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その日、オーウェンはジェンキンス侯爵家を訪れることなく、夕食の時間にソフィアと侯爵宛に手紙が届けられた。
『ソフィアへ
今日の出来事を踏まえて、学生ではあるが身分の区別を弁えた行動を取るようベンジャミンから陛下に申し出があり、陛下から了承を受けた。それに伴い、婚約者であってもまだ学生である男女が二人きりになることがないように、とのお達しが出た。
僕はソフィアと毎日一緒に学園に通いたかったけれど、そういう事情で一緒に過ごせなくなってしまった。今まで侯爵家に通わせてもらっていた時間も、明日以降は政務を任されることになってしまった。
貴女との時間を思うように取れないことは、むしろタガが外れる原因にしかならないので、僕の勝手な判断で申し訳ないのだが、学園の3年間は貴女と距離を置きたい。婚約者という立場には変わりはないが、前述の通りだから…手紙なども控えたい。お互いの誕生日も、この3年間は自粛したいと思う。一方的で申し訳ない。
気をつけて オーウェン』
読み終えて、ソフィアはまったく納得がいかず、しかし手紙すら寄越してくれるな、という言葉に従うしかなかった。いったい、この数時間で何があったというのか。
「ソフィア」
ノックの音に我に返ったソフィアが扉を開けると、父が立っていた。
「お父様」
「陛下から、今日入学した学生も含めて全学生の家に書状が届いた。王族…今年入学された二人の殿下のみならず、今後入学される王子殿下がいらした場合も、オーウェン殿下が学園を卒業する3年間は身分の区別を付けた学園生活を送るようにとのことだ。つまり、学園で、殿下の許可なく側にいることはできない。殿下たちは授業以外は王族専用のサロンで過ごされるとのことだ。それから、常に侍従を3人ずつ配置するらしい」
父が淡々と述べる内容は、あまりにも突拍子のないことでソフィアは言葉を発することができずに呆然と父を見上げた。ジェンキンス侯爵は、ソフィアの肩に手を乗せると、
「…おまえにとってはツラい3年間になるだろう」
とポツリと呟き踵を返す。言われた意味がわからず、ソフィアは父の背中を見送ることしかできずに立ち尽くした。
そして、その翌日。混乱に追い討ちをかけるように、ベンジャミンとオリザの婚約が解消されたと発表された。
『ソフィアへ
今日の出来事を踏まえて、学生ではあるが身分の区別を弁えた行動を取るようベンジャミンから陛下に申し出があり、陛下から了承を受けた。それに伴い、婚約者であってもまだ学生である男女が二人きりになることがないように、とのお達しが出た。
僕はソフィアと毎日一緒に学園に通いたかったけれど、そういう事情で一緒に過ごせなくなってしまった。今まで侯爵家に通わせてもらっていた時間も、明日以降は政務を任されることになってしまった。
貴女との時間を思うように取れないことは、むしろタガが外れる原因にしかならないので、僕の勝手な判断で申し訳ないのだが、学園の3年間は貴女と距離を置きたい。婚約者という立場には変わりはないが、前述の通りだから…手紙なども控えたい。お互いの誕生日も、この3年間は自粛したいと思う。一方的で申し訳ない。
気をつけて オーウェン』
読み終えて、ソフィアはまったく納得がいかず、しかし手紙すら寄越してくれるな、という言葉に従うしかなかった。いったい、この数時間で何があったというのか。
「ソフィア」
ノックの音に我に返ったソフィアが扉を開けると、父が立っていた。
「お父様」
「陛下から、今日入学した学生も含めて全学生の家に書状が届いた。王族…今年入学された二人の殿下のみならず、今後入学される王子殿下がいらした場合も、オーウェン殿下が学園を卒業する3年間は身分の区別を付けた学園生活を送るようにとのことだ。つまり、学園で、殿下の許可なく側にいることはできない。殿下たちは授業以外は王族専用のサロンで過ごされるとのことだ。それから、常に侍従を3人ずつ配置するらしい」
父が淡々と述べる内容は、あまりにも突拍子のないことでソフィアは言葉を発することができずに呆然と父を見上げた。ジェンキンス侯爵は、ソフィアの肩に手を乗せると、
「…おまえにとってはツラい3年間になるだろう」
とポツリと呟き踵を返す。言われた意味がわからず、ソフィアは父の背中を見送ることしかできずに立ち尽くした。
そして、その翌日。混乱に追い討ちをかけるように、ベンジャミンとオリザの婚約が解消されたと発表された。
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