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王宮に呼ばれました
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私がギデオンさんに好き勝手されてるのを面白そうに見ていた国王は、
「なんか質問あるか?」
「…質問したいことがわかりません。思い付くことすらできません」
主にギデオンさんのせいで!まだ腕の中から解放してくれない!
「ギデオンさん、離して!」
「イヤです。まだ癒されきっていません」
なんでソフィアのカラダに…まさかデブ専なの!?
私とギデオンさんを面白そうに眺めている陛下に殺意を覚える。こいつがギデオンさんを私の近衛なんかにするから…!
「陛下!ギデオンさんを連れて帰って…ギャーッ!やめて!ギデオンさん、やめて!痛い!痛いってば!」
私の腹肉を容赦なく掴むギデオンさんは、「何回言えばわかるんですか?もう覆らないんですよ。妃殿下が、わたくしがいいと仰ったんですから」とニヤリとする。悪魔め…!!
「じゃ、明日調印式やるからな。服はなんでもいいから、11時までに王宮に来い。アネットはこっちで待機しててくれ。ギデオンが一緒に来い。そのあと、おまえに付ける家庭教師を紹介する。昼飯一緒に食おうぜ」
「…明日!?」
「明日だ。なんか予定あんのか?ねぇだろ?俺、おまえ、王太子、側妃、王太子のいうミューズとかいう女…ライラ・ボールドウィンと、親父のボールドウィン伯爵でやる。わかったな」
急激すぎる展開に茫然とする私に、
「豚の世界では速いかもしれねぇが、人間の世界では普通だ」
…いちいち貶めるのやめて欲しい。事実だとしても、やめて欲しい。
「いいか?明日、ギデオンと来いよ」
選択肢ないじゃん…。
「…わかりました」
ギデオンさん、いい加減離してくれないかな。もうライフがない。
「妃殿下」
「なんですか…離してくれませんか…」
「イヤです。妃殿下は、躾が必要な駄豚なのでこれからフィーと呼んでいいですか?」
…は?
「だって王太子と離縁なさるんでしょ?今は妃殿下でも、実際は名目だけなんですから。いいですよね?」
…あのさ。ドSの「いいですよね?」は、「決まりだから」と同意ですよね。逆らう余地あんの?ダメ元で逆らってやる。
「…イヤで、いったぁ!?やめて、ギデオンさん痛い!やめて!」
「いいですよね?」
「いい!いいです!フィーでも豚でもバカでもなんでもいいです!」
顎をグイッと持ち上げられる。目の前には悪魔の顔…。
「では、フィーと呼びます」
ニヤリとする悪魔…。
「いい加減離してください!」
「イヤです。わたくしを傷付けた責任を果たしてください」
しつこい!執念深い!なんなの…マンガの中のドSすらキライになってしまいそうよ、この人のせいで!…そうだ、
「陛下!」
「なんだ?」
「王太子のミューズが、なぜその女性だとわかったのですか?昨夜の今朝で特定出来たんですか?」
「俺は国王だぞ。駄豚と一緒にするな」
…もう帰れ。
胸に抱き込まれたままなので陛下を見ることもままならない。
「俺は今から戻って明日の準備をする。アネット、各人につなぎをとってくれ」
「かしこまりました。ご一緒いたします」
パタン、という音とともにシン、と静寂に包まれる。
「フィー」
ちょっと!耳元で話すのやめて!
「なんですか!もういいでしょ、離してください!」
「今夜から一緒に寝ましょう。ベッドも広いし、問題ないですよね」
…は?
「フィーを抱き枕にして寝ます。熟睡できそうです」
「なんで!イヤです!私は熟睡できない!」
だいたい、昨日会ったばっかりで、一応私、女だよ!?一緒に寝る、って、どういう思考回路なの!?理解できない!おかしい!距離感がおかしい!だいたい、イケメンなんだから引く手あまたでしょ!キレイなお姉ちゃんと寝ろよ!
「できますよ。あれ?わたくしを男だと意識してしまうからですか?フィーは見かけによらずイヤらしいのですね。淑女がそんな妄想、」
「わかりました、一緒に寝ます!寝ればいいんでしょ、寝れば!」
誰がそんな意識なんかするか!ドS悪魔め!
私の返事を聞いて、ようやく悪魔は腕の中から解放してくれた。
「フィー」
「…なんですか」
「気持ちいいんですけど、少し痩せましょう」
「痩せますよ!ギデオンさんに言われなくても痩せてみせますよ!痩せたら抱き枕から解放されますよね、抱き心地が違うんだから!」
ニコリ、としたギデオンさんは返事をしなかった。なんなの。国王といいギデオンさんといい、相手には返答…しかも、自分が望む返答が来るまでしつこくしつこくしつこく聞いてくるくせに!ずるい!…でも、ドSに勝つ秘策がない…くっそー…。
「具体的に減量のために、何をするか決めているのですか?」
「歩きます」
まずは歩くことから始めるしかない。…また一からダイエットやりなおしかぁ…。悲しくなる。
「なんか質問あるか?」
「…質問したいことがわかりません。思い付くことすらできません」
主にギデオンさんのせいで!まだ腕の中から解放してくれない!
「ギデオンさん、離して!」
「イヤです。まだ癒されきっていません」
なんでソフィアのカラダに…まさかデブ専なの!?
私とギデオンさんを面白そうに眺めている陛下に殺意を覚える。こいつがギデオンさんを私の近衛なんかにするから…!
「陛下!ギデオンさんを連れて帰って…ギャーッ!やめて!ギデオンさん、やめて!痛い!痛いってば!」
私の腹肉を容赦なく掴むギデオンさんは、「何回言えばわかるんですか?もう覆らないんですよ。妃殿下が、わたくしがいいと仰ったんですから」とニヤリとする。悪魔め…!!
「じゃ、明日調印式やるからな。服はなんでもいいから、11時までに王宮に来い。アネットはこっちで待機しててくれ。ギデオンが一緒に来い。そのあと、おまえに付ける家庭教師を紹介する。昼飯一緒に食おうぜ」
「…明日!?」
「明日だ。なんか予定あんのか?ねぇだろ?俺、おまえ、王太子、側妃、王太子のいうミューズとかいう女…ライラ・ボールドウィンと、親父のボールドウィン伯爵でやる。わかったな」
急激すぎる展開に茫然とする私に、
「豚の世界では速いかもしれねぇが、人間の世界では普通だ」
…いちいち貶めるのやめて欲しい。事実だとしても、やめて欲しい。
「いいか?明日、ギデオンと来いよ」
選択肢ないじゃん…。
「…わかりました」
ギデオンさん、いい加減離してくれないかな。もうライフがない。
「妃殿下」
「なんですか…離してくれませんか…」
「イヤです。妃殿下は、躾が必要な駄豚なのでこれからフィーと呼んでいいですか?」
…は?
「だって王太子と離縁なさるんでしょ?今は妃殿下でも、実際は名目だけなんですから。いいですよね?」
…あのさ。ドSの「いいですよね?」は、「決まりだから」と同意ですよね。逆らう余地あんの?ダメ元で逆らってやる。
「…イヤで、いったぁ!?やめて、ギデオンさん痛い!やめて!」
「いいですよね?」
「いい!いいです!フィーでも豚でもバカでもなんでもいいです!」
顎をグイッと持ち上げられる。目の前には悪魔の顔…。
「では、フィーと呼びます」
ニヤリとする悪魔…。
「いい加減離してください!」
「イヤです。わたくしを傷付けた責任を果たしてください」
しつこい!執念深い!なんなの…マンガの中のドSすらキライになってしまいそうよ、この人のせいで!…そうだ、
「陛下!」
「なんだ?」
「王太子のミューズが、なぜその女性だとわかったのですか?昨夜の今朝で特定出来たんですか?」
「俺は国王だぞ。駄豚と一緒にするな」
…もう帰れ。
胸に抱き込まれたままなので陛下を見ることもままならない。
「俺は今から戻って明日の準備をする。アネット、各人につなぎをとってくれ」
「かしこまりました。ご一緒いたします」
パタン、という音とともにシン、と静寂に包まれる。
「フィー」
ちょっと!耳元で話すのやめて!
「なんですか!もういいでしょ、離してください!」
「今夜から一緒に寝ましょう。ベッドも広いし、問題ないですよね」
…は?
「フィーを抱き枕にして寝ます。熟睡できそうです」
「なんで!イヤです!私は熟睡できない!」
だいたい、昨日会ったばっかりで、一応私、女だよ!?一緒に寝る、って、どういう思考回路なの!?理解できない!おかしい!距離感がおかしい!だいたい、イケメンなんだから引く手あまたでしょ!キレイなお姉ちゃんと寝ろよ!
「できますよ。あれ?わたくしを男だと意識してしまうからですか?フィーは見かけによらずイヤらしいのですね。淑女がそんな妄想、」
「わかりました、一緒に寝ます!寝ればいいんでしょ、寝れば!」
誰がそんな意識なんかするか!ドS悪魔め!
私の返事を聞いて、ようやく悪魔は腕の中から解放してくれた。
「フィー」
「…なんですか」
「気持ちいいんですけど、少し痩せましょう」
「痩せますよ!ギデオンさんに言われなくても痩せてみせますよ!痩せたら抱き枕から解放されますよね、抱き心地が違うんだから!」
ニコリ、としたギデオンさんは返事をしなかった。なんなの。国王といいギデオンさんといい、相手には返答…しかも、自分が望む返答が来るまでしつこくしつこくしつこく聞いてくるくせに!ずるい!…でも、ドSに勝つ秘策がない…くっそー…。
「具体的に減量のために、何をするか決めているのですか?」
「歩きます」
まずは歩くことから始めるしかない。…また一からダイエットやりなおしかぁ…。悲しくなる。
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