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ある日のジークさん①
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「アキラさん」
「あれ、ジーク君。どうしたの?学園は?」
「今日は振替で休みなんです」
「そうかー」
「アキラさん、聞きたいことがあるんですが」
「うん?」
「アキラさんの前世のニッポンは、獣人の国だったのですか」
「…は?」
「リッツさんが、」
と言ってジーク君が差し出したのはグラビア誌だった。
「『これ、かわいくね?』って見せてくれたんですが」
ジーク君は写真を指差すと、
「これは耳としっぽですよね。この女性はネコ獣人ですか?アキラさんは、なんの獣人だったんですか?」
「…リッツゥゥゥ~ッ!!!!!」
僕は第三部隊隊長室に飛んだ。
「なんだ、アキラ…うぉっ!」
僕はリッツさんの襟首を掴みあげ、椅子から立たせた。
「なんだおまえ、オレにケンカ売ろうっての、か…ん?」
僕のただならぬ雰囲気に気づいたのか、「どうした?」と聞いた。
「リッツさん、あんた、なんつーもんをジーク君に見せてんですか!?」
「なに?…ああ、あの雑誌ってやつのことか?」
「そうですよ!ジーク君は、それでなくても変質者で犯罪者なんですよ!そのジーク君をさらに変態にする手助けをするなんて、あんた何を考えて、」
「アキラさん、これはなんですか?」
後ろから聞こえてきたジーク君の声に驚いてリッツさんから手を離す。
ソロリ、と後ろを見た僕の目の前には、あられもない格好の女性の写真が掲げられていた。
「この女性はなぜ裸なのに縄で縛られているのですか?何かの罰を受けてるのですか?この女性に耳などは見えませんが…獣人ではないから、こうして縛られているのですか?」
どうにかこの場を逃れようと頭をフル回転させている僕の後ろで、リッツさんが「何言ってんだ、ジーク」と言った。
リッツさんはジーク君に近づいて雑誌を取ると、さっきのネコミミ写真に戻した。
「これは、獣人じゃないぞ」
「…でも、耳が」
「わー!わー!わー!」
僕は必死で叫び、リッツさんに向けて首を横に振り、大きなバツ印を腕で作ってみせたが、僕の気持ちはまったく通じなかったらしく、
「うるせーぞ、アキラ。ジーク、これはな、付け耳だ」
「…付け耳」
ジーク君はじっと写真を見ると、「じゃあ、しっぽもですか?」となぜか僕を見て言った。
「え、っと、まず、ジーク君」
「はい」
「これは、成人してる男性が見て、いや、女性も見るかもしれないけど、」
「なぜですか」
「いや、その、」
「ジーク、おまえ、これを見てなんとも感じないのか?」
まっすぐに疑問をぶつけてくるジーク君に言い淀んでいると、リッツさんがまたさっきの緊縛写真を見せた。
「なんともとは?」
「いや、こういう裸のイヤらしい女性を見て、」
「俺はルヴィ以外に反応しないので」
バッサリ言い切ったジーク君は「これはイヤらしい写真なのですか」とまた僕に聞いた。
「ジーク君、リッツさんに、」
「これを出したのはアキラさんですよね。アキラさんに聞きたいんです」
そう言うと、僕の頭上に氷の刃が現れた。
「アキラさん、教えてください」
「ちょっと!?なんで尋問みたいになってんの!?っていうか、リッツさんの氷と違う…?」
「これは、雷撃もまとわせているんです」
「なんで殺傷能力あげてんの!?」
「学園に…」
そう言ってジーク君は魔王もかくや、と言うような凶悪な顔になった。
「ルヴィに直接触れはしないものの、手紙をよこしたり、影から見てたり話しかけてくるアホどもがいるんです。それを排除しなくてはならないので」
「殺人!殺人罪!」
「殺したりしませんよ、もちろん。ただ、しばらく苦しめるだけです」
ジーク君はそう言うと、うっそりと微笑んだ。
「アキラさん、まず、実験台になってもらえますか?」
助けを求めてリッツさんを見ると「あ、オレ、ちょっと用事が…」と逃げ出そうとする。そこを取り囲むように、僕の頭上の氷の刃が突き刺さった。
「リッツさん、飛んだら雷撃ですよ」
「アキラ!早く説明しろ!」
ジーク君はリッツさんの手から雑誌を取り上げると、僕に「座ってください」と言って椅子を引いた。この部屋の主は床に縫い付けられてるんだけど…。
ジーク君の目が笑ってない胡散臭い笑顔に恐怖しかない僕は、ガクガクしながら椅子に座った。
ジーク君も椅子を持ってきて僕の対面に座る。
ああ…こんなに綺麗な顔で、「炎の貴公子」なんて呼ばれているのに、中身は変質者だなんて…。
「さて、まずこのしっぽからお願いします。この女性は、下着をつけていませんね。どうやってしっぽを取り付けているんですか?」
ジーク君の後ろに新たな氷の刃が待機している。あれか。僕はダーツの板なのか。
現実逃避したくても、目の前の魔王からは逃げられない。
(ごめんなさい、ルヴィアさん…悪いのはリッツです…)
僕は魔王に降伏するしかなかった。
「これは、アナルプラグといって…」
自分で説明しながら普通は聞かない言葉の響きの卑猥さにクラクラする。
「アナルプラグとはなんですか」
この公式の原理はなんですか、とでも聞いているような至極真面目な顔で聞いてくるジーク君。
「ええと。僕のわかる範囲でいいかな…。あんまりそっちの知識はなくて…」
「そっちのとはどこですか」
なんでこの雑誌だったんだ!僕のバカ!リッツさんに頼まれて出したあの時の僕を絞め殺したい。
「…これはSMと言って、性癖のひとつなんだけど」
「性癖」
「あのね、定義とか言われてもわからないし、あくまでも僕が思ってる範囲の説明だよ!?」
「かまいません」
「Sっていうのは、サディスト?の略なのかな?相手をいたぶって性的興奮を覚える人、」
「いたぶる?」
ジーク君は緊縛の写真に戻すと、「これがいたぶってるということですか?」と聞いた。
「…ジーク君」
「はい」
「求める相手が間違ってるよ!僕はこういう性癖ないから!」
「でも、知識はあるんですよね。質問はあとにします。Mとはなんの略ですか?」
質問はあとにします、って質問してるじゃん!という抗議は飲み込んだ。しょせん、抵抗するだけムダなのだ。魔王には勝てない。
「Mはマゾって言って、いたぶられて性的興奮を覚える人」
「なるほど」
ジーク君はポンッと手を叩くと、「それで、SとMが組合わさるんですね。S同士、M同士では性的興奮を得られないから」と数学で素晴らしい解答を導き出した生徒のように言った。
「いたぶって興奮ですか…俺はルヴィに痛い思いはさせたくないので」
過去の犯罪者が何を言ってるんだ、という突っ込みは自分の胸に留めた。
「まあ、カラダを痛め付けるだけがSではないからね」
「自分はやらない」というジーク君の言葉に安心して気が抜けてしまった僕は、
…言わなくてもいいことを言ってしまった。
「この、縛られてるの、『緊縛』って言うんだけど、これは相手を縛って痛め付けるという目的よりは、こういう、」
僕は写真を見せて言った。
「こういうふうに脚を開かせて、その、…女性の大事なところをさ、無理矢理見せるように縛り付けちゃうと、自分では脚を閉じることはできないし、見られたくないのに見られちゃう、恥ずかしい、って相手に思わせることで興奮する、そういうSの人もいるんだよね」
「…恥ずかしい」
「うん。『こんなはしたない格好して。イヤイヤ言いながら、おまえの下の口は正直だな、こんなに涎を垂らして。欲しいんだろう?』って。
言葉攻め、っていうのもあるんだよ、ほら」
僕は雑誌に載っている官能小説を見せた。
「アキラさん」
「ん?」
「読めません」
「あ、」
そうか、日本語だもんな。
「ごめんね、ジーク君、まぁ、そんな感じで」
ジーク君は椅子を倒す勢いで立ち上がると、僕の肩を掴んで「翻訳してください!」と叫んだ。
「…へ?」
「さっきアキラさんが言ったセリフがここに載ってるんですよね」
「う、ん、まあ?」
ジーク君はうっとりした顔になった。心なしか顔も赤い。
「俺もルヴィに言ってみたい。恥ずかしがるルヴィが見たい…可愛いだろうなぁ、顔を真っ赤にして…無理矢理見られちゃうなんて…。
閉じ込めないって約束したけど、3日くらいならいいですよね?3日で我慢します。
はぁ~、堪らない、ルヴィの恥じらう姿…」
何を想像してるのか恐ろしくて考えたくない僕に、「アキラさん」と言った。
「…はい」
「今日のアキラさんの仕事は俺が代わります。今日、いま、すぐに翻訳してください。それから、」
ジーク君はまたもやうっそりと微笑んだ。
「この女性が縛られているような赤い縄と、先ほどのネコミミ、しっぽをください。お願いします。
あ、しっぽの使い方はまだ聞いてませんでしたね、説明してください、さあ、早く」
「おま、え、もうルヴィア嬢とそんな関係なの!?」
まだ床に縫い付けられたまま叫ぶリッツさんを振り返り、「違いますよ、そんなわけないじゃないですか。ルヴィの純潔はまだ守ってますよ」と心外そうに言った。
「そうだよね、まだだよね」
とホッとして言う僕にジーク君も真剣な顔で頷きながら言った。
「そうですよ。俺の子種は全部ルヴィに注ぐので」
「…は?」
「まだ学生なのに、妊娠させるわけにはいかないですからね。正式に結婚してるわけでもないですし」
まだ、とまた言いいながらうんうん、と頷くジーク君、いや、ちょっとぉ!?
「卒業と同時に結婚するので、その日からはルヴィに子種を注いでも問題ないですから。今は我慢中です。挿れるのは」
斜め上発言にドン引きしてる僕を見て、「その時のために勉強したいんです。ルヴィを悦ばせたい」と言う。いや、悦ばないでしょ!?
振り切れぶっとび魔王に完敗した僕が、お望みの品を差し出さざるを得なかったこと…わかっていただけますよね…。
「あれ、ジーク君。どうしたの?学園は?」
「今日は振替で休みなんです」
「そうかー」
「アキラさん、聞きたいことがあるんですが」
「うん?」
「アキラさんの前世のニッポンは、獣人の国だったのですか」
「…は?」
「リッツさんが、」
と言ってジーク君が差し出したのはグラビア誌だった。
「『これ、かわいくね?』って見せてくれたんですが」
ジーク君は写真を指差すと、
「これは耳としっぽですよね。この女性はネコ獣人ですか?アキラさんは、なんの獣人だったんですか?」
「…リッツゥゥゥ~ッ!!!!!」
僕は第三部隊隊長室に飛んだ。
「なんだ、アキラ…うぉっ!」
僕はリッツさんの襟首を掴みあげ、椅子から立たせた。
「なんだおまえ、オレにケンカ売ろうっての、か…ん?」
僕のただならぬ雰囲気に気づいたのか、「どうした?」と聞いた。
「リッツさん、あんた、なんつーもんをジーク君に見せてんですか!?」
「なに?…ああ、あの雑誌ってやつのことか?」
「そうですよ!ジーク君は、それでなくても変質者で犯罪者なんですよ!そのジーク君をさらに変態にする手助けをするなんて、あんた何を考えて、」
「アキラさん、これはなんですか?」
後ろから聞こえてきたジーク君の声に驚いてリッツさんから手を離す。
ソロリ、と後ろを見た僕の目の前には、あられもない格好の女性の写真が掲げられていた。
「この女性はなぜ裸なのに縄で縛られているのですか?何かの罰を受けてるのですか?この女性に耳などは見えませんが…獣人ではないから、こうして縛られているのですか?」
どうにかこの場を逃れようと頭をフル回転させている僕の後ろで、リッツさんが「何言ってんだ、ジーク」と言った。
リッツさんはジーク君に近づいて雑誌を取ると、さっきのネコミミ写真に戻した。
「これは、獣人じゃないぞ」
「…でも、耳が」
「わー!わー!わー!」
僕は必死で叫び、リッツさんに向けて首を横に振り、大きなバツ印を腕で作ってみせたが、僕の気持ちはまったく通じなかったらしく、
「うるせーぞ、アキラ。ジーク、これはな、付け耳だ」
「…付け耳」
ジーク君はじっと写真を見ると、「じゃあ、しっぽもですか?」となぜか僕を見て言った。
「え、っと、まず、ジーク君」
「はい」
「これは、成人してる男性が見て、いや、女性も見るかもしれないけど、」
「なぜですか」
「いや、その、」
「ジーク、おまえ、これを見てなんとも感じないのか?」
まっすぐに疑問をぶつけてくるジーク君に言い淀んでいると、リッツさんがまたさっきの緊縛写真を見せた。
「なんともとは?」
「いや、こういう裸のイヤらしい女性を見て、」
「俺はルヴィ以外に反応しないので」
バッサリ言い切ったジーク君は「これはイヤらしい写真なのですか」とまた僕に聞いた。
「ジーク君、リッツさんに、」
「これを出したのはアキラさんですよね。アキラさんに聞きたいんです」
そう言うと、僕の頭上に氷の刃が現れた。
「アキラさん、教えてください」
「ちょっと!?なんで尋問みたいになってんの!?っていうか、リッツさんの氷と違う…?」
「これは、雷撃もまとわせているんです」
「なんで殺傷能力あげてんの!?」
「学園に…」
そう言ってジーク君は魔王もかくや、と言うような凶悪な顔になった。
「ルヴィに直接触れはしないものの、手紙をよこしたり、影から見てたり話しかけてくるアホどもがいるんです。それを排除しなくてはならないので」
「殺人!殺人罪!」
「殺したりしませんよ、もちろん。ただ、しばらく苦しめるだけです」
ジーク君はそう言うと、うっそりと微笑んだ。
「アキラさん、まず、実験台になってもらえますか?」
助けを求めてリッツさんを見ると「あ、オレ、ちょっと用事が…」と逃げ出そうとする。そこを取り囲むように、僕の頭上の氷の刃が突き刺さった。
「リッツさん、飛んだら雷撃ですよ」
「アキラ!早く説明しろ!」
ジーク君はリッツさんの手から雑誌を取り上げると、僕に「座ってください」と言って椅子を引いた。この部屋の主は床に縫い付けられてるんだけど…。
ジーク君の目が笑ってない胡散臭い笑顔に恐怖しかない僕は、ガクガクしながら椅子に座った。
ジーク君も椅子を持ってきて僕の対面に座る。
ああ…こんなに綺麗な顔で、「炎の貴公子」なんて呼ばれているのに、中身は変質者だなんて…。
「さて、まずこのしっぽからお願いします。この女性は、下着をつけていませんね。どうやってしっぽを取り付けているんですか?」
ジーク君の後ろに新たな氷の刃が待機している。あれか。僕はダーツの板なのか。
現実逃避したくても、目の前の魔王からは逃げられない。
(ごめんなさい、ルヴィアさん…悪いのはリッツです…)
僕は魔王に降伏するしかなかった。
「これは、アナルプラグといって…」
自分で説明しながら普通は聞かない言葉の響きの卑猥さにクラクラする。
「アナルプラグとはなんですか」
この公式の原理はなんですか、とでも聞いているような至極真面目な顔で聞いてくるジーク君。
「ええと。僕のわかる範囲でいいかな…。あんまりそっちの知識はなくて…」
「そっちのとはどこですか」
なんでこの雑誌だったんだ!僕のバカ!リッツさんに頼まれて出したあの時の僕を絞め殺したい。
「…これはSMと言って、性癖のひとつなんだけど」
「性癖」
「あのね、定義とか言われてもわからないし、あくまでも僕が思ってる範囲の説明だよ!?」
「かまいません」
「Sっていうのは、サディスト?の略なのかな?相手をいたぶって性的興奮を覚える人、」
「いたぶる?」
ジーク君は緊縛の写真に戻すと、「これがいたぶってるということですか?」と聞いた。
「…ジーク君」
「はい」
「求める相手が間違ってるよ!僕はこういう性癖ないから!」
「でも、知識はあるんですよね。質問はあとにします。Mとはなんの略ですか?」
質問はあとにします、って質問してるじゃん!という抗議は飲み込んだ。しょせん、抵抗するだけムダなのだ。魔王には勝てない。
「Mはマゾって言って、いたぶられて性的興奮を覚える人」
「なるほど」
ジーク君はポンッと手を叩くと、「それで、SとMが組合わさるんですね。S同士、M同士では性的興奮を得られないから」と数学で素晴らしい解答を導き出した生徒のように言った。
「いたぶって興奮ですか…俺はルヴィに痛い思いはさせたくないので」
過去の犯罪者が何を言ってるんだ、という突っ込みは自分の胸に留めた。
「まあ、カラダを痛め付けるだけがSではないからね」
「自分はやらない」というジーク君の言葉に安心して気が抜けてしまった僕は、
…言わなくてもいいことを言ってしまった。
「この、縛られてるの、『緊縛』って言うんだけど、これは相手を縛って痛め付けるという目的よりは、こういう、」
僕は写真を見せて言った。
「こういうふうに脚を開かせて、その、…女性の大事なところをさ、無理矢理見せるように縛り付けちゃうと、自分では脚を閉じることはできないし、見られたくないのに見られちゃう、恥ずかしい、って相手に思わせることで興奮する、そういうSの人もいるんだよね」
「…恥ずかしい」
「うん。『こんなはしたない格好して。イヤイヤ言いながら、おまえの下の口は正直だな、こんなに涎を垂らして。欲しいんだろう?』って。
言葉攻め、っていうのもあるんだよ、ほら」
僕は雑誌に載っている官能小説を見せた。
「アキラさん」
「ん?」
「読めません」
「あ、」
そうか、日本語だもんな。
「ごめんね、ジーク君、まぁ、そんな感じで」
ジーク君は椅子を倒す勢いで立ち上がると、僕の肩を掴んで「翻訳してください!」と叫んだ。
「…へ?」
「さっきアキラさんが言ったセリフがここに載ってるんですよね」
「う、ん、まあ?」
ジーク君はうっとりした顔になった。心なしか顔も赤い。
「俺もルヴィに言ってみたい。恥ずかしがるルヴィが見たい…可愛いだろうなぁ、顔を真っ赤にして…無理矢理見られちゃうなんて…。
閉じ込めないって約束したけど、3日くらいならいいですよね?3日で我慢します。
はぁ~、堪らない、ルヴィの恥じらう姿…」
何を想像してるのか恐ろしくて考えたくない僕に、「アキラさん」と言った。
「…はい」
「今日のアキラさんの仕事は俺が代わります。今日、いま、すぐに翻訳してください。それから、」
ジーク君はまたもやうっそりと微笑んだ。
「この女性が縛られているような赤い縄と、先ほどのネコミミ、しっぽをください。お願いします。
あ、しっぽの使い方はまだ聞いてませんでしたね、説明してください、さあ、早く」
「おま、え、もうルヴィア嬢とそんな関係なの!?」
まだ床に縫い付けられたまま叫ぶリッツさんを振り返り、「違いますよ、そんなわけないじゃないですか。ルヴィの純潔はまだ守ってますよ」と心外そうに言った。
「そうだよね、まだだよね」
とホッとして言う僕にジーク君も真剣な顔で頷きながら言った。
「そうですよ。俺の子種は全部ルヴィに注ぐので」
「…は?」
「まだ学生なのに、妊娠させるわけにはいかないですからね。正式に結婚してるわけでもないですし」
まだ、とまた言いいながらうんうん、と頷くジーク君、いや、ちょっとぉ!?
「卒業と同時に結婚するので、その日からはルヴィに子種を注いでも問題ないですから。今は我慢中です。挿れるのは」
斜め上発言にドン引きしてる僕を見て、「その時のために勉強したいんです。ルヴィを悦ばせたい」と言う。いや、悦ばないでしょ!?
振り切れぶっとび魔王に完敗した僕が、お望みの品を差し出さざるを得なかったこと…わかっていただけますよね…。
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