘の行動が変わることはなかった。貴殿は僕をバカにしているのか?たかだか第1王子の言うことなど取るに足らないと?」

「俺も送ったが無視したということだよな」

重ねるようにベンジャミンにも睨み付けられ、ロック伯爵はガタガタとカラダを震わせた。隣の夫人は気を失いそうになっている。

「む、娘には、きちんと伝えました、しかし、殿下が許してくれているからと、オーウェン殿下はジェンキンス侯爵令嬢と婚約を解消し、娘を望んでいると、」

「そうですよね、オーウェン様、だからさっき、ソフィア様との婚約を破棄されたのでしょう!?」

オーウェンはクリスティーナをじいっ…、と見据えると、

「婚約を破棄したのは、僕の有責での破棄だ。ふさわしくない、と言うのは、僕がソフィアにふさわしくないということだ。…貴様のような女を制御できない、そんな情けない男はソフィアにふさわしくない…。ロック伯爵」

「は、はい…っ」

「貴殿の娘のせいで僕は大事な大事な愛するソフィアとの婚約を破棄し、彼女との未来を失った。この責任は貴殿にとってもらう。あれだけ抗議しても一切捨て置いた貴殿の罪は重い。ジェンキンス侯爵家、それから第2王子ベンジャミンの婚約者だったブルーム公爵家に慰謝料を支払うように」

「…は?」

ポカンと口を開ける伯爵に、「払えない時は爵位を返上しろ」と告げたオーウェンは、侍従に「ジェンキンス侯爵を」と伝える。

「お、お待ちください…っ」

「僕は3年も待たされたんだよ、伯爵」

冷たく吐き捨てるオーウェンにロック伯爵は顔色を変えると、

「慰謝料と仰るなら、我が娘を虐めたジェンキンス侯爵令嬢にも慰謝料を請求いたします…っ!」

と叫んだ。
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