お飾り王太子妃になりました~三年後に離縁だそうです

蜜柑マル

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拗らせすぎる知事予定の夫妻たち(三男除く)

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「あの、自慰行為とかしないんですか?」

「じ、自慰行為、ですか」

「ええ、自分でしごいたり、」

「ソフィアさん、ちょっと、待ってください!撫子に刺激が強すぎる…」

と言われて撫子さんを見ると、真っ赤な顔で

「ご、ごめんなさい、蘇芳様、私は自慰行為してます…」

とか細い声で言った。

「え!?」

そんな驚くことかな。

「それが普通だと思いますよ。撫子さんは、男性の自慰行為は知ってますか?」

「はい、あの…兄がよく、裸の女性が載っている本をベッドの下に隠してて…たぶん、そういうことに使ってるんだろうと…私も漫画でセックスについて読んだこと、あります…」

…普通に存在してるんじゃん、漫画も雑誌も。蘇芳さんは呆然とした顔だ。

「…蘇芳様は、たぶん、ご興味がなかったのですよね。手軽に買いに行ける立場でもありませんし」

撫子さんの言葉になんとなく納得する。

「あの、蘇芳さん」

「は、はい」

「勃起しないのはいつからですか?」

「え、え、と、…いつだろう?もうずいぶん昔から…朝起きると、下着が汚れていることはありますが、たぶんずいぶん前、です」

「撫子さんを抱きたいと言ったけど、その前に…一年あったわけですけど、撫子さんと裸で過ごしたことあります?」

ふたり揃って真っ赤な顔でブンブンと否定する…これ、勃起以前の問題じゃない?

「あの、さっき撫子さんは自慰行為するって言いましたよね。蘇芳さんに触りたいっては思わないんですか?」

「いえ、あの、…蘇芳様は、そういう、…すみません、私が抱いてるようなイヤらしい気持ちはないのかと思って、それなら、変に触らせていただいても、なんか、自分が虚しくなるかな、って…」

「イヤらしい、って、撫子、」

撫子さんはじっと蘇芳さんを見ると、そっと手を繋いだ。

「私は、蘇芳様とセックスしたい、それはそうですけど、…挿入がすべてではないし、裸で触れあうだけでも良かったんです…その、蘇芳様に、触って欲しかった…、お風呂も、一緒に入ったこと、ないですし…」

「ご、ごめん、撫子、でも…僕ひとりで窮屈なくらいだから、一緒に入れない…。それに、お風呂は裸で入るし…あの、ソフィアさん」

「なんですか?」

「裸になったら、絶対に挿入しなくてはならないわけではないのですか」

「…は?」

「いや、ですから、裸に」

「聞こえました!聞こえましたから、繰り返さないでください!…え?」

裸になったら、絶対に挿入?

「なんで、そんなふうに思ったんですか」

蘇芳さんはまた真っ赤な顔になると、

「裸になる、つまり、相手を抱く、挿入する、ってことですよね…?」

「あの、蘇芳さん、まさかですけど、裸になったら、すぐに自分のモノを撫子さんに挿入しようとしてたんですか?」

今度は蘇芳さんがキョトンとした顔になった。

「え、…違うんですか?」

「違います!蘇芳さんの勃起以前に、撫子さんが濡れないと挿入できませんよ!」

「濡れる…?え、何が濡れるんですか」

「蘇芳さん。さっき言ってた機械のところに私を連れて行ってください」

「え…?」

「早く!」

追いたてるように蘇芳さんを連れてドアから出る。百聞は一見に如かず、漫画が存在するとは言うけど便利な機械があるんだからそこからいろいろ出してやる!

まったく、その腐れババアの歪んだ欲望のために若い世代が大変なことに…!まさか他の兄弟も似たり寄ったりだなんて言わないよね、性に対する知識が…!

先ほど陛下に挨拶した5階にその機械はあった。冷蔵庫のような形で、扉にモニターが付いている。

「ソフィアさん、これが、」

「名前はいいです。どうやって出すんですか」

私の剣幕に怯えたように蘇芳さんは「モニターに電源を入れますね…?」と小さい声で言った。

ブオン、と音がしてモニターが明るくなる。

「この前で、欲しいものを言ってください」

「この扉から、出せる大きさということですね」

コクリ、と頷く蘇芳さんを尻目に、モニターに向かう。

「ティーンズラブの漫画を5冊、なるべく内容が甘いやつ、そのうち1冊はS気味な彼氏の漫画をお願いします」

ゴトリ、と音がして扉が開く。おお、漫画が入ってる。

「…何回くらい続けてできますか?」

「たぶん、制限はないと思いますが…」

「ちなみに蘇芳さん、ビデオデッキってありますか?」

またキョトンとした顔をされたので意志疎通は諦めることにする。

「アダルトビデオとそれを観ることができるモノを一式お願いします。アダルトビデオは、激しすぎない…ドラマ仕立ての、ストーリーがある程度あるものでラブラブでエッチする内容のものにしてください」

またゴトリと音がして扉が開いた。これ…DVDプレーヤーだ、ポータブルの。

「さ、蘇芳さん、戻りましょう」

「は、はい…?」

出してもらったモノを大事に持ってまた部屋に戻る。ドアを開けると、撫子さんがホッとした顔で立ち上がった。
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