【完結】あなたのことが好きでした

蜜柑マル

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「僕が初めて貴女に贈り物をした、それを覚えてる?」

厳しい瞳に見据えられ、しかしソフィアは逆に心が冷静になりコクリと頷いた。

「オーウェン様が初めて贈ってくださったのは、ピンクのガーベラです」

「その時、その花を恥じ入る僕に貴女が言ってくれた言葉は?覚えているか?」

「…はい」

オーウェンはソフィアを見据えたまま、「あの日、」と呟く。

「あの日貴女が言ってくれたから、僕は貴女への気持ちをごまかさず、貴女にしてあげたいと思うこと、自分の気持ちを大事にしようとそう思えたんだ。貴女の一言で自信を持てた。この約3年、僕は貴女のおかげで強くなれた。あのね、ソフィア。こんな言い方は乱暴かもしれないけれど、僕は王位になんてなんの執着もない。僕が大事なのは貴女なんだ、貴女なんだよ、ソフィア。僕に相応しくない、それなら僕にはどんな女性が相応しいの?僕は、貴女がいいんだよ、ソフィア。貴女がいてくれれば、僕はなんでも頑張れる。ただしそれは貴女がいてこそだ。貴女が王族に相応しくならねばと、ツラい思いをして僕から離れるなんてことになっては本末転倒なんだよ。僕を嫌いになっていないなら、僕のことをまだ好きでいてくれるなら、僕の隣にいて欲しい。…貴女自身に、貴女のことを好きでいて欲しい。貴女は僕が選んだ、最愛の女性だ。…僕の愛情だけでは、自信にならないかな。僕の言葉は、貴女に届かないだろうか。…愛している、ソフィア。まだ何も決まっていないのに、未来を嘆かないで。僕が必ず貴女を幸せにするから」

淡々と言葉を紡ぎながら、それとは裏腹に痛みを堪えるような顔をするオーウェンを見て、ソフィアは背中に腕を回し自分から抱きついた。

(…私はなぜ、逃げることばかり考えてきたのだろう。オーウェン様の揺るぎない愛情をいただきながら、自分の自信のなさを誤魔化すために相応しくないなんて言い訳をして…オーウェン様を本当に手放せるの、ソフィア?こんなにも大好きなオーウェン様を、手放していいの?)

自分の思考に没頭していたソフィアは、自分を抱き締めるオーウェンが呟いた言葉を聞き取れなかった。

「こんなこと、考えたくもないけれど…貴女の幸せのために、…万が一僕が貴女から離れなくてはならないとしても」
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