70 / 161
この先の道は
15
しおりを挟む
「ギデオンさん、約束の内容を教えてもらわないと、いいも悪いも、」
「断らないなら、教えます」
また…私には選択肢ないじゃん。
ただ、今の話を聞いて、今のところ私しか人間に見えず、しかも自慰行為が虚しい、と言われてしまえば、だいたい内容は予想がついた。
「…私と、エッチしたいってこと?」
悪魔はまた真っ赤な顔になると、ブンブンと首を縦に振り、…そのあと小さな声で「…ダメですか」と呟いた。
なんというか…。ソフィア本人だったらマズイんだろうけど、私は3年後、離縁したらソルマーレ国からは出る予定だし、別に処女じゃなくても構わないって人がいるかもしれないし。そもそも、結婚するかどうかもわからないし。ギデオンさんが、私以外の女性をもし選ぶことになったとしても、今は私しかいないんだから、人命救助みたいなものだと考えればいいのかなぁ。したいのにできない、って…8年、セックスレスだった私には痛いほどよくわかる。
「ギデオンさんがいいなら、いいよ」
「わたくしがいいなら、って、わたくしはフィーが好きなんですよ!お願いしているのはわたくしです!」
私しか人間に見えないんだから、好きだと思うしかないだろう。吊り橋効果、じゃないけど、すりかえられてしまったのだ。ギデオンさんに言ったところで頑なに認めないだろうから言わないけど。
私は、そっと悪魔の手を握った。今までの悪魔の寂しさを思うと、なんとなく鼻の奥がツンとなる。筆下ろしかぁ…あ、ソフィアも処女だった。
そんなことを考えていたら、悪魔がギュッと抱きついてきた。
「痩せたら性欲が出ると言っていたから、痩せたフィーを見て心臓が止まるかと思いました。もう恋人ができていたりしたらどうしようかと。でも、出てないと言ってくれたので良かったです。あの、フィー、」
「なに?」
「フィーは、その、腕を折られてしまってますし、すぐに性交は難しいと思うのですが、あの、…負担がかからなければ、触ったり、舐めたりするのはいいですか」
真剣な顔だが話している内容はかなりぶっ飛んでいる。エロい方向に。舐める?
「…舐めたいの?」
「舐めたいです。まずは、フィーのおっぱいを舐めたいです」
キレイな顔でキリッとしながら、「おっぱいを舐めたい」とか言うのなんとかならないのかな。まあ、でもいいか。あんな鬼畜にやられるのはイヤだったけど、少なくとも悪魔とは一緒に寝てきた仲間みたいなもんだし。ソフィアも許してくれるだろう、…たぶん。
「…ダメですか」
しょんぼりしながら言うのはズルいと思うんだけどなぁ…。
「ええと、ギデオンさん」
「やっぱりイヤになったんですか」
「ううん、そうじゃなくて。あのね。今は私しか人間に見えないわけだよね。でも、もし今後、人間に見える人が出てきたら、その時は私に遠慮したりせず、新しい恋をしてみると約束してくれないかな」
悪魔はとたんにギュッと眉をしかめると、イヤそうな顔になった。
「そんなにしてまで、わたくしのことがイヤなんですか。よくわかりました」
…なぜそうなる?
「ギデオンさん、そうじゃなくて、」
悪魔はプイッと横を向き、むくれた顔になった。…めんどくせぇ男だなぁ…。前からわかってたことだけど。まあ、恋人になるわけじゃないからな。
自分でそうしたくせに、私が黙っていると、窺うようにチラチラこちらを見ている。ここは中身が40歳の私が折れるしかないか。
「ギデオンさん、キスしてもいい?」
「え?」
ビックリしたような顔でこちらを見た悪魔にチュッとする。唇を離すと、とたんに噛みつくように口づけられた。
ハムハムと唇を食むようにしながら、舌で舐める悪魔の手が、私の胸に伸びてきて、ホニャリと触れる。自分で触れたくせに、悪魔のカラダがビクッとなった。
「フ、フィー、こ、こんな、や…柔らかいの、触って、大丈夫なのですか、壊したら、」
「ギデオンさん、おっぱいは強く握っても壊れないよ。痛いからあんまり強いのはヤダけど、心配しなくても大丈夫だから」
悪魔の手に自分の手を重ねてギュッと押し付けるようにしたら、「フィー!」と叫んで押し倒してきた。前世で、童貞の人としたことがないから、どうしたらいいのかわからない。とりあえず悪魔がしたいようにしてもらうしかないかな。
上から私を見下ろす悪魔の顔は、ほんのりと赤く染まりなんだか色っぽかった。
「フィー、フィーのおっぱい、柔らかいです。もっと、触りたい、あの、舐めてもいいですか」
悪魔はたどたどしい手つきで私のブラウスのボタンを外し、そっとはだけると、「う…っ」と呻いて股関を押さえた。
「…ギデオンさん?」
「フィー…。すみません、我慢が…あの、ソルマーレ国に帰ってから、また、させてくださいっ」
ガバッと起き上がり、ドアに追突しそうな勢いで「く…っ」とまた呻きながら出て行った。大丈夫だろうか。
なんだか突拍子もないことを約束してしまったが、寂しい気持ちで生きてきた悪魔が少しでも寂しくなくなるなら、それもいいような気がした。
「断らないなら、教えます」
また…私には選択肢ないじゃん。
ただ、今の話を聞いて、今のところ私しか人間に見えず、しかも自慰行為が虚しい、と言われてしまえば、だいたい内容は予想がついた。
「…私と、エッチしたいってこと?」
悪魔はまた真っ赤な顔になると、ブンブンと首を縦に振り、…そのあと小さな声で「…ダメですか」と呟いた。
なんというか…。ソフィア本人だったらマズイんだろうけど、私は3年後、離縁したらソルマーレ国からは出る予定だし、別に処女じゃなくても構わないって人がいるかもしれないし。そもそも、結婚するかどうかもわからないし。ギデオンさんが、私以外の女性をもし選ぶことになったとしても、今は私しかいないんだから、人命救助みたいなものだと考えればいいのかなぁ。したいのにできない、って…8年、セックスレスだった私には痛いほどよくわかる。
「ギデオンさんがいいなら、いいよ」
「わたくしがいいなら、って、わたくしはフィーが好きなんですよ!お願いしているのはわたくしです!」
私しか人間に見えないんだから、好きだと思うしかないだろう。吊り橋効果、じゃないけど、すりかえられてしまったのだ。ギデオンさんに言ったところで頑なに認めないだろうから言わないけど。
私は、そっと悪魔の手を握った。今までの悪魔の寂しさを思うと、なんとなく鼻の奥がツンとなる。筆下ろしかぁ…あ、ソフィアも処女だった。
そんなことを考えていたら、悪魔がギュッと抱きついてきた。
「痩せたら性欲が出ると言っていたから、痩せたフィーを見て心臓が止まるかと思いました。もう恋人ができていたりしたらどうしようかと。でも、出てないと言ってくれたので良かったです。あの、フィー、」
「なに?」
「フィーは、その、腕を折られてしまってますし、すぐに性交は難しいと思うのですが、あの、…負担がかからなければ、触ったり、舐めたりするのはいいですか」
真剣な顔だが話している内容はかなりぶっ飛んでいる。エロい方向に。舐める?
「…舐めたいの?」
「舐めたいです。まずは、フィーのおっぱいを舐めたいです」
キレイな顔でキリッとしながら、「おっぱいを舐めたい」とか言うのなんとかならないのかな。まあ、でもいいか。あんな鬼畜にやられるのはイヤだったけど、少なくとも悪魔とは一緒に寝てきた仲間みたいなもんだし。ソフィアも許してくれるだろう、…たぶん。
「…ダメですか」
しょんぼりしながら言うのはズルいと思うんだけどなぁ…。
「ええと、ギデオンさん」
「やっぱりイヤになったんですか」
「ううん、そうじゃなくて。あのね。今は私しか人間に見えないわけだよね。でも、もし今後、人間に見える人が出てきたら、その時は私に遠慮したりせず、新しい恋をしてみると約束してくれないかな」
悪魔はとたんにギュッと眉をしかめると、イヤそうな顔になった。
「そんなにしてまで、わたくしのことがイヤなんですか。よくわかりました」
…なぜそうなる?
「ギデオンさん、そうじゃなくて、」
悪魔はプイッと横を向き、むくれた顔になった。…めんどくせぇ男だなぁ…。前からわかってたことだけど。まあ、恋人になるわけじゃないからな。
自分でそうしたくせに、私が黙っていると、窺うようにチラチラこちらを見ている。ここは中身が40歳の私が折れるしかないか。
「ギデオンさん、キスしてもいい?」
「え?」
ビックリしたような顔でこちらを見た悪魔にチュッとする。唇を離すと、とたんに噛みつくように口づけられた。
ハムハムと唇を食むようにしながら、舌で舐める悪魔の手が、私の胸に伸びてきて、ホニャリと触れる。自分で触れたくせに、悪魔のカラダがビクッとなった。
「フ、フィー、こ、こんな、や…柔らかいの、触って、大丈夫なのですか、壊したら、」
「ギデオンさん、おっぱいは強く握っても壊れないよ。痛いからあんまり強いのはヤダけど、心配しなくても大丈夫だから」
悪魔の手に自分の手を重ねてギュッと押し付けるようにしたら、「フィー!」と叫んで押し倒してきた。前世で、童貞の人としたことがないから、どうしたらいいのかわからない。とりあえず悪魔がしたいようにしてもらうしかないかな。
上から私を見下ろす悪魔の顔は、ほんのりと赤く染まりなんだか色っぽかった。
「フィー、フィーのおっぱい、柔らかいです。もっと、触りたい、あの、舐めてもいいですか」
悪魔はたどたどしい手つきで私のブラウスのボタンを外し、そっとはだけると、「う…っ」と呻いて股関を押さえた。
「…ギデオンさん?」
「フィー…。すみません、我慢が…あの、ソルマーレ国に帰ってから、また、させてくださいっ」
ガバッと起き上がり、ドアに追突しそうな勢いで「く…っ」とまた呻きながら出て行った。大丈夫だろうか。
なんだか突拍子もないことを約束してしまったが、寂しい気持ちで生きてきた悪魔が少しでも寂しくなくなるなら、それもいいような気がした。
41
お気に入りに追加
5,689
あなたにおすすめの小説

初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)

《完結》愛する人と結婚するだけが愛じゃない
ぜらいす黒糖
恋愛
オリビアはジェームズとこのまま結婚するだろうと思っていた。
ある日、可愛がっていた後輩のマリアから「先輩と別れて下さい」とオリビアは言われた。
ジェームズに確かめようと部屋に行くと、そこにはジェームズとマリアがベッドで抱き合っていた。
ショックのあまり部屋を飛び出したオリビアだったが、気がつくと走る馬車の前を歩いていた。
旦那様は大変忙しいお方なのです
あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。
しかし、その当人が結婚式に現れません。
侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」
呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。
相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。
我慢の限界が――来ました。
そちらがその気ならこちらにも考えがあります。
さあ。腕が鳴りますよ!
※視点がころころ変わります。
※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる