お飾り王太子妃になりました~三年後に離縁だそうです

蜜柑マル

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まさかのリアルBL

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食事後、またもや悪魔に抱き上げられて準備してもらった部屋に向かうと、反対側から宰相様が…スティーブさんもいる…!うわーい、久しぶりぃ!萌える!

「ギデオンさん、降ろして!」

悪魔はちょっと不服そうながらも降ろしてくれた。そのままふたりに駆け寄る。

「宰相様!」

「ソフィア様、お帰りになったと聞いて…腕は大丈夫ですか?大変でしたね。ご無事で良かったです。ジャポン皇国はいかがでしたか?そして…ずいぶんおキレイになられましたね、なあ、スティーブ。そう思わないか?」

「はい。大変おキレイに」

「…スティーブ先輩。あまり見ないでください、わたくしのフィーを」

悪魔よ…職場の先輩にまで圧をかけるのはやめるべきだと思わないのか。

スティーブさんは苦笑いすると、

「あの、ソフィア様。ギデオン…から、お聞きになりましたか?その、」

「あ、はい。ええと、」

「もしよろしければ、明日お伺いしてもいいですか?ご相談をしたく、」

すると宰相様が「…相談?」と呟き、スティーブさんを振り返った。

「スティーブ、ご相談とはなんだ?なぜソフィア様に?」

「あ、あの、閣下、」

宰相様はスッと眉をしかめると、「私には言えないことなんだろう。構わない、言う必要はない。なんなら、今ご相談しなさい」と言って、足早に去ってしまった。残されたスティーブさんは茫然と立ち尽くしていたが、ハッ、と我に返ると「申し訳ありません、明日、昼休みに伺います!」と言って慌てて宰相様を追いかけて行った。

今の…感じ…え…?

ぼんやりしていると、「フィー、行きますよ」とまた悪魔に抱き上げられる。

「ねえギデオンさん、スティーブさんが私に相談したいことって、」

「わたくしはお聞きしてないので…それよりフィー、い、いまから、あ、あの、」

突然悪魔がモジモジし始める。

「なに?どうしたの?」

顔を真っ赤に染めた悪魔は、

「フィ、フィー、は、その、腕を、折られていますよね、だから、その、…お風呂に!一緒に入りませんか!あ、え、と、そのっ!へ、変な意味ではなくて、」

「ギデオンさん、お願いしてもいいの?ギデオンさんが入ってくれるなら助かるけど」

正直、髪の毛をうまく洗える自信がないから、悪魔の申し出はとてもありがたかったのだが、

「…え?…え?…本当に、いいんですか?」

「いい、って言うか、髪の毛、洗ってもらえたりする?ダメなら自分で、」

「もちろん洗います!わたくしが、すべてキレイに洗ってさしあげます!」

悪魔は真っ赤な顔のまま、真っ直ぐ前を向いて早足で歩き出した。…大丈夫かな。

部屋に着くと、「湯船に、お湯を張ってきます」と悪魔は私をソファに降ろした。まだ顔が赤い。

なかなか戻ってこないので見に行くと、お湯がトポトポ貯まっていく浴槽をじーっと見つめて立ち尽くしている。

「ギデオンさん?」

「わ、…っ、フィー、どうしました?」

「どうしましたはこっちのセリフだよ。無理ならひとりで入るから大丈夫だよ。具合悪いみたいだし」

悪魔は「ちっ、違います!どこも悪くありません!」と叫び、私をチラチラ見始めた。

「…どうしたの?」

「いや、あの、…本当に、一緒に入っていいんですか?」

「うん。だって、ギデオンさん、私とセックスするつもりなんだよね?裸、見られてもぜんぜん構わないし。むしろ、そうやって慣れたほうがいいんじゃないかな、って思うんだけど。私も、男性の裸なんてずーっと見てないし、できればリハビリみたいな感じでギデオンさんのカラダ見せて欲しいんだけど」

悪魔はまた真っ赤になると、「そ、そうですか」と俯いた。

「フィー、…わたくしを好きじゃないのに、性交してもいいんですか」

「うーん…。確かに、好きになってするべきなのかもしれないけど…私、ギデオンさんを好きではないけど、嫌いでもないし、皇太子とは絶対無理だけど、ギデオンさんとならエッチしてもいいと思うから。無理矢理だけはしないでね、ソフィアのカラダは処女だし、たぶん痛いだろうから。ある程度は我慢できるけど、無理矢理突っ込むのだけはやめて」

「当たり前です!…フィー、大事にします。愛しています」

愛してる、なんて…吊り橋効果なのに。いつか、ギデオンさんが本当に愛せる人が見つかるといいのにな、と思って、なんとなく胸がツキリと痛んだ。
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