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第ニ章
動き出す、二度目の人生③
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私とお父様がようやく落ち着いてふとお母様を見ると、お母様はマーサに淹れてもらってお茶を飲んでいた。
「気は済んだかい、ふたりとも」
シラケた目で私たちを見たお母様は、「じゃあ、カーディナルに行こうか」と言って椅子から立ち上がった。
「まず、ヴィーを連れて飛ぶ。荷物もそれなりだから、マーサは後からでいいかい」
「もちろんです、奥様」
「じゃあヴィーも、自分で持てるものは持って」
「はい、お母様」
私はマーサが持ってきてくれた自分のカバンを持つ。洋服だけだが、なかなかの重量だ。
「ヴィー、お母様と手を繋いで…しっかりと」
お母様の左手をギュッと握ると、お母様も握り返してくれる。
「ヴィー、き、気を付けて!
お父様のこと忘れないでね!」
「…アホすぎて笑えてくるな。
では、とりあえず行くぞ」
「お父様、行って参ります!」
大好きです、と言った私の声が届いたかどうか…視界が変わる直前に見えたお父様の顔は泣き笑いで歪んでいた。
一瞬にして視界が変わる。
「シーラ!待ってたわ!」
ガバッとお母様を抱き締めた女性は、そのまま顔だけ私の方に向けた。
「…まぁ、まぁまぁまぁ~!
なんってかわいいのぉ!!」
素早くしゃがみこんで私の目線に合わせると、
「初めまして!私が、あなたのおばあ様よ!
ヴィーちゃん、って呼んでもいい…?」
「もちろんです、初めまして、おばあ様。
ルヴィア・オルスタインです。
今日からお世話になります。お招きいただき、ありがとうございます」
まぁー!とおばあ様は叫ぶと「シーラの子どもとは思えないくらい礼儀正しいわ!こんなに小さいのに、すごい!」
「いや、母上、それなんだが…」
「シーラ、私がヴィーちゃんを責任持って預かりますから、あなたは戻って荷物を持ってきなさい」
「妊婦なのに扱いがひどいな!?」
お母様の苦情には耳を貸さず、おばあ様は私を見てニコニコしている。
「ヴィーちゃん、私のこと、もう一度おばあ様って呼んでみて?」
「おばあ様…?」
おばあ様は「ハウン!」と声をあげ、私を抱き締めた。
「あのアホのせいで、こんなにかわいい孫と疎遠にさせられて…。
ほんと、どうしてくれようかしら」
「母上、ちょっと落ち着いて」
「あら?シーラ、まだいたの?
早く行ってきなさいよ」
シッシッと追い払うように手を振るおばあ様に、お母様はため息をつくと、「じゃあ、ヴィー、すぐ戻るから」と言ってスゥッと消えた。
「すごい…」
思わず呟いた私に、おばあ様は「ヴィーちゃんも、すぐにできるようになるわよ!」と言った。
「そうでしょうか…?」
「そうよ!なんと言っても、このおばあ様が付いていますからね!」
フフフ、と笑うと、「あら、ごめんなさいね、荷物を持たせたままで。おばあ様に貸してごらんなさい?」と言って、私の手から荷物を取った。
「さあ、我が家にようこそ!
ヴィーちゃん、ずーっとカーディナルにいていいからね!なんなら、シーラだけ帰してもいいわ。
ヴィーちゃんを養子にして、うちを継いでもらってもいいし…」
歩き始めるおばあ様からなんとも不穏な言葉が漏れる。今日会ったばかりなのに、そんな、家を預けるようなこと…と焦っていると、
「母上、話が飛び過ぎです」
「…もう帰って来ちゃったの?
まだヴィーちゃんをぜんぜん堪能できてないわ!」
渡さないわよ!と言って私を抱き締めるおばあ様。
「とりません。それ以上に、ヴィーは今日からしばらくいるんですから…。こんな時間に来たのが悪いのは承知ですが、今日のところはヴィーを寝かせてもらえませんか?」
湯浴みは済んでます、と言ったあとに、「母上、こちらは我が家の侍女のマーサです。ヴィーの専属侍女なので、一緒にきてもらいました」
「大奥様、お初にお目にかかります、」
「堅苦しい挨拶はなしなし!マーサ、今日からよろしくね!」
ニコニコして言うおばあ様は、「でも、今夜はヴィーちゃんは渡さないわよ!専属の侍女でも!今日は私がヴィーちゃんと寝ます!」と高らかに宣言した。
「そうしてもらうと助かるよ、母上。
マーサには荷物の整理をある程度頼みたいから…。
昔の私の部屋を使ってもいいんだよね?」
「ええ。マーサは、我が家の侍女たちと同じ…と言っても、そんなにいないんだけど。
一応、使用人たちの棟で寝起きしてもらうようになるわ。後で紹介するわね」
「ありがとうございます、大奥様」
「じゃ、ヴィーちゃん、行きましょう!
良い子は寝る時間よ!
おばあ様のベッドで一緒に寝ましょうね!
あー、嬉しい!シーラ、ありがとう!」
後でね、とお母様に言うと、持っていた私の荷物を「じゃあ、これはマーサ、お願いするわね?」と言って私をヒョイっとだきあげた。
「ヴィーちゃん、軽いわねぇ。
明日からたくさん美味しいもの準備するからね!」
ニコニコするおばあ様に、「あの…」と声をかける。
「なあに?ヴィーちゃん」
「おじい様にも、ご挨拶を…」
するとおばあ様の笑顔が消え失せ、表情がなくなった。落差に驚いていると、
「あら、ごめんなさいね、私としたことが。ヴィーちゃんの前でこんな顔…」
ニコッとするが、目が笑っていない。
「…あのアホがいると、なんにも話が進まないし。
ヴィーちゃんに会わせたくないし。
会う権利ないし!」
だんだん声が大きくなるおばあ様。歩く速度もどんどんあがる。
思わずおばあ様にしがみつくと、「あら、ごめんなさいねぇ。ダメねぇ、私ったら」と言って、おばあ様は私の頭を撫でた。
「ヴィーちゃんのおじい様にはね、王都に行ってもらったの。邪魔だから」
そう、邪魔、邪魔、ほんとに邪魔だから!邪魔しかしないから!と何度も邪魔、という言葉を繰り返す。
「王都、ですか?」
私はそこは触れないように決めて質問した。
「そう。あちらに、シーラの兄がいてね。ヘンドリックスというんだけど、王城の騎士団に所属しているの。
なかなか帰ってこれないから、たまには、息子と酒でも飲んでこいって」
「お酒を…」
「というのは、建前よ、もちろん。
あのアホは『王都にはこちらにはない酒が流通してるらしいからな、楽しみだ!』なんていかれポンチ…あら、失礼。そんなこと言って、喜んで飛んで行ったのよ、今日の夕方に」
おばあ様は笑みを深める。
「家にいられると、メンドクサイでしょ?
シーラと顔を合わせるのもそれこそ8年ぶりとかだし…お腹に赤ちゃんがいるから、あんまりストレスかけたくないのよ、シーラにも。
私が間に入って、できれば産まれるまでこちらには帰ってこないで、って言うつもり」
「え、でも、こちらでのお仕事は…」
「大丈夫よ、あいつは闘うことしか能がないから!それだけ強いからこそ、この辺境を任されているわけだけど。
実務の方は私が取り仕切ってるし、部隊もしっかりしてるから、万が一なにかがあってもまず敵に負けたりはしないわよ」
我が家の部隊は強いのよ~、とおばあ様は言った。
「それと、ついでに、シーラとヴィーちゃんが帰ってきてることを女王陛下に奏上させるわ」
「女王陛下に、ですか?」
思いがけないおばあ様の言葉にドキンとする。
「ええ。シーラから聞いているかどうかわからないけれど、カーディナル魔法国の王族は、自国内に新しい魔力保持者が来ると感知できるのよ。
だからたぶん、もう女王陛下には我が家にふたつ、新しい魔力があるのが知られていると思う」
「…すごい力をお持ちなんですね」
「今の女王陛下は、黒髪赤目だから余計に魔力が強いのよね。…シーラは突出して強い魔力ではないけれど、ヴィーちゃんは結構強いのよねぇ。
私としては嬉しい限りだけれど、どんなふうにとられるかはわからないでしょ?何しろ、王都から離れた場所だから。
いきなり謀反とか、そんなことは勘ぐられないとは思うけど…痛くない腹を探られるのもあまりいい気持ちはしないし、明日早々にお目通りを願わせるつもりよ」
そう言うとおばあ様は、「あら、いけない。ジョージ?いる?」
「はい、奥様」
スッと目の前に男性が現れてビックリする。え、今、どこから…?
「驚かせてしまいましたね、申し訳ありません、お嬢様」
男性は手を胸にあてて頭を下げる。無駄な動きがない、洗練されたお辞儀だった。
「ヴィーちゃん、彼はジョージよ。
ジョージは、我が家の執事なの。部隊を取り仕切る隊長も兼ねてるの」
とっても強いのよ、と私にウインクするおばあ様に「まだまだ精進いたします」とお辞儀をしたまま答えるジョージさん。
「ジョージ、今からヘンドリックスの家に飛んでくれる?シーラたちが帰ってきたから。
かわいいヴィーちゃんの紹介はまた明日ね!
もう、おやすみの時間だから!」
「かしこまりました」
「先ほど言った通り、ロバートに伝えてちょうだい」
「旦那様が深酒になる前に…では、御前失礼いたします」
そう言うとジョージさんもお母様のようにスゥッと消えた。
「フフフ、ヴィーちゃん、目が真ん丸になってるわよ。
興奮しちゃうと、眠れなくなっちゃう…おばあ様は、お話できるから嬉しいけど」
「…今日、お母様の魔法も初めて見たので…なんだか信じられません」
「今日から…まぁ、明日からね。
カーディナルを知って、好きになって欲しい。たくさん、いろんなことを経験していきましょうね。
おばあ様、本当に嬉しいのよ。来てくれてありがとう、ヴィーちゃん」
「おばあ様…私こそ、ありがとうございます」
じゃ、まずは寝ましょう、と言っておばあ様は笑った。
「気は済んだかい、ふたりとも」
シラケた目で私たちを見たお母様は、「じゃあ、カーディナルに行こうか」と言って椅子から立ち上がった。
「まず、ヴィーを連れて飛ぶ。荷物もそれなりだから、マーサは後からでいいかい」
「もちろんです、奥様」
「じゃあヴィーも、自分で持てるものは持って」
「はい、お母様」
私はマーサが持ってきてくれた自分のカバンを持つ。洋服だけだが、なかなかの重量だ。
「ヴィー、お母様と手を繋いで…しっかりと」
お母様の左手をギュッと握ると、お母様も握り返してくれる。
「ヴィー、き、気を付けて!
お父様のこと忘れないでね!」
「…アホすぎて笑えてくるな。
では、とりあえず行くぞ」
「お父様、行って参ります!」
大好きです、と言った私の声が届いたかどうか…視界が変わる直前に見えたお父様の顔は泣き笑いで歪んでいた。
一瞬にして視界が変わる。
「シーラ!待ってたわ!」
ガバッとお母様を抱き締めた女性は、そのまま顔だけ私の方に向けた。
「…まぁ、まぁまぁまぁ~!
なんってかわいいのぉ!!」
素早くしゃがみこんで私の目線に合わせると、
「初めまして!私が、あなたのおばあ様よ!
ヴィーちゃん、って呼んでもいい…?」
「もちろんです、初めまして、おばあ様。
ルヴィア・オルスタインです。
今日からお世話になります。お招きいただき、ありがとうございます」
まぁー!とおばあ様は叫ぶと「シーラの子どもとは思えないくらい礼儀正しいわ!こんなに小さいのに、すごい!」
「いや、母上、それなんだが…」
「シーラ、私がヴィーちゃんを責任持って預かりますから、あなたは戻って荷物を持ってきなさい」
「妊婦なのに扱いがひどいな!?」
お母様の苦情には耳を貸さず、おばあ様は私を見てニコニコしている。
「ヴィーちゃん、私のこと、もう一度おばあ様って呼んでみて?」
「おばあ様…?」
おばあ様は「ハウン!」と声をあげ、私を抱き締めた。
「あのアホのせいで、こんなにかわいい孫と疎遠にさせられて…。
ほんと、どうしてくれようかしら」
「母上、ちょっと落ち着いて」
「あら?シーラ、まだいたの?
早く行ってきなさいよ」
シッシッと追い払うように手を振るおばあ様に、お母様はため息をつくと、「じゃあ、ヴィー、すぐ戻るから」と言ってスゥッと消えた。
「すごい…」
思わず呟いた私に、おばあ様は「ヴィーちゃんも、すぐにできるようになるわよ!」と言った。
「そうでしょうか…?」
「そうよ!なんと言っても、このおばあ様が付いていますからね!」
フフフ、と笑うと、「あら、ごめんなさいね、荷物を持たせたままで。おばあ様に貸してごらんなさい?」と言って、私の手から荷物を取った。
「さあ、我が家にようこそ!
ヴィーちゃん、ずーっとカーディナルにいていいからね!なんなら、シーラだけ帰してもいいわ。
ヴィーちゃんを養子にして、うちを継いでもらってもいいし…」
歩き始めるおばあ様からなんとも不穏な言葉が漏れる。今日会ったばかりなのに、そんな、家を預けるようなこと…と焦っていると、
「母上、話が飛び過ぎです」
「…もう帰って来ちゃったの?
まだヴィーちゃんをぜんぜん堪能できてないわ!」
渡さないわよ!と言って私を抱き締めるおばあ様。
「とりません。それ以上に、ヴィーは今日からしばらくいるんですから…。こんな時間に来たのが悪いのは承知ですが、今日のところはヴィーを寝かせてもらえませんか?」
湯浴みは済んでます、と言ったあとに、「母上、こちらは我が家の侍女のマーサです。ヴィーの専属侍女なので、一緒にきてもらいました」
「大奥様、お初にお目にかかります、」
「堅苦しい挨拶はなしなし!マーサ、今日からよろしくね!」
ニコニコして言うおばあ様は、「でも、今夜はヴィーちゃんは渡さないわよ!専属の侍女でも!今日は私がヴィーちゃんと寝ます!」と高らかに宣言した。
「そうしてもらうと助かるよ、母上。
マーサには荷物の整理をある程度頼みたいから…。
昔の私の部屋を使ってもいいんだよね?」
「ええ。マーサは、我が家の侍女たちと同じ…と言っても、そんなにいないんだけど。
一応、使用人たちの棟で寝起きしてもらうようになるわ。後で紹介するわね」
「ありがとうございます、大奥様」
「じゃ、ヴィーちゃん、行きましょう!
良い子は寝る時間よ!
おばあ様のベッドで一緒に寝ましょうね!
あー、嬉しい!シーラ、ありがとう!」
後でね、とお母様に言うと、持っていた私の荷物を「じゃあ、これはマーサ、お願いするわね?」と言って私をヒョイっとだきあげた。
「ヴィーちゃん、軽いわねぇ。
明日からたくさん美味しいもの準備するからね!」
ニコニコするおばあ様に、「あの…」と声をかける。
「なあに?ヴィーちゃん」
「おじい様にも、ご挨拶を…」
するとおばあ様の笑顔が消え失せ、表情がなくなった。落差に驚いていると、
「あら、ごめんなさいね、私としたことが。ヴィーちゃんの前でこんな顔…」
ニコッとするが、目が笑っていない。
「…あのアホがいると、なんにも話が進まないし。
ヴィーちゃんに会わせたくないし。
会う権利ないし!」
だんだん声が大きくなるおばあ様。歩く速度もどんどんあがる。
思わずおばあ様にしがみつくと、「あら、ごめんなさいねぇ。ダメねぇ、私ったら」と言って、おばあ様は私の頭を撫でた。
「ヴィーちゃんのおじい様にはね、王都に行ってもらったの。邪魔だから」
そう、邪魔、邪魔、ほんとに邪魔だから!邪魔しかしないから!と何度も邪魔、という言葉を繰り返す。
「王都、ですか?」
私はそこは触れないように決めて質問した。
「そう。あちらに、シーラの兄がいてね。ヘンドリックスというんだけど、王城の騎士団に所属しているの。
なかなか帰ってこれないから、たまには、息子と酒でも飲んでこいって」
「お酒を…」
「というのは、建前よ、もちろん。
あのアホは『王都にはこちらにはない酒が流通してるらしいからな、楽しみだ!』なんていかれポンチ…あら、失礼。そんなこと言って、喜んで飛んで行ったのよ、今日の夕方に」
おばあ様は笑みを深める。
「家にいられると、メンドクサイでしょ?
シーラと顔を合わせるのもそれこそ8年ぶりとかだし…お腹に赤ちゃんがいるから、あんまりストレスかけたくないのよ、シーラにも。
私が間に入って、できれば産まれるまでこちらには帰ってこないで、って言うつもり」
「え、でも、こちらでのお仕事は…」
「大丈夫よ、あいつは闘うことしか能がないから!それだけ強いからこそ、この辺境を任されているわけだけど。
実務の方は私が取り仕切ってるし、部隊もしっかりしてるから、万が一なにかがあってもまず敵に負けたりはしないわよ」
我が家の部隊は強いのよ~、とおばあ様は言った。
「それと、ついでに、シーラとヴィーちゃんが帰ってきてることを女王陛下に奏上させるわ」
「女王陛下に、ですか?」
思いがけないおばあ様の言葉にドキンとする。
「ええ。シーラから聞いているかどうかわからないけれど、カーディナル魔法国の王族は、自国内に新しい魔力保持者が来ると感知できるのよ。
だからたぶん、もう女王陛下には我が家にふたつ、新しい魔力があるのが知られていると思う」
「…すごい力をお持ちなんですね」
「今の女王陛下は、黒髪赤目だから余計に魔力が強いのよね。…シーラは突出して強い魔力ではないけれど、ヴィーちゃんは結構強いのよねぇ。
私としては嬉しい限りだけれど、どんなふうにとられるかはわからないでしょ?何しろ、王都から離れた場所だから。
いきなり謀反とか、そんなことは勘ぐられないとは思うけど…痛くない腹を探られるのもあまりいい気持ちはしないし、明日早々にお目通りを願わせるつもりよ」
そう言うとおばあ様は、「あら、いけない。ジョージ?いる?」
「はい、奥様」
スッと目の前に男性が現れてビックリする。え、今、どこから…?
「驚かせてしまいましたね、申し訳ありません、お嬢様」
男性は手を胸にあてて頭を下げる。無駄な動きがない、洗練されたお辞儀だった。
「ヴィーちゃん、彼はジョージよ。
ジョージは、我が家の執事なの。部隊を取り仕切る隊長も兼ねてるの」
とっても強いのよ、と私にウインクするおばあ様に「まだまだ精進いたします」とお辞儀をしたまま答えるジョージさん。
「ジョージ、今からヘンドリックスの家に飛んでくれる?シーラたちが帰ってきたから。
かわいいヴィーちゃんの紹介はまた明日ね!
もう、おやすみの時間だから!」
「かしこまりました」
「先ほど言った通り、ロバートに伝えてちょうだい」
「旦那様が深酒になる前に…では、御前失礼いたします」
そう言うとジョージさんもお母様のようにスゥッと消えた。
「フフフ、ヴィーちゃん、目が真ん丸になってるわよ。
興奮しちゃうと、眠れなくなっちゃう…おばあ様は、お話できるから嬉しいけど」
「…今日、お母様の魔法も初めて見たので…なんだか信じられません」
「今日から…まぁ、明日からね。
カーディナルを知って、好きになって欲しい。たくさん、いろんなことを経験していきましょうね。
おばあ様、本当に嬉しいのよ。来てくれてありがとう、ヴィーちゃん」
「おばあ様…私こそ、ありがとうございます」
じゃ、まずは寝ましょう、と言っておばあ様は笑った。
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