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オーウェンの兄弟は年子ばかり6人。第2王子のベンジャミンは、幼い頃から何かにつけてオーウェンに張り合い、何も言い返さないオーウェンを常に見下しバカにしていた。兄であるオーウェンは腰抜けで、年下の自分にすら怯えていると。自尊心が激しく目が曇っているベンジャミンと違い、第3王子から下の4人は、オーウェンの底知れぬ冷酷さを感じ取っており、また、実力の違いも早々にわかっていたためオーウェンの敵と見なされるような真似はしなかった。オーウェンは、ベンジャミンと違い自分から争いを仕掛けるようなことはしない。ただし、大事なものに手を出されたら完膚なきまでに相手を壊す、それを第3王子は知ってしまったから尚更だった。
第3王子のパーシヴァルは、兄のオーウェンが手中の珠と大事にするソフィア・ジェンキンス侯爵令嬢に嫉妬し、彼女を害さんと企んだ令嬢やその家が悉く秘密裏に潰されているのを知っている。なぜならば、自分の婚約者だった令嬢が、まさにその憂き目に遭ったからだ。その令嬢は、パーシヴァルの婚約者であったにも関わらず、王太子に一番近く、また、兄弟の中でもダントツに見目麗しく優雅で優しさに溢れたオーウェンに横恋慕したのだ。優しさに溢れて見えるのはソフィアを相手にしているからで、ソフィア以外の人間には興味関心の類いをまったく示さないオーウェンを、彼女は見誤った。
ソフィアには常に王家の影がついており、その令嬢の企みは形になる前に霧散させられ、体調に不安があるからという理由でパーシヴァルの婚約者を辞退させられた。その時、パーシヴァルはオーウェンに言われたのだ。
「自分の婚約者の手綱はしっかり握っておいてもらわないと困るよ、パーシヴァル。僕のソフィアのように、僕のことを第一に考え配慮し、僕のためだけに、…僕のことだけを見てくれている女性ならば構わない。しかし、王家との繋がりのためにと政略で結んだ相手ならばきちんと躾けてもらわないと…ね?」
その時のオーウェンの微笑みは、パーシヴァルに悪夢を見せるようになった。
第3王子のパーシヴァルは、兄のオーウェンが手中の珠と大事にするソフィア・ジェンキンス侯爵令嬢に嫉妬し、彼女を害さんと企んだ令嬢やその家が悉く秘密裏に潰されているのを知っている。なぜならば、自分の婚約者だった令嬢が、まさにその憂き目に遭ったからだ。その令嬢は、パーシヴァルの婚約者であったにも関わらず、王太子に一番近く、また、兄弟の中でもダントツに見目麗しく優雅で優しさに溢れたオーウェンに横恋慕したのだ。優しさに溢れて見えるのはソフィアを相手にしているからで、ソフィア以外の人間には興味関心の類いをまったく示さないオーウェンを、彼女は見誤った。
ソフィアには常に王家の影がついており、その令嬢の企みは形になる前に霧散させられ、体調に不安があるからという理由でパーシヴァルの婚約者を辞退させられた。その時、パーシヴァルはオーウェンに言われたのだ。
「自分の婚約者の手綱はしっかり握っておいてもらわないと困るよ、パーシヴァル。僕のソフィアのように、僕のことを第一に考え配慮し、僕のためだけに、…僕のことだけを見てくれている女性ならば構わない。しかし、王家との繋がりのためにと政略で結んだ相手ならばきちんと躾けてもらわないと…ね?」
その時のオーウェンの微笑みは、パーシヴァルに悪夢を見せるようになった。
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