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番外編
☆【R18】【BL要素含みます】ジェライト君⑥(アキラさん視点)
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「お帰りなさい、アキラさん。俺、寂しかった」
「…ジェライト君。朝、一緒にごはん食べたし、お昼も団長室に来て食べたでしょ。なんで寂しいの」
「だってお昼のあと、5時間もアキラさんと離れてたんだよ」
「普通です。ひゃ…っ、」
「アキラさん、いい匂い」
ジェライト君は、僕をギュッと抱き締めると、僕の耳を舐めながら下半身を押し付けてきた。もう勃ちあがってる。20歳になっても、こんなにガッツいてるもんなのかな。前世も含めてそんなことを体験したことのない僕は、朝から晩まで盛っている自分の恋人にただただ驚くばかりだ。
「アキラさん、ねぇ、寝室に行こう。ね。アキラさんを舐めながら出したいの。ね、お願い。もう、我慢できない。アキラさんを舐めたい」
「ジェライト君、朝舐めたでしょ。僕は帰ってきたばかりだし、まだお風呂にも入って、」
「アキラさんの汗のあとも舐めたいの。落としちゃダメ」
僕を抱き上げると、そのままベッドにぼくをおろし、自分は服を脱ぎ始めた。
「アキラさんは脱いじゃダメ、俺が脱がす」
全裸になったジェライト君の昂りが目に飛び込んできて、カッとカラダが熱くなる。
「アキラさん、見て、ほら。もう先走りが出てきちゃった」
盛りすぎです。毎日何回出してるの。
「今日はどこに最初に出そうかな…」
そう呟きながら、僕の匂いをスンスンし、服を脱がせていく。「あぁ、堪らない。アキラさんの匂い」
僕もあっという間に全裸にされる。若返ったとはいえ、ジェライト君の鍛えたしなやかなカラダと比べられるのはいたたまれない。いや、僕が勝手に比べてるだけなんですけど。
「ねぇ、アキラさん、今日も10回出すね」
「朝、3回出したよね。残りは7回だね」
「間違えた、今から10回」
言うが早いかジェライト君は、僕のお腹に擦り付け始めた。
「はぁ…っ、気持ちいい…っ、アキラさんの肌…!」
擦り付けながら貪るようにキスをする。「アキラさん、舌、ちょうだい。お願い。舐めたい」
舐めたい、舐めたい、とばかり言われてきた僕はだんだん舐められることに慣れてきてしまって、そして気持ちよくてジェライト君のいいなりになっている。
「はぁ、美味しい、アキラさんの舌。甘い…っ」
ジュルジュル音をたてて舌を吸い上げるジェライト君。その間も、お腹に擦り付けられ、僕は早くも息絶え絶えの状態になる。
「あ、あ…っ、出る、アキラさん…っ、一回目出る…っ」
途端に熱いものがお腹の上に広がり、モワッとジェライト君のイヤらしい匂いが届く。
「アキラさん…っ、気持ちいい、アキラさん…っ、」
「ひゃ…っ、ジェライト君…っ」
ベローッと乳首を舐めあげられ、軽く甘噛みされた僕はカラダが跳ねるのをとめられない。
「美味しい、アキラさんの乳首。何か出てる」
「出てません」
「出てるよー」
チュウチュウ吸い付くジェライト君。今度は太ももに擦り付け始めた。
「あ、アキラさぁん…っ、気持ちいいよぉ」
僕の乳首をはみはみしながら、「出る、二回目出る…っ」とまた吐精した。
「ジェライト君、一度落ち着いて、」
「アキラさんの、勃ってる!嬉しい…っ」
「ジェライト君、やめ…っ」
僕が止めるのも聞かず、ジェライト君は僕のモノをパクッと口に含んだ。ジェライト君の口の熱さにねっとりとしゃぶりあげられる。
「美味しい、アキラさん、ねぇ、出してぇ、ちょうだい、ね、ご褒美ちょうだい。飲みたいよ、ねぇ、」
「無理、ダメ…っ、ジェライト君、」
「美味しい、アキラさんの。すごい、匂いが…っ、あ、三回目出ちゃう、早く、アキラさんも出してぇ、あ、あ…っ」
「離して、ジェライト君…っ」
「…っ!!…もー、アキラさん、俺だけ出ちゃったじゃん!」
それは僕のせいではない。
「ねぇ、ジェライト君。キミ、なんでそんなにたくさん出るの。僕は出ないけど」
「アキラさんが好きだからだよ」
理屈がよくわからない。
ジェライト君は、「アキラさん、俺の子種まみれだ。エロい」とニコニコする。いや、キミが出すからでしょ。
「ジェライトくん、僕、一度お風呂に入りたい」
「そうだね、じゃ、あと7回はお風呂で」
「やめなさい」
あの後、僕はナディール様の養子として新たに戸籍を作ってもらった。名前は今まで通り、アキラ。アキラ・エイベルになった。いろいろなことに対してあまり執着はないけれど、名前だけは変えたくなかった。
ジェライト君も「アキラさんのままがいい」と喜んでいた。
僕はそのまま、団長付きの秘書官に戻ることができた。リッツさんは僕を見て泣いて喜んでくれた。死ななくて良かったって。ありがたいことだ。
ジェライト君は、「早くアキラさんと暮らしたい」とごねたが、「きちんと高校を卒業すべき」と僕とナディール様から言われて3年間真面目に通った。天才すぎるので教師陣からはまた恐れられていたらしいが、本人はどこ拭く風で首席で卒業した。その後、元々所属していた第二部隊に入り、なんと20歳で副隊長になってしまった。「団長室に入る許可証が必要だから」と理由を聞いたときには鼻を摘まんでやった。もう一緒に暮らしてるのに、なぜ職場でまで…。
僕と同じようにナディール様もジェライト君の調合したお茶を飲んだが、アルマちゃんの希望通りの20年には届かなかったらしい。「この魔力は30歳の時のものだ」と言い切っていた。さすが変態は違う。僕は魔力でわからない。
15年若くなり、でも、ほぼなんにも変わらなかった。見た目も元々若いし、色も変わらなかったから。
僕と同じように2週間目覚めなくて、アルマちゃんは毎日毎日泣きながら「ディル様」と呼び掛け、手を握り、話しかけていた。ナディール様が目を開けた瞬間、気を失ってしまったのは、よほど気持ちが張り詰めていたのだろう。気が付いてナディール様を見たアルマちゃんは、号泣して抱きついていた。
…ナディール様、ジェライト君、アルマちゃんの3人で研究した内容は、ナディール様が目覚めた後即座にすべて燃やされた。ジーク君の手によって。ジーク君は怒り狂っていた。ルヴィアさんが大切に育てている薔薇を使われたことがさらに怒りを増幅させていた。
「ジェライト。なんで俺に相談しなかった」
ここ最近、見たこともない魔王のジーク君が降臨していた。なぜか僕も臨席させられている。僕の命を軽んじたことに対して謝罪させると言われた。特に必要ないです、とは言えなかった。ジーク君が怖すぎて。ジェライト君やアルマちゃんに存在を軽んじられ、ある意味バカにされてきたジーク君と同一人物とは思えないくらいの怒りっぷりだった。
「…父上には関係ない、」
と言った途端ジェライト君は殴られた。そして、「反省しろ!」というジーク君の叫びとともに消えた。どこかに転送されてしまったらしい。僕に謝罪はどうした、とは突っ込めなかった。魔王からは炎がたちのぼっていた。
「ナディール叔父上、貴方はいいでしょう。うまくいかなくたって、自分が死ぬだけだ。ご自分の中で、もうそのように昇華してたんでしょう。だが、貴方に死なれて、アルマはどうする?アルマは、」
「お父様、お父様には関係ないことで、」
「ふざけるな!!」
久しぶりにジーク君の威圧をくらって昇天しそうになる。やはり退席するべきだった。ツラい。
「おまえも叔父上を追って死ぬつもりだったんだろう?母上の気持ちも考えず。ひとりよがりに、悲劇のヒロインぶって」
「お父様だって、自殺したでは、」
「俺は自殺したところで父も母も悲しまなかったよ。関係なかったからな、それこそ。だけど、おまえは違うだろう、アルマディン。おまえを毎日慈しんでくれた母上を、どうして思いやれない?バカ女が。死ぬなら死ね。死に腐れ。その代わり、母上とは絶縁してからだ。母上とまったく関係ない人間になってから死ね、ゴミが。二度と顔を見せるな、この世から消滅しろ。俺の大事な大事なルヴィを悲しませる存在は必要ない」
ジーク君はそう吐き捨てると、「アキラさん、行きましょう」と僕を連れ、団長室の前に飛んだ。
「…アキラさん。本当にすみませんでした」
「いいよ、もう。とりあえず、怒ってくれてありがとう、ジーク君」
「俺がルヴィを諦められなかったように、あの二人もアキラさんとナディール叔父上を諦められなかったんでしょうね」
「おまえの狂った血のせいだな、ジーク」
「リッツさん!?ひどい!」
「本当に、なんでルヴィア嬢に似なかったのか…二人ともおまえそっくりだよ。妄想、妄執。そして暗い。性格が暗い。イライラしてきたぜ。出ていけ、ジーク」
「すみません」
「リッツさん、言い過ぎだよ。仕方ないでしょ、変質者なんだから」
「アキラさんの方が言い過ぎです!」
飛ばされたジェライト君は、一週間後ズタボロになって帰ってきた。「アキラさん…」と言って泣き出すと、「一緒にお風呂に入ってください。お願いします。あ、間違えた、一緒に父上のところに謝りに行ってください。一人じゃ怖いんです」と錯乱していた。
謝りに行ってもジーク君は口もきかず目も向けず、一ヶ月後には逆ギレしたジェライト君と壮絶な親子げんかを繰り広げ、ようやく仲直りした。
アルマちゃんもナディール様と何度も足を運び、「お父様、申し訳ありませんでした。私はもう間違えません」と謝罪していた。どこかで聞いたセリフだわ、とルヴィアさんに言われてジーク君は真っ赤になっていたらしい。
そして、アルマちゃんが18歳の誕生日、ナディール様とアルマちゃんは結婚した。ずっと大事に育ててきたナディール様は、アルマちゃんを穏やかに見守れればいいと思っていたらしいが、アルマちゃんに「私にディル様のこどもをください」と言われて押しきられたらしい。ナディール様は、ほんのり嬉しそうだった。ナディール様の壊れた隙間が、アルマちゃんとこどもたちに囲まれて、いつか完全になくなるといいなと思う。
「アキラさん」
お風呂をあがり、寝具を変えたベッドに横になっていた僕を後ろから抱き締めたジェライト君は、「アキラさんの背中、包めるようになった」と呟いた。
「え?」
「5歳のときは、しがみついてただけだったから」
「あぁ、あの時ね」
「アキラさん、ずっと一緒にいてね。大好き。嬉しい。アキラさんを抱っこして眠れるなんて」
背中から感じる温かさに、僕の心も温かくなる。誰もいなくても寂しくなかったはずだけど。この温かさを教えてくれたジェライト君を大切にしたい。微睡みながら、そう願った。
【了】
「…ジェライト君。朝、一緒にごはん食べたし、お昼も団長室に来て食べたでしょ。なんで寂しいの」
「だってお昼のあと、5時間もアキラさんと離れてたんだよ」
「普通です。ひゃ…っ、」
「アキラさん、いい匂い」
ジェライト君は、僕をギュッと抱き締めると、僕の耳を舐めながら下半身を押し付けてきた。もう勃ちあがってる。20歳になっても、こんなにガッツいてるもんなのかな。前世も含めてそんなことを体験したことのない僕は、朝から晩まで盛っている自分の恋人にただただ驚くばかりだ。
「アキラさん、ねぇ、寝室に行こう。ね。アキラさんを舐めながら出したいの。ね、お願い。もう、我慢できない。アキラさんを舐めたい」
「ジェライト君、朝舐めたでしょ。僕は帰ってきたばかりだし、まだお風呂にも入って、」
「アキラさんの汗のあとも舐めたいの。落としちゃダメ」
僕を抱き上げると、そのままベッドにぼくをおろし、自分は服を脱ぎ始めた。
「アキラさんは脱いじゃダメ、俺が脱がす」
全裸になったジェライト君の昂りが目に飛び込んできて、カッとカラダが熱くなる。
「アキラさん、見て、ほら。もう先走りが出てきちゃった」
盛りすぎです。毎日何回出してるの。
「今日はどこに最初に出そうかな…」
そう呟きながら、僕の匂いをスンスンし、服を脱がせていく。「あぁ、堪らない。アキラさんの匂い」
僕もあっという間に全裸にされる。若返ったとはいえ、ジェライト君の鍛えたしなやかなカラダと比べられるのはいたたまれない。いや、僕が勝手に比べてるだけなんですけど。
「ねぇ、アキラさん、今日も10回出すね」
「朝、3回出したよね。残りは7回だね」
「間違えた、今から10回」
言うが早いかジェライト君は、僕のお腹に擦り付け始めた。
「はぁ…っ、気持ちいい…っ、アキラさんの肌…!」
擦り付けながら貪るようにキスをする。「アキラさん、舌、ちょうだい。お願い。舐めたい」
舐めたい、舐めたい、とばかり言われてきた僕はだんだん舐められることに慣れてきてしまって、そして気持ちよくてジェライト君のいいなりになっている。
「はぁ、美味しい、アキラさんの舌。甘い…っ」
ジュルジュル音をたてて舌を吸い上げるジェライト君。その間も、お腹に擦り付けられ、僕は早くも息絶え絶えの状態になる。
「あ、あ…っ、出る、アキラさん…っ、一回目出る…っ」
途端に熱いものがお腹の上に広がり、モワッとジェライト君のイヤらしい匂いが届く。
「アキラさん…っ、気持ちいい、アキラさん…っ、」
「ひゃ…っ、ジェライト君…っ」
ベローッと乳首を舐めあげられ、軽く甘噛みされた僕はカラダが跳ねるのをとめられない。
「美味しい、アキラさんの乳首。何か出てる」
「出てません」
「出てるよー」
チュウチュウ吸い付くジェライト君。今度は太ももに擦り付け始めた。
「あ、アキラさぁん…っ、気持ちいいよぉ」
僕の乳首をはみはみしながら、「出る、二回目出る…っ」とまた吐精した。
「ジェライト君、一度落ち着いて、」
「アキラさんの、勃ってる!嬉しい…っ」
「ジェライト君、やめ…っ」
僕が止めるのも聞かず、ジェライト君は僕のモノをパクッと口に含んだ。ジェライト君の口の熱さにねっとりとしゃぶりあげられる。
「美味しい、アキラさん、ねぇ、出してぇ、ちょうだい、ね、ご褒美ちょうだい。飲みたいよ、ねぇ、」
「無理、ダメ…っ、ジェライト君、」
「美味しい、アキラさんの。すごい、匂いが…っ、あ、三回目出ちゃう、早く、アキラさんも出してぇ、あ、あ…っ」
「離して、ジェライト君…っ」
「…っ!!…もー、アキラさん、俺だけ出ちゃったじゃん!」
それは僕のせいではない。
「ねぇ、ジェライト君。キミ、なんでそんなにたくさん出るの。僕は出ないけど」
「アキラさんが好きだからだよ」
理屈がよくわからない。
ジェライト君は、「アキラさん、俺の子種まみれだ。エロい」とニコニコする。いや、キミが出すからでしょ。
「ジェライトくん、僕、一度お風呂に入りたい」
「そうだね、じゃ、あと7回はお風呂で」
「やめなさい」
あの後、僕はナディール様の養子として新たに戸籍を作ってもらった。名前は今まで通り、アキラ。アキラ・エイベルになった。いろいろなことに対してあまり執着はないけれど、名前だけは変えたくなかった。
ジェライト君も「アキラさんのままがいい」と喜んでいた。
僕はそのまま、団長付きの秘書官に戻ることができた。リッツさんは僕を見て泣いて喜んでくれた。死ななくて良かったって。ありがたいことだ。
ジェライト君は、「早くアキラさんと暮らしたい」とごねたが、「きちんと高校を卒業すべき」と僕とナディール様から言われて3年間真面目に通った。天才すぎるので教師陣からはまた恐れられていたらしいが、本人はどこ拭く風で首席で卒業した。その後、元々所属していた第二部隊に入り、なんと20歳で副隊長になってしまった。「団長室に入る許可証が必要だから」と理由を聞いたときには鼻を摘まんでやった。もう一緒に暮らしてるのに、なぜ職場でまで…。
僕と同じようにナディール様もジェライト君の調合したお茶を飲んだが、アルマちゃんの希望通りの20年には届かなかったらしい。「この魔力は30歳の時のものだ」と言い切っていた。さすが変態は違う。僕は魔力でわからない。
15年若くなり、でも、ほぼなんにも変わらなかった。見た目も元々若いし、色も変わらなかったから。
僕と同じように2週間目覚めなくて、アルマちゃんは毎日毎日泣きながら「ディル様」と呼び掛け、手を握り、話しかけていた。ナディール様が目を開けた瞬間、気を失ってしまったのは、よほど気持ちが張り詰めていたのだろう。気が付いてナディール様を見たアルマちゃんは、号泣して抱きついていた。
…ナディール様、ジェライト君、アルマちゃんの3人で研究した内容は、ナディール様が目覚めた後即座にすべて燃やされた。ジーク君の手によって。ジーク君は怒り狂っていた。ルヴィアさんが大切に育てている薔薇を使われたことがさらに怒りを増幅させていた。
「ジェライト。なんで俺に相談しなかった」
ここ最近、見たこともない魔王のジーク君が降臨していた。なぜか僕も臨席させられている。僕の命を軽んじたことに対して謝罪させると言われた。特に必要ないです、とは言えなかった。ジーク君が怖すぎて。ジェライト君やアルマちゃんに存在を軽んじられ、ある意味バカにされてきたジーク君と同一人物とは思えないくらいの怒りっぷりだった。
「…父上には関係ない、」
と言った途端ジェライト君は殴られた。そして、「反省しろ!」というジーク君の叫びとともに消えた。どこかに転送されてしまったらしい。僕に謝罪はどうした、とは突っ込めなかった。魔王からは炎がたちのぼっていた。
「ナディール叔父上、貴方はいいでしょう。うまくいかなくたって、自分が死ぬだけだ。ご自分の中で、もうそのように昇華してたんでしょう。だが、貴方に死なれて、アルマはどうする?アルマは、」
「お父様、お父様には関係ないことで、」
「ふざけるな!!」
久しぶりにジーク君の威圧をくらって昇天しそうになる。やはり退席するべきだった。ツラい。
「おまえも叔父上を追って死ぬつもりだったんだろう?母上の気持ちも考えず。ひとりよがりに、悲劇のヒロインぶって」
「お父様だって、自殺したでは、」
「俺は自殺したところで父も母も悲しまなかったよ。関係なかったからな、それこそ。だけど、おまえは違うだろう、アルマディン。おまえを毎日慈しんでくれた母上を、どうして思いやれない?バカ女が。死ぬなら死ね。死に腐れ。その代わり、母上とは絶縁してからだ。母上とまったく関係ない人間になってから死ね、ゴミが。二度と顔を見せるな、この世から消滅しろ。俺の大事な大事なルヴィを悲しませる存在は必要ない」
ジーク君はそう吐き捨てると、「アキラさん、行きましょう」と僕を連れ、団長室の前に飛んだ。
「…アキラさん。本当にすみませんでした」
「いいよ、もう。とりあえず、怒ってくれてありがとう、ジーク君」
「俺がルヴィを諦められなかったように、あの二人もアキラさんとナディール叔父上を諦められなかったんでしょうね」
「おまえの狂った血のせいだな、ジーク」
「リッツさん!?ひどい!」
「本当に、なんでルヴィア嬢に似なかったのか…二人ともおまえそっくりだよ。妄想、妄執。そして暗い。性格が暗い。イライラしてきたぜ。出ていけ、ジーク」
「すみません」
「リッツさん、言い過ぎだよ。仕方ないでしょ、変質者なんだから」
「アキラさんの方が言い過ぎです!」
飛ばされたジェライト君は、一週間後ズタボロになって帰ってきた。「アキラさん…」と言って泣き出すと、「一緒にお風呂に入ってください。お願いします。あ、間違えた、一緒に父上のところに謝りに行ってください。一人じゃ怖いんです」と錯乱していた。
謝りに行ってもジーク君は口もきかず目も向けず、一ヶ月後には逆ギレしたジェライト君と壮絶な親子げんかを繰り広げ、ようやく仲直りした。
アルマちゃんもナディール様と何度も足を運び、「お父様、申し訳ありませんでした。私はもう間違えません」と謝罪していた。どこかで聞いたセリフだわ、とルヴィアさんに言われてジーク君は真っ赤になっていたらしい。
そして、アルマちゃんが18歳の誕生日、ナディール様とアルマちゃんは結婚した。ずっと大事に育ててきたナディール様は、アルマちゃんを穏やかに見守れればいいと思っていたらしいが、アルマちゃんに「私にディル様のこどもをください」と言われて押しきられたらしい。ナディール様は、ほんのり嬉しそうだった。ナディール様の壊れた隙間が、アルマちゃんとこどもたちに囲まれて、いつか完全になくなるといいなと思う。
「アキラさん」
お風呂をあがり、寝具を変えたベッドに横になっていた僕を後ろから抱き締めたジェライト君は、「アキラさんの背中、包めるようになった」と呟いた。
「え?」
「5歳のときは、しがみついてただけだったから」
「あぁ、あの時ね」
「アキラさん、ずっと一緒にいてね。大好き。嬉しい。アキラさんを抱っこして眠れるなんて」
背中から感じる温かさに、僕の心も温かくなる。誰もいなくても寂しくなかったはずだけど。この温かさを教えてくれたジェライト君を大切にしたい。微睡みながら、そう願った。
【了】
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