お飾り王太子妃になりました~三年後に離縁だそうです

蜜柑マル

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番外編~結婚生活編

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「あの、織部さん、さっきあの下着を出したのは織部さんだって聞いたので、お願いがあるんですけど」

「うん?」

くそー、こんな恥ずかしい目に遭わされるなんて…どうやって悪魔に仕返ししてやろうか…!

「…あの下着みたいな、その、夜の営みをより楽しめる…のかわかりませんけど、そういう下着を出させて欲しいんです。ギデオンさんが、見本として欲しいらしくて。カタログとかも」

「カタログ?」

女性の下着を取り扱っている通販会社ではカタログも出していたはず。そういうのがあれば…。あとは、

「あとは、その、…アダルト雑誌とか…」

あの時…蘇芳さんの不能解消&エッチの勉強のために確かにマンガとか出したのは私だけど、あれはジャポン皇国のためになった…はず。でも今回のは、ただの悪魔の性癖を満たすためなのに…貴重な機械をそんなことに使ったりして怒られないのかとビクビクしながら聞いたのだが、

「仕事のための資料だろ。ギデオンさんの趣味が何割か入ってるとは言え、友好国のためになるんだから遠慮する必要ないよ」

「ありがとうございます」

ホッとして織部さんを見ると、「蘇芳兄上は、あくまでもギデオンさんの趣味で使う、としか思ってねえんだよな…。実物も見てねえし…」とブツブツ呟いていた。

「ソ、ソフィア様、あの、」

ディーン王子に声をかけられ視線を移すと、

「ぼ、僕たちも、その、参考資料を、見せていただいてもいいでしょうか」

とまた真っ赤な顔になっていた。

「もちろんです。ええと…ギデオンさんは、あまりにも妄想が激しすぎて、たぶん求めるエロさが強すぎると思うんです。慣れてる人はいいだろうけど、あんな…あんな恥ずかしい下着をいきなり着てくれ、って言われたら私みたいに戸惑う女性もたくさんいるだろうし、逆に女性がよかれと思って選んだのに、童貞の男性にしてみたら刺激が強くて勃たなかったりすぐにイッてしまったりして、」

「ソフィア様、いま、かなり恥ずかしいことを仰ってます。僕たちには刺激的すぎます」

「…すみません。とにかく、ギデオンさんみたいな上級者視点だけじゃなくて、初心者視点も必要なんじゃないかと思って…おふたりの意見をいただけるのはありがたいと思うし、ぜひともギデオンさんに忌憚ない意見を伝えてやってください」

双子王子は真っ赤な顔のまま何度も頷いていた。今までこんなに長い時間を過ごしたこともなく、突っ込んだ話もしてこなかったので、ふたりの反応はとても新鮮だった。

そんな思いで双子王子を見ていると、

「あのさ、ソフィアさん」

「はい?」

「今回の、ソルマーレ国の新規事業、うちも…朱雀州も、噛ませてもらえねえかな」

噛ませて…?

「佐々木がいる特別区、あれ、玄武州だけにしか作れないことになってるだろ。あれは元々佐々木の欲求から始まったのに、蘇芳兄上は独り占めしたんだよ。今回のやらしい下着作成販売、ソルマーレ国との輸出入に関しては朱雀州で独占したい」

やらしい下着って…。

でもまあ確かに織部さんのいうことも最もだ。ビジネスチャンスは、掴んだもの勝ちだろうし、今回の悪魔の発案もあくまであの紫色の下着という実物があったからこそ生まれたものだろうし。見本を出してくれたのは織部さんだし。出産祝いにもなるかな。

「わかりました、大丈夫だと思います」

「じゃあ、城に着いたら早速俺は陛下に承認もらうから。ありがとな、ソフィアさん。ギデオンさんにも、手紙送るから」

「よろしくお願いします」

私も悪魔に手紙を書かないといけないな。そうだ、そういえば、

「織部さん、浴衣屋さんてありますか?」

「浴衣?もちろんあるよ。今ちょうど最盛期だからな。最近は、着付けの技術がなくても簡単に着れる浴衣もあるし、着付けしてくれる専門店なんかもあるよ」

「ギデオンさんの妹さんたちに、ジャポン皇国らしいモノを送ってあげたくて…浴衣とか、可愛いかなって思ったんですよね」

織部さんはニヤリとすると、

「もちろんギデオンさんにも贈るんだろ?」

「いや…え?」

悪魔のことはまったく考えていなかった。アリスちゃんとオリヴィアちゃんに何がいいか悩んでいたから。

「いやー…ギデオンさんには、いいですかね、送らなくても」

私の言葉を聞いた織部さんは「ふーん」と呟いた後、

「じゃあとりあえず、浴衣は明日行こうか。せっかくだし、朱雀州の案内もさせてくれよ」

「わかりました、お願いします」

頭を下げた私を見て、織部さんがまたニヤリとしたことには気づけなかった。
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