お飾り王太子妃になりました~三年後に離縁だそうです

蜜柑マル

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番外編

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勝手に入籍した悪魔は、あんなに「孕ませる」と言っていたのにその後ぱったり中に出さなくなった。

「フィーと結婚式を挙げたいので…子どもはその後にします。あと、まだ、フィーのおっぱいを独り占めしたいので」

どちらのウエイトが高い決断なのか不明だが、結婚式を楽しみにするあたりがさすが乙女思考だな、と感心してしまう。菜緒子の時は結婚式なんてしなかったし、と言うと

「では、正真正銘、わたくしがフィーの初めての男ですね!」

と大喜びしていた。悪魔の言っていることがまったく理解できない。どういうことについて初めてなのか?

「ギデオンさん、結婚式って言っても、そんなに大掛かりにやりたくないよ。織部さんたちみたいに、本当にお祝いしてくれる人だけ招待して式を挙げたい」

「そうですね。国を挙げて、なんてことにすると父上がそれに乗っかって『ついでに譲位する!今日からこいつが国王だ!』なんて貴族の皆さんの前で宣言しちゃうかもしれませんし。そんなことになったらたまったものではありませんからね。ソフィア様のご両親と、わたくしの家族と、アネットさんあたりで」

「そういえばギデオンさん、私、ギデオンさんの妹さんたちにまだ会ったことないんだけど」

私の言葉を聞いた悪魔はフイッと目を逸らした。

「…なに?」

「…フィーをとられるから会わせたくありません」

…この悪魔は何を言っているのか。

「あのさ、ギデオンさん」

「だって!ディーン、ゼインともわたくしがいるのに仲良くお喋りしたり文通してたりしていたではありませんか!わたくしは、フィーがジャポン皇国にいる間、半年もフィーの何かを感じることができなかったのに、あのふたりにはフィーが書いた手紙が…フィーの指紋とか、匂いとか、もちろん文字とか、フィーを構成するありとあらゆるものが集約されて送られてきていたのですよ!フィーはわたくしのものなのに…!」

悪魔の顔が凶悪に変わるが、それよりも今の発言にドン引きする。指紋?匂い…?

「ギデオンさん、手紙にそんなこと求める人いないでしょ、」

「わたくしは求めます。だから手紙を書いたのに、握り潰されていましたし…なんにも、なんにも、フィーを感じるものがなくて、ベッドもそのままにしておきたかったのにアネットさんにいつの間にかシーツを洗濯されてしまって…フィーの下着も」

下着!?

「ギデオンさん、下着って、まさか私がいない間にタンスを開けたの!?」

悪魔は「あ、」と声を上げると「いいことを思い出しました」とニッコリした。いや、今の話終わってないでしょ!

「実は、蘇芳さんにお願いして、マンガに載っているような下着を送ってもらったのです。『言われた通りに出しちゃうもん』で出してもらいました。フィーは肌が白いので、もちろん白は、その、ふふ、清楚な感じがもう堪らないんですが、ちょっと艶かしい感じで紫とかどうかと思いまして…今、持ってきますね」

悪魔はいそいそと出ていくが、ジャポン皇国の機械をそんなことに使うなんて何考えて…!悪魔が指定した時点でまさか悪魔が着用するとは誰も思わないだろうし、必然的に私が着てるってみんなにわかっちゃうじゃん…!

「フィー、これです。可愛いでしょう」

と悪魔が持ってきた下着は、まったく可愛いなんて言葉が合わない代物だった。まず生地が明らかにシースルーで肌が丸見えであることは間違いないし、形状はベビードールと言うのかもしれないが、お腹のあたりで左右に分かれてるし、セットの…パンツ、あえてパンツと言いたい、それはオープンクロッチのTバックだった。

「ギデオンさん!?」

悪魔は嬉しそうにニコニコすると、

「フィーと性交する時はすべて脱いでしてましたけど、そういえばマンガでこういう下着を着けたまましている場面があったな、と。なんだかイヤらしさが倍増する感じで滾ります。わたくしも、上半身は脱ぎますけど、下は『ジーンズ』なるものを履いたまましてみようかと。興奮しますね、フィー」

…ムッツリな人に、妄想を掻き立てるようなものを与えてはならないのだとこの時初めて理解した。こんなに爽やかイケメンなのに、

「というわけでフィー、さっそくこれを着けてみてください。わたくしも、あちらで準備してきますから」

「ギデオンさん、まだお昼だから!」

「わたくしとフィーは新婚の夫婦なのですから、朝から晩まで、それこそ寝ないで性交して構わないのです。時間など関係ありません」

そんなわけない!仕事してる人が、いくら新婚だからってサボってエッチしたりするわけない!それに、こんな難易度の高い下着…恥ずかしくて着れない…。

「ギ、ギデオンさん、無理、私、」

「あ、お風呂に入ってからのほうがいいですか?この下着だと、そうですね…わたくしが剃ってあげますね」

「なにを!?」

「可愛い、フィー。真っ赤になっちゃって…そんなにわたくしを煽ってどうするつもりですか?」

ジリジリ近づいてくる悪魔から涙目で逃げる。

「結婚式の話をしようよ、ギデオンさん!まだ何にも決まってないでしょ!」

「大丈夫です、いつでもいいです、伽藍さんも藤乃さんもご出産は今年の秋頃でしょう、産んですぐにご出席いただくわけにもいかないでしょうし、なんならそうですね、暖かくなってからのほうがいいでしょうか?来年の今頃で十分です、わたくしもそれまではフィーのおっぱいを思う存分堪能します。フィーがおっぱいだけで達することができるようになるよう頑張りますからね、さあ、今から頑張りますよ」

「頑張らない!ねえ、まずギデオンさん、妹さんたちに会わせてよ!順番かなり間違ってるよ、もし私を認めない、お兄様を返して!なんて言われたらどうするの!?」

「お兄様はあと二人いるから大丈夫です。さ、フィー、浴室に行きますよ。…どうしたんです?足が震えてますよ。ああ、今からのことに期待しすぎて濡れてきちゃいましたか?可愛い。可愛いフィーは、わたくしが抱っこして連れて行ってあげますね。…はあ、可愛い…」

「やだ、やだ、ギデオンさん、…ん、は、はなし、んんーっ!!」

悪魔は私を抱き上げると口を塞ぐように口づけてきた。もうっ!蘇芳さんめ、絶対に文句言ってやるっ!

「あ、フィー、ほんとに濡れてますよ。ほら、音、聞こえますか?可愛らしい音が」

「や、やめ、やめて、ギデオンさん、あっ…!やぁ…」

「ふふ、可愛い。浴室に行く前に一度挿れていいですか?いいですよね、フィー、もう、すぐに挿入りそうです…ほら」

「あ、あぁ…っ!ギデオンさん…っ」

素早く昂りを取り出した悪魔は容赦なく私の中に埋め、ゆさゆさ揺さぶり始めた。

「ギ、ギデオンさん、やだ、このカッコ、やだぁ」

「もー、フィーは素直じゃないですね。こんなに気持ち良さそうなくせに。わたくしの支えているお尻の方までヌルヌルですよ、フィーの中から溢れてくるイヤらしい液体で。自分ではわからないフィーのために、わたくしの指で掬って見せてあげますね」

悪魔の指が私の足の間に入ってきて、敏感な場所をクリクリと撫で上げる。

「あ、」

「気持ちいいですか、フィー。すごい、…締まりました…っ。可愛い、可愛い、フィー、可愛いっ」

悪魔はテロテロに濡れた指を私に見せつけるように自分の口に入れた。目がギラギラして、このまま食べられてしまいそうな錯覚に陥る。

「あー…フィーの匂い…堪らない…」

恍惚とした表情になった悪魔は、そのまま私を床にそっと横たえ、また揺さぶる。ほんの1ヶ月前まで経験がなかったくせに、なんでこんなにあちこち手際がいいのか…!私のほうが経験値高いはずなのに。知識もあるはずなのに。おかしい。

「ギデオンさん、も、や、」

「フィーがじょうずにイケたら一度やめます。あ、思いがけず着衣エッチになりましたね、フィー。ふふ、可愛い、フィー」

唇を重ねたまま腰をガツガツ打ち付けられ、カラダの中に何かがせりあがってくる。

「ん…っ!ん、んんーっ!」

ビクビクカラダを震わせる私を満足そうに見ると、悪魔は私を抱き上げた。

「さ、お風呂に入りましょう。たくさん汗をかいてしまいましたね、わたくしがキレイに洗ってあげますね、フィーは力が入りませんから…ああ、可愛い、わたくしのフィー。上がったら、先ほどの下着を着けてくださいね、わたくしも準備してから行きますから、ベッドで待っていてくださいね。わたくしはまだイってませんから、続きをしましょう」

「ギデオンさん、お風呂で出したほうがいいんじゃないかな…っ、私、手伝うし…っ」

「ああ、お風呂でもしたいんですか?フィーから誘ってくれるなんて感激です。のぼせないように、お水を飲みながらしましょうね。まず一度してから、フィーのカラダを洗って、ショリショリしましょう」

イケメンのくせに、それ以前に王子のくせに、なんてことを…こんなキレイな顔で、卑猥な言葉ばっかり口にするのは神への冒涜だと思わないのか!?

「ギデオンさん、しなくていいから!」

「照れ屋さんのフィーも可愛いですよ」

…いつになったら悪魔に話が通じるようになるのだろうか。



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